何度かありますが、今回は直近の物をご紹介いたします。車両保険の損害額決定の際に不誠実な査定をされ、私自身で保険会社に対して不服の申し立てを行いました。(保険会社名と実損額など詳細は伏せさせていただきます)
車をお持ちの方でしたら今後の参考になることも多いと思います。少し長い話になるのですが、お付き合いいただけましたら幸いです。
昨年の12月6日に自動車事故に遭いました。当方、交差点がない片側2車線の左車線を直進中に反対車線から安全確認せずに車が右折してきて、直突(正面衝突に近い状態の衝突)でした。それでも過失割合が生じまして、当方が1割の過失です。
当方の保険の付保状況は以下の通りでした。
対人賠償保険: 無制限
対物賠償保険: 無制限
搭乗者傷害保険: 1千万円
人身傷害保険: 3千万円
弁護士特約: オールリスク対応型を付保
同乗の家内も私も受傷し、家内は回復までに半年かかりました。私はといいますと現在も通院加療中です。その話は関係ないので置いておきますが、事故直後から順を追って経緯をご説明いたします。
衝突後かなりの衝撃が来て、私は一瞬気を失ってしまったのですが、目を開くと前に事故相手の車があるのに気づきました。
車の中では運転者らしい女性が、懸命にハンドルを操作しようとしていました。ですが動かなかったのでしょう。次にその人がとった行動は、携帯電話で誰かに電話することでした。一瞬、救急への通報かと思いましたが、相手の態度がそれらしく感じられなかったので、私がその場から何とか警察に電話を入れました。電話し終えると、すぐにドライブレコーダーからメディアを抜き取りました。
警察官が来ると、真っ先に言われたのが「事故車の搬送先を教えてください」ということだったのですが、首を痛めており声が出ません。小さな声で、「お手数ですが、警察所内の事故車置き場をしばらく拝借できませんか」とお願いしましたが断られました。仕方がないので、「車の車検証入れの中に、任意保険の証書が入っているので、保険会社に連絡してレッカーを手配してください」と言いましたが、それが精一杯でした。
やがて救急車が来て私と家内は近くの病院に救急搬送されたのですが、車は大阪南港のレッカー会社のガレージに保管されていると長女から聞かされました。それから私は病院の処置室のベッドの上で保険会社から電話連絡を受けたのですが、レッカーの保管期限が48時間なので至急修理先を指定してくださいとのこと。状況が状況だけに、正直なところ参りました…。
仕方なしに、これまた蚊の鳴くような声を振り絞って懇意にしているディーラーへ連絡を入れたのですが、知り合いの担当者は不在で何とも頼り甲斐のない応対をされてしまいました。貧すれば鈍するとはいいますが、この時点で私も思考停止してしまいました。
そこで保険会社に再度連絡を入れ、受け入れてくれる修理先があるかどうか聞くと、「年末なのでどこの修理工場も忙しいんです。でも探してみます」と返事を頂戴しました。提携先の修理工場なら代車料金も無料とのことで、その一言に一縷の望みを託しました。今考えると、これが重大な過ちだったわけです。
しばらくして保険会社から連絡が来て、大阪堺市にある某修理工場なら受け入れできるとのこと。藁にも縋る思いで受け入れをお願いし、その日は長女に頼んで家まで送ってもらいました。ただし家内は通勤に車が必要で、早急に代車を何とかする必要がありました。
その後、私と家内で堺市内の修理工場を訪れ、その修理工場で代車を拝借することになりましたが、工場の事務所で椅子に座るなりそこの社長に打診されたのが、「奥井さん、この車ほぼ全損でっせ。それでも修理しはりますんか?」ということでした。結局のところ、修理せずに全損扱いなら自分の工場で代車を貸すのは大損で、全損ならば代車は貸せないと言われたわけです。「年末ですし、我々も代車要るんですわ」と。
私がその社長から詳しく話を聞くと、概算の修理見積額を口頭で話されました。ほぼ全損額です。「保険会社の損害査定が来ても、全損になりまっせ」と。私も完全に全損だと感じていたので、納得しました。ただ私は過去の経験から、損害査定の際は工場でアジャスター(査定員)と工場の担当者が立会いして協定額が決まることを知っていました。そういったこともあり「修理する気になれませんが、とりあえず損害査定の方が来られて査定額が出てから判断します」と伝えました。
