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- Ysayeさん
- 2016年2月3日 21:23 [901237-1]
- レビュー 44
過去のDENONと異なる、ストレートで少しスッキリ目の今風な音
PMA-SX1が好印象だったためSX11も気になり、比較試聴しました。比較対象は主にDENON PMA-SX1、他色々。SPはB&W CM6S2、CDPはmarantz SA11-S3。ケーブル類は不明ですが、いずれもアンバランス接続。
音質等はSX1と概ね類似する傾向(価格.comのPMA-SX1にレビュー投稿してます)、今回は相違点を中心にレポート。
【SX1とSX11の相違点】
①音の質感:SX1の方が滑らかで艶があり、より生々しくリアルに感じます。彫りの深さや見通し感もSX1がやや上回る印象。ハイエンドを感じさせる格調高い質感だと思います。一方SX11はよりストレートな印象の音。
②音の分離感:例えばアサド兄弟やモルダウ冒頭の木管の掛け合いなど混濁しやすい場面でもSX1では各楽器の独立性を実感しやすく、更にはピアノソナタでの1音1音や無伴奏ヴァイオリンの重音旋律での各弦の音にすら分離感が感じられます。SX11も同価格帯他社AMPと比べると音の分離感が高い方なのですが、どうしても全体としての音の一体感が付きまとう印象です。SX11が1枚の紙に全ての楽器を描いているのに対して、SX1は各楽器をそれぞれ異なる紙に描いている感じ。
③中高域の質感:SX11の中高域は、やや細身で、時に主張する感じがあり、人によってはややきつめに感じることがあるかもしれません。その代わり、高域の伸びが悪く中~低域に埋もれるような感じは減退している気がします。
④SX11は少しスッキリ目の今風な音:SX1から粘り気やまったり感を少し減らした、やや軽快な印象を受けます。今風で現代的なSX11に対しアナログ感を少し残すSX1といった感じか。
【総評】
SX11の音質がSX1に肉薄するようなら、かなりハイコスパ機になるのではと期待して試聴に臨んだのですが、残念ながら価格差以上の音質差を個人的には感じてしまいました。SX11を比較なしの単体で聴くと、記憶にあるSX1と同等に聴こえるほどその傾向が似ていますが、実際にその場で比較しながら聴くとかなり差異を感じます。上記③④は好みの差ですが(ひょっとしたら米田サウンド、山内サウンドの差かも)、①②は多くの方がSX1に好感を抱くのではないでしょうか。このうち見通しのよさや分離感はバランス回路の恩恵かもしれません。じっくり聴き込むにつれ、やっぱり値段が高いだけあってSX1の完成度は高いなぁと店員の方と一緒に実感した次第です。これはあくまで私見ですが、SX11を購入するのであれば、さらに10万円ほど追加してSX1を購入するか、新品SX11に価格が近い中古のSX1を購入するほうが幸せになれるかもしれません。個人的に上記①②は10万円程度ではなかなか手に入れることができないものに思われました。
否定的なことを書いてしまいましたが、SX1と比べSX11は1音1音がストレートではっきりと判りやすく、ややスッキリした今風のtasteを持つところにその価値があるように思われ、ジャンルによってはSX1よりも好適なケースがありそうです。ここが気に入ってむしろSX11を選択する方もいると思います。また、SX1で書いた立体感、躍動感、音が前に出る、力強い、低重心などの特徴はSX11にも共通するもので、これらはそのまま他社に対するアドバンテージになっており、アキュフェーズ、Luxman、marantz、YAMAHA等の同価格帯製品と比較しても競争力があるのではないかと感じました。なおSX11はSX1よりも更に、過去のDENONの音とは別の方向を目指そうとしている印象があり、私のように今までDENONを毛嫌いしていた方も先入観なく一聴してみることをお勧めします。
上記レポートは私個人の主観に基づくもので私の駄耳故に見当違いも多分にあるとは思いますが、他の方の見解を否定する意図は全くございません。何かの参考にして頂ければ幸いです。
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