2022年9月19日月曜日

「こんな場所あったのか!」 令和の若者、昭和の生き残り「回転喫茶」に衝撃を受ける

Jタウンネット

写真「こんな場所あったのか!」 令和の若者、昭和の生き残り「回転喫茶」に衝撃を受ける
「こんな場所あったのか!」 令和の若者、昭和の生き残り「回転喫茶」に衝撃を受ける

読者の皆さんは「まわる喫茶店」と聞いて、どんなものかわかるだろうか。

ピンと来た人は、やはり昭和生まれ? 相当の年配者かもしれない。

2022年9月5日、そんな「まわる喫茶店」についてのつぶやきがツイッター上に投稿され、話題となっている。それが、この店。

「tae」さんのツイートより
「tae」さんのツイートより

どこかレトロな、昭和の香りが感じられる看板には「まわる喫茶室コスモス」と書かれている。そして「回転展望台」の文字も。

この喫茶店は、一体どんな店なのか。兵庫県のツイッターユーザー・taeさんは、写真についてこう呟いている。

「床が360度回転して数分ごとに景色が変わる喫茶店」

若い世代には、新鮮?

円柱のような形のフロアの床がぐるぐると回ることで、窓から見える位置が徐々に変わっていくのが、「回転展望台」「回転レストラン」「回転喫茶」などと言われるものだ。

「まわる喫茶店コスモス」があるのは、神戸市須磨区の須磨浦山上遊園。投稿者の「tae」さんは9月5日の15時ごろ、偶然この店を知り、訪れたという。

平日だったこともあって人は少なく、店にいた客は4組ほど。taeさんは「初めて行きました。こんな場所あったのか!とさえなりました」と語る。

「初めは最寄り駅にあるカフェに友人と行ったのですが、その後、駅にある看板に記載されていた回る喫茶店を見て、面白そうじゃない!?  となってその場のノリで、行ってみることにしました」(「tae」さん)
「tae」さんのツイートより
「tae」さんのツイートより

また、こんな感想も語ってくれた。

「ロープウェイから見る景色、喫茶コスモスから見る景色、どちらも本当に素敵で海を見ることがが大好きな私にとって、とても居心地の良い場所でした」
「どこも懐かしく感じるような雰囲気がとても素敵でした」
「親世代の方はとても懐かしく感じると思うし、若い世代にはとても興味がそそられる場所だなと思いました」(「tae」さん)

若い世代は「回転する喫茶店」を新鮮に感じるらしい。よもや、そんな時代が令和の世に訪れようとは......。

須磨浦山上遊園の公式ツイッターより
須磨浦山上遊園の公式ツイッターより

回転する展望台・レストラン・喫茶店はかつて、日本各地に存在した。

しかし、その内現在も営業しているのは、札幌・センチュリーロイヤルホテル23階にある「スカイレストラン・ロンド」、京都市・リーガロイヤルホテル京都14階にある「フレンチダイニング トップオブキョウト」など、数えるほどしかない。

ツイッター上ではこんな声も寄せられている。

「神戸ポートタワーにも360度回転する喫茶店があったなぁ」
「有楽町の東京交通会館も、フロア全体が数時間掛けてグルグル回る展望レストランがあって、一昨年まで頑張ってましたねえ。向こうは高層ビルに囲まれて展望が効かなくなりましたが、ココは山の上で邪魔するモノがないので何とか存続して欲しい」

Jタウンネット記者が調べてみると、神戸ポートタワーにあった回転喫茶「スカイラウンジ」は2018年12月に営業を終了。東京・有楽町の東京交通会館15階にあった回転展望レストラン「銀座スカイラウンジ」は、老朽化のため2020年12月末で回転営業を終了し、2021年9月から通常のレストランとして営業中だ。

そんな状況にあっても現役で営業を続ける貴重な存在・須磨浦山上遊園「まわる喫茶室コスモス」。この店は今、どんな状況なのだろうか。Jタウンネット記者は須磨浦山上遊園に電話取材した。

NHK取材がきっかけで、人気回復中

須磨浦山上遊園は、神戸市須磨区の鉢伏山と旗振山の山頂一帯に広がる緑ゆたかな公園だ。

山陽電鉄の山陽須磨浦公園駅から、須磨浦ロープウェイとカーレーター(勾配25度のゴンドラ)を乗り継いで、山頂エリアに向かう。「コスモス」がある回転展望閣の他、ふんすいランド、サイクルモノレールといったアトラクションもある。山陽電気鉄道直営の施設だ。

同園の担当者によると、「まわる喫茶室コスモス」は1958年に営業をスタートした。なんと64年も前の話だ。

回転展望閣の3 階の床が、約55分かけてゆっくり回転するという。60年以上も昔の機械がよく動きますね、と尋ねると、担当者はこう答えた。

「床の下にレールが敷かれていて、車輪で回る仕組みになっているのですが、3か月に1回、油をさすなどのメンテナンスを行っています。そのための費用もなかなか大変な金額です」(須磨浦山上遊園担当者)

一時は、来場者が減少したため、経営が苦しい時期もあったという。

ところが、10数年前。開園50周年がきっかけでNHKの取材を受けたことが転機となった。それ以来、来場者が増え、活気を取り戻したそうだ。人気番組『ブラタモリ』にも登場したことも、人気回復の一因となったようだ。NHKには足を向けて寝られない。

須磨浦山上遊園の公式ツイッターより
須磨浦山上遊園の公式ツイッターより

「まわる喫茶室コスモス」からの絶景おすすめポイントはどこだろう?

「やはり明石海峡大橋でしょうかね。淡路島も望めます。それと神戸空港も人気があります。六甲山も望めます。屋上の展望台備え付けの望遠鏡(有料)を覗くと、関西国際空港も見えます。スケール大きな展望を楽しめるのが魅力じゃないでしょうか」(須磨浦山上遊園担当者)
須磨浦山上遊園の公式ツイッターより
須磨浦山上遊園の公式ツイッターより

Jタウンネット記者もマップを見ながら、ふと気が付いたのだが、須磨浦山上遊園のすぐ東側に「一ノ谷」という地名がある。「逆落とし」という史跡も見えた。

源平合戦の時、源義経が見下ろしていたのはこんな光景だったのかもしれない。そこには平家の大軍がいたのだが......。

「まわる喫茶室コスモス」の楽しみ方は、360度と広いだけでなく、奥も深そうだ。世代を問わず楽しめそうなので、読者も一度、回ってみてはいかが。

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