確かに車の損傷はひどく、室内のインパネは大きく浮き出ており、後ろのスライドドアまで歪みが入っていました。しかもエンジンフードが大きく湾曲して開かない状況だったので、「エンジンフードをちゃんと外して、ジャッキアップをお願いします。下回りもしっかりと見てもらってください」とお願いして帰路につきました。
私自身、事故による怪我のせいで夜も眠れず心身ともに限界でした。頸椎の外傷性ヘルニアと鍵盤断裂です。ダメージがきつく、それぐらいしかできなかったわけです。私も整備士ですから、どの程度の費用が掛かるかはある程度予想がつきました。自分で確認したいのはやまやまだったのですが、後は「全損になりまっせ」という社長に任せることにしたのです。
ところがそれから3日後、「アジャスター、来ましたで」と電話で聞かされて工場を訪れた私は、そこの社長からとんでもない話を聞かされました。何と、ジャッキアップはされておらず、エンジンフードも外されず、「適当に査定して帰りましたで」ということでした。
「私は先日、ちゃんと査定するようにお願いしたじゃないですか!」と話しても、「そら、ウチが修理するんやったら、とことん見ますけど、全損になるんやったらワシら何もできませんがな」とアッケラカンと言われ、「車、いつ移動してくれはるんでっか? ワシらも仕事に差し障りが出るし、ここに放置されたら困るんですわ」と詰め寄られました。
案の定、損害額査定書を見ると、全損額の半分近くの査定額しか見積もられていません。私は相手側の保険会社に電話を入れました。すると、何と査定員は私が契約している保険会社から派遣されたとのことでした。私は驚きながら自分の契約先の保険会社に連絡を入れ、「ちゃんと見てくださいよ。エンジンフードも開けてないじゃないですか。工場で聞いたら、ジャッキアップもせずに帰られたそうですね」と告げました。「あなた方は、私の味方になってくれるべき存在じゃないですか。しかも私の過失は、1割なんですよ!」と不安を打ち明けました。
まあそこでも、「ちゃんと見た」だの「プロの査定員ですから」だの「エンジンに支障はない」だの「室内に異常はなかった」だの「シートベルトは伸びていない」だの「インパネの飛び出しは経年劣化」だの、適当なことばかり言われたのですが、私が自動車整備士であることを告げると担当者は、「そこまで仰るなら再査定しましょうか」となりました。私が査定の立ち合いを希望すると、「査定員に伝えておきます」ということだったので、日付と時間を打ち合わせて電話を切りました。
「相手の過失が9割なのに、この仕打ちか」と、保険会社のあまりにひどい対応に唖然としました。ダイレクト系の保険会社でしたが、そんな誠意のない保険会社と契約してしまったことを改めて後悔しました。
家に帰った私は家内と相談し、打ち合わせよりも1時間早い時刻に整備工場へ行くことにしました。そこまで彼らに対する不信感が高まっていました。悪い予感がしたのです。
修理工場に早朝8時前に着くと、工場は既にシャッターが開いており驚きました。社長に、「なんでそんなに早くお店を開けているのですか?」と聞くと、「ウチら、朝は早いんですわ」と言われました。そしてひとこと、「アジャスター、もう査定して帰りましたで」と。
私自身、自動車の修理業界や保険業界とは長いお付き合いだったので、いろいろな人を知っていますが、あそこまで裏切られた経験はなく保険会社の対応にも呆れ果てました。
仕方がないので、その工場内の職人さんに頼んでジャッキアップしてもらい、隅から隅まで1時間以上かけて私自身で損害を調べました。
エンジンルーム内も大きな損害を受けていて、アクセルペダルがプラプラでエンジンからカラカラと異音がします。エンジン本体がマウントごとズレている形跡も見受けられました。足回りも亀裂が入り、私が想像していたよりも修理代金はかかるように思えました。多分ですが、車両価額よりも30万円以上は高い修理代金になったことでしょう。
