年金はどこまで老後の生活に役に立つのか。根強い不安があります。
経済産業研究所上席研究員の中田大悟さんと考えました。【聞き手・須藤孝】
◇ ◇ ◇
――国民年金の性格をどう考えるべきでしょうか。
中田氏 日本の年金制度はもともとは被用者(雇われている人)の年金でした。被用者に入らない人を国民年金が引き受けたのが、いわゆる国民皆年金制度の出発点です。
制度発足当時から非正規労働者は国民年金に加入していたのですが、中心は自営業者や農林水産業従事者(農家や林業家、漁師など)だったのであまり問題にはなりませんでした。
しかも以前は「夫婦2人分で厚生年金1人分」という考え方でした。国民年金の給付は決して低い額ではなかったのです。
しかし、保険料が定額のため、相対的に低い保険料にせざるを得ませんでした。
そのために実質的に破綻し、厚生年金と一体化した基礎年金制度を作って救済したのです。
その過程で国民年金は現在のような「低年金」と言われる状態になったのです。
最低保障は
たとえば英国では一定以上の所得の人が年金制度に加入でき、高齢期の最低限の保障は税財源の扶助制度でみます。
英国のようなやり方はわかりやすいのですが、日本では難しいでしょう。政府が長年「国民皆年金」を掲げてきて、国民もそうあるべきだと考えているからです。
また、今の制度のまま最低保障をつけると、保険料を払わなくても年金をもらえると思う人が出てきてしまいます。
年金は老後の支えの柱
――年金の役割を正しく理解する必要があります。
◆年金定期便はありますが、老後の生活にどう備えるべきかが、まだよく理解されていません。
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