私自身も査定の経験はあったので損害箇所を全て写真に収め、家内にメモを取ってもらいながら一つ一つ入念にチェックしました。修理工場には保管代金と付属品の脱着費用として2万円支払い、家に戻りました。戻ってすぐ保険会社に連絡し、査定員が約束に従わず査定を終えて帰ったことを告げました。
それでも、「ちゃんと査定は終えていますから」の一点張りです。数日後に出た損害額は先の査定額より多少は上がりましたが、保険価額とはかけ離れており、到底納得がいく金額ではありませんでした。私は覚悟を決めました。
まず私自身で損害額の概算を出してみました。ディーラーの知り合いにも協力してもらい、内容を見てもらいました。彼の意見も私とほぼ同じで、車両価額よりも数段高い修理見積額となりました。
私は再度保険会社にかけあい、ちゃんと損害額の査定が行われていないことを申し立てました。そして彼らが主張を変えないことを確認し、最終的な決断をしました。損保ADRセンター
への通告です。損保ADRセンターとは、ユーザーが損害保険会社とトラブルになった時に仲裁役を引き受けてくれる日本損害保険協会が管轄する組織です。ADR(裁判外紛争解決手続き)とは、Alternative(代替の) Dispute(紛争) Resolution(解決)の頭文字で、裁判所での訴訟に代わる、あっせん・調整・仲裁などの当事者合意に基づく解決方法です。
最後は弁護士にお願いすると決めていましたが、まず私は損保ADRに電話を入れ、これまでの経緯について洗いざらい説明しました。私自身も損保の募集人なので話は早かったです。相談員の方は大変丁寧に応対してくださいました。ですが、「我々から保険会社に連絡を入れるのですが、それでも全ての問題が解決もしくは和解に至るわけではないんですよ。むしろ解決しない事例の方が多いんです」ということでした。
ただ、「私自身が整備士・自動車検査員だということ」、「実際に自分で損害額を算出したこと」は、問題解決に向けてかなり有利なことだと最後に話されました。
結果として後日、東京の本社にある保険会社の管理職から謝罪の電話があり、全損を認めてもらいました。今回のことで得た教訓について、最後にまとめておきます。
- いざという時の修理工場は、ちゃんと決めておく
- 修理工場の担当者とも事前に話を通し、その人が不在の時の対策も予め決めておく
- 保険会社の提携修理工場への持ち込みは、特に気を付ける(資質・資格・レベルを確認しましょう)
- 安易に、提携修理工場の発言を信用してはならない(彼らは自分たちの利益を最優先します)
- 全損が疑われるときでも、あくまで修理の見積額として出してもらう(何かと嫌がられますが)
- 保険会社の提携修理工場の代車を当てにしてはならない(彼らは保険会社に代車代を請求できません)
- ロードサービス特約のレッカー費用については、契約前に保険会社に内容を確認しておく(保管期限などは重要です)
- 代車費用特約(レンタカー特約)のある保険会社を選ぶ(事故時の安心度が違います)
- 事故が起きたら、すぐにドライブレコーダーのメディアは取り出しておく(オーバーライト防止 クラウドに上げるタイプも最近は多いです)
- できれば、車両の前後と車内を撮影・録画できる「解像度の高い」ドライブレコーダーをマイカーに取り付けておく(私はこれまでにドラレコのおかげで、少なくとも4回は助かりました 画素数が低い物は意味がないと言えます)
- 事前に事故時の対応について、家族と打ち合わせしておく(保険の証券は車の中に入れて置き、事故時の連絡先を共有しましょう)
☆オールリスクの弁護士特約を付保する: 普通の弁護士特約は損害賠償請求のみ
☆人身傷害保険には加入しておく: 治療打ち切りなどの際に不安がない
☆差額ベッド代特約も手術時には助かる: 私の場合、この特約がない保険会社だったので、かなり痛い出費だった
以上、ムカつくというよりは呆れ果てた経験なのですが、参考になれば幸いです。下の回答でも、保険会社の特約については書かせていただきました。時間に余裕があるときにでもご覧になってください。
自動車保険の代理店さんによって、事故後の収まりって違いがありますか?特に自分が加害者になった場合など。その筋の人との事故なんて、考えたくもないですけど。そんな時どうされるんでしょうか。
元損害保険会社社員で損害保険代理店経験者です。確かに気がかりですね。できる範囲で、アドバイス差し上げます。 今回の対象は自動車保険ですが、まず損害保険代理店(募集人)の主な仕事とは次のようなものです。 * 保険契約の締結を行う: 保険代理店自身が直接保険契約を締結することはできません。代理店は募集行為を経て保険商品と重要事項(免責事項など)について顧客に説明し、保険会社に代わって契約を締結します。(実際に「保険」するのは保険会社です) * 保険契約の異動や解約といった保険契約期間内の諸手続きのパイプ役となる: 契約期間中に何らかの異動(車両入替や廃車など)が有った際に、その手続きを代行したり保険会社から指示を受けて処理したりします。 * 契約者が事故に遭ったり罹災したりした時、保険会社に事故報告したり契約者へ的確なアドバイスを行ったりする: 最近の自動車保険の場合、事故が有った際には保険会社の事故担当部署への直通フリーダイヤルが用意されています。 上記は、最近の自動車保険における保険代理店が行う業務全般です。その殆どが商品説明であったり加入条件であったり保険料であったりと、コンプライアンスに基づく諸手続きばかりです。これらのプロセスを見る限りにおいては、「事故の収まり」とか「その筋の人との事故」とかについて代理店は関係なさそうに見えます。 ですが最後の項目の「契約者への的確なアドバイス」という箇所にだけ、保険代理店の力量が試される部分が有るのです。「じゃ代理店って、どういった時に役に立ってくれるの?」という問いに対して、以下、過去の解決事例に基づいて書かせていただきます。 複数のポケットに現金を忍ばせ 運送店から「トラック(2トン車)が自転車に乗った人と接触した」と連絡を受けました。運送店は当方の契約者様です。私は保険会社に通報することなく、私自身で相手側の自転車の運転手さんと面会し、その場で和解金を支払って解決させました。 警察への届けはしていただきましたが、事故を人身扱いにすることもなく行政処分を免れました。これはある程度の知識と経験がないと難しいと思います。 コツとしては、その場で解決してしまうという気迫と相手を見る力・経験でしょうか。私は複数のポケットに、10万 7万 5万 3万とそれぞれ違った金額を入れて先方さんを訪れ、雰囲気と先方さんの態度から示談金額をいくらにするか判断しました。 「ちょっとその金額では…」と言われたときには、自分の財布から1万円抜き取り、「何とか、これで…。気持ちです」とお願いする手はずです。勿論ですが全て計算ずくで、我々はこれを「泣きの1万」と呼んでいました。私はこれまでに示談書・誓約書を数十部自作しています。 希望通りの調書を作成してもらい不起訴獲得 普通乗用車に乗った契約者さんが自転車に追突されましたが、追突した当の本人は怪我をし警察に人身扱いの事故届をしました。この方の言い分は、「契約者さん車両が左折時に安全確認しなかった」ということでしたが、契約者さんの車の後部に衝突痕が残り、テールレンズが割れていました。 契約者さんと共に警察に行き、当時の事故状況などを説明しました。近くのガソリンスタンドの店員さんなどからも証拠を集め提示しました。納得できない調書への捺印を最後まで拒み続けていただき、希望通りの調書を書いていただけました。結果的に最後は検察庁で不起訴の判断が出ました。無罪放免です。 人身事故で嘆願書を得る 契約者さんが歩道を走っていた自転車に接触し、自転車に乗った男性が足を骨折してしまいました。通報と相談を受け、相手さんへの見舞いや心得などを契約者さんに指示しました。相手に対する言い分は押さえていただき、誠意ある態度に終始していただきました。 お見舞いにも頻繁く通っていただき、相手さんから「もうそこまでいいですよ」といわれました。結果、警察への嘆願書を書いていただくことに成功し、骨折であるにもかかわらず、契約者さんは違反点数5点で反則金もなく行政処分を免れました。 次に挙げるのは、私が作成した嘆願書です。 嘆願書 去る平成〇〇年〇月〇〇日に私が被害を受けた交通事故につきまして事故後の経過をご報告申し上げ、加害者〇〇〇〇氏に対する処罰の軽減を嘆願いたします。 事故後、〇〇氏より治療・見舞いその他誠意ある対応をしていただきました。その甲斐あって怪我も順調に回復し、負傷した足も去る〇〇月〇〇日には副木の添え木が取れました。 今後の治療と賠償につきましても、〇〇氏より強制賠償保険と任意保険で適切に対応するとの返答を得ております。 つきましてはこれまでの経過と本人の人柄をご考慮いただき、加害者〇〇〇〇氏に対して寛大な処分をされますようお願いいたします。 平成〇〇年〇月〇〇日 大阪府 大阪市 大阪町1丁目○○○ 大阪 太郎 大阪地方検察庁 〇〇〇検事 殿 ←必ず実名を確認し記入のこと タクシー会社との交渉を代行 「息子がタクシーと衝突した」との連絡を受け、深夜に現場へ急行しました。既にタクシー会社の事故係が到着していて相手側の運転手と共に、契約者の息子さん(18歳)に詰め寄っていました。資格証を提示して事故係との交渉を全て引き受け、そこからは全て保険会社との連携で解決させました。 後に話を聞くと息子さんは相手側の運転手と事故係からかなりの剣幕で怒鳴られ、全額を弁償するという誓約書を書かされそうになっていたそうです。 正式な示談では相手側の過失が7割でした。一方的に弁償しますという誓約書などを書かされてしまうと、保険金が支払われなくなってしまう可能性が有るので、迅速に処理してよかったと思います。 反社さんとの事故を円満解決 契約者さんの奥さんが原付バイクと接触し、相手さんがバイクごと転倒しました。その時は、「大丈夫ですか?」と相手に聞いて、「大丈夫です」と相手の女性から返事をもらったので連絡先を交換しただけで、その場を離れたそうです。 ところがその夜になって男の声で、「どうしてくれるんや!」と電話があり「今すぐに、来いや」となり、その時点で私に連絡が入りました。奥さんに、「今すぐに警察へ行って、事故届を出してください」と告げ、事故の相手さんに私から連絡を入れました。 私が身分を明かし、「本人は今警察に行かれています。事故の届けはされましたか?」と告げると、「そんなものは知らんし出さん。とにかく、すぐに来い」となりました。その一言で腹をくくりましたが、反社の方である可能性が濃厚だったので代理店内で打ち合わせを行いました。(警察に行くことを拒まれる方に多かったです) そこで私が封筒に入ったお金をそれぞれバッグ内の3つのポケットに準備し、誓約書(示談書)も用意しました。身に危険が及ぶ可能性が有るので、同僚2名に同行してもらいました。それと、「30分経って誰も出てこなかったら、問答無用で警察に通報」ということで車の中でもう一人に待機してもらいました。この時点で、警察にも相談し協力を要請しています。 案の定反社の方だったのですが、結果としてその場で現金を手渡して解決させました。相手にしたら、たいした怪我もしていない同居の女性を警察に行かせるなど無理やり火のない所に煙を立たせるようなもんだったのでしょう。勿論ですが、自筆の誓約書と捺印を頂戴しています。 まだまだあるのですが、これらは私が損害保険の募集人として活動中に出会ったアクシデントと解決事例の一部です。 多分ですが、保険会社の担当者がここまでしてくれることはないと思います。越権行為すれすれですし、かなり荒っぽいやり方でもあります。勿論ですが、正式には交渉代理人としてちゃんとした委任状が必要ですし、弁護士さんに任せるのが一番だと思います。原則は、「保険の範囲内で保険の力で解決させる」ことであり、「代理店に過剰な期待を持たない」ことでもあります。 と、ここまで書きましたが、「人身事故の相手さんに対して嘆願書を書いていただく」とか「行政処分の点数を最低限で抑える」とか「人身扱いの事故を不起訴にするための手助け」とかいった手間と知恵は、多分弁護士さんからでもなかなか得られないのではないかと思います。(もしくは依頼すると、かなりの費用負担が必要となります) 勿論ですが、同じ代理店でもかなり懇意にしている経験豊富な募集人さんでないと、そこまでしてもらうのは難しいと思います。そういった意味で、代理店を通してちゃんとした資格を有する募集人さんと仲良くなっておくことは必要かもしれません。 最後に、事故と保険について知っておかれたほうが良い項目をいくつかご紹介して終わりにいたします。 「人身傷害保険 弁護士特約」は付帯しておいた方が良い 人身傷害保険というのは、「相手側の保険で賄えない自身の傷害や損害を補填する」目的で付帯します。これがあることで、相手との示談交渉がうまくいかずに「治療打ち切り」となった場合でも、ちゃんとした治療を受けることができます。勿論ですが、自身の単独事故に対しても適用されます。 弁護士特約については既にご存じの方も多いと思いますが、気を付けなければならない点がいくつかあります。通常の弁護士特約は、「相手側に損害請求する際のみ使える」ことになっています。 弁護士費用特約とは 弁護士費用特約とは、保険約款で定められた事故で被った損害について損害賠償請求をする際、被害者が負担する弁護士費用や法律相談費用の補償を受けられる保険特約です。 弁護士特約が使えないケースとは? 弁護士特約を使えないケースはあるのでしょうか。 以下の6つが弁護士特約を使えない主なケースです。 * 被害者の過失が大きい * 天変地異(地震・噴火・津波・台風)によって発生した損害 * 被害者自身やその身内(配偶者・親・子ども)、自動車所有者に対しての損害賠償 * 自転車事故(自転車保険や医療保険などの弁護士特約を利用することは可能) * 被害者が加入している保険が(人身障害補償保険・搭乗者傷害保険・車両保険など)適用されるか否かが争われるケース * 事業用車両が事故に遭った場合(保険会社によっては事業用車両でも適応あり) ところが保険会社によっては、賠償事故の際にも弁護士特約を使える契約が存在します。私自身もそういった保険契約を締結しています。どういったケースでも弁護士を使えると思われている方が多いですが、通常使えるのは賠償請求する場合ですのでご注意ください。 代車特約がない保険会社は使わない方が良い 近年はダイレクト系の保険会社が主流になってきていますが、契約スリム化の一環として補償を下げている場合が多く見受けられます。安いのは良いのですが、肝心の部分で使えないというのでは保険として意味をなさないケースも出てきます。 代車特約とは、事故時に保険会社が修理期間中のレンタカー費用を負担してくれるというもので、事故車を修理する際にはかなり頼りになる特約です。 例えば、あるダイレクト系保険会社は「代車については、弊社と提携関係にある修理工場で無料でご利用いただけます」となっているのですが、これには落とし穴があります。 * 提携修理工場が少ない * 提携修理工場の対応が良くない * 提携修理工場の質が低い * 提携修理工場で全損になった時、代車代を拒絶される などといった、問題が発生します。私自身も、これで大失敗したことが有りますので、気を付けられたほうが良いと思います。ロードサービスや代車費用特約は、ケチらない方が無難です。 最後に 誘導されて事故した場合 以前に3回くらい事例を見たのですが、ガードマンや運送店のドライバーなどによる誘導で事故を起こしてしまったというケースです。現行の法律では、「誘導員ではなく運転者側に責任がある」 となりますので、気を付けられたほうが良いと思います。 私の知人が住宅街を自家用車で走行中、引っ越しに遭遇しました。Sという引っ越し運送会社のスタッフが狭くなった道路を誘導しましたが、運悪く車の側面を擦ってしまったとのことでした。 警察にも行かれたそうですが、「ウチに責任はありませんよ」と相手から言われ愕然としたそうです。店舗から出る際は、たとえ警備員が手を振ってくれたとしても自分でしっかりと確認するべきです。それと、引っ越しや荷物運搬で道路が狭くなっている時は、相手が誘導してくれたとしても行く自信が無ければ無理やり行く必要はありません。 「行く自信がないので、その車をどかしてください」と言いましょう。それでも反論されたら、「当てたら、私の責任になりすから」と言えばよいでしょう。 私は現役ではありませんので、現在は制度などが変わっている可能性が有ります。もしも間違っていることなどがございましたら、コメント欄にてご指摘ください。以上、少し長くなりましたが、お役に立てましたら幸いです。
わずかな値段の差が性能の差を大きく分ける製品やサービスはありますか?
自動車保険の付帯契約や特約ですね。 代車等諸費用特約がない自動車保険に加入し、今回、それでひどい目に遭いました。 ・代車等諸費用特約 これがない自動車保険(そもそも設定がない)に加入してしまったために、とんでもない目に遭いました。 この某保険会社↑に加入しているのですが、提携修理工場に入庫すると無料で代車が提供されます。ですがこれが大きな落とし穴で、大失敗でした。 提携先といっても一般の修理業者さんです。事故に遭ってから知ったのですが、ちゃんとしたメーカーの直営店(ディーラー)に持ち込めません。修理業者さんは当初私たちに、「この車 本当に修理して乗りますか? 全損になりそうですよ」と、修理しないように勧められました。 で、「修理前提でないと、代車は貸せませんよ。そうなれば事故車は、早く引き取ってもらわないと困ります」と言われました。家内も私も事故でフラフラ・ヘトヘトになっている時に、この一言です。まいりました。 仕方なく至急レンタカーを探し、1か月契約で手配しました。事故車両も、引き取り先を見つけ早急に引き取るようにしました。 ところが、当初修理工場から聞いていた修理代金の見積と保険会社のアジャスターの見積が大きく違っているのです。修理しないことが確定した段階で、いい加減な査定をされました。へしゃげたエンジンフードを開けもせずに査定です。 私は自動車整備士であり検査員でもあるので、車の構造は殆ど理解できています。査定結果を見て、見積がいかにいい加減かよくわかりました。エンジンは故障し、回転数が上がりません。室内のフロントパネルが事故の衝撃で盛り上がっているのに、見積に計上されず「経年劣化」で片づけられました。 今回の気づきは、事故に遭った場合の特約や付帯契約の大切さです。殆どの保険で特約・付帯契約などは選択できるようになっていますが、年間数千円程度の保険料です。 事故に遭ったら、やはり正規のディーラーに修理をお願いしたいところです。車がない期間、レンタカーがないと生活が成り立たなくなる場合が多いです。我が家の場合は、両親の介護と家内の送迎に車は欠かせません。 いくら提携修理工場なら代車は無料といっても、提携修理先に対して保険会社から代車料は出ないと聞きました。彼らも生活がありますし、ここはちゃんとした代車とロードサービスがある保険会社と契約すべきだったと反省しています。 今回、全ての失敗が、この代車等諸費用特約 を付帯した自動車保険に加入しなかったことに起因します。 加入しておくべき特約や付帯契約 ・弁護士費用特約: 相手に損害賠償を請求するときに弁護士費用を補償してもらえます。ちなみに、逆に賠償請求されたときの弁護士費用をカバーする保険は、別途加入が必要です ・ロードサービス: 車が大破した時やレッカー移動が必要な故障時に、レッカーで車を保管先まで搬送したり移動してくれたりする特約です。事故や故障などの時、宿泊費用まで保証してくれるサービスもあります。 ・代車等諸費用特約: 代車費用や移動費用・引き取り費用などロードサービスに準じた形で提供されるサービスです。自分が指定する修理先に入庫した場合でも代車が出るかどうかは、要チェックです。 ということで、今回は私の失敗を例に挙げて自動車保険に加入するときの注意点を書かせていただきました。皆様、お気をつけて。
保険の目的というのは、「契約者が被った損害の原状復帰」です。契約者がその目的を達成できない保険・保険者は糾弾されるべきで、契約者もそういった不測の事態に普段から備えておくことは大切だと感じます。
【ここまで2022年12月24日】QUORA以外での無断掲載はご遠慮ください。
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