2025年4月11日金曜日

自然界に凄腕のゴールドハンターが存在した。金を引き寄せ身にまとう菌類が発見される(オーストラリア) 牡丹堂 (著)・パルモ (編集) 公開:2019-06-02・更新:2019-06-02

https://karapaia.com/archives/52275025.html#comments

https://karapaia.com/archives/52275025.html#comments

この画像を大きなサイズで見る
hekakoskinen/iStock

 菌(きん)と金(きん)?日本語にすると同じ読み方だが、かなりの関連性があったようだ。

 オーストラリアで発見されたそのビーズのような菌は、周囲を分解して金のナノ粒子をポタポタ降らせることで、菌糸に金を付着させるのだという。

広告の下に記事が続いています

 この菌のあるところに金ありってことで、もしかしたら新しい金脈の発見にもつながるかもしれない羽振りのいいヤツだ。

金をまとう土壌生息性糸状菌

 金をまとう菌「フザリウム・オクスポラム(Fusarium oxysporum)」は西オーストラリアのボッディントン鉱山で発見された。

 この菌自体は、土の中に一般的に存在する土壌生息性糸状菌で、トマトやバナナなど、作物を病気にすることで知られている。

 しかしオーストラリア連邦科学産業研究機構のチン・ボフ博士が見つけたそれは、金で自分をコーティングするというちょっと不思議な習性を持っていた。

 「金の微細な粒子を酸化させて、自分の菌糸にタレさせます。このプロセスを利用すれば、地表に存在する金などの元素の分布状況を分析できるかもしれません。」

金を身にまとう菌 、フザリウム・オクスポラム

この画像を大きなサイズで見る
image credit:CSIRO

金を分解することができる珍しい菌

 菌が落ち葉や動物の死体といった有機物を分解・循環するばかりか、アルミ・鉄・マンガン・カルシウムといった金属の循環にも重要な役割を担っていることはよく知られている。

 しかし金は化学的に不活発であって、そこに菌が介在していることは珍しい。「直接見るまでは信じられませんでした」とボフ博士。

 フザリウム・オクスポラムは超酸化物という化学物質を作り、金を分解することができる。それをまた別の化学物質によって固体化し、ナノ粒子として体に付着させるのだ。

 資産形成しても無駄そうなフザリウム・オクスポラムには、そもそもなぜこんな羨ましい能力があるのか?

 その理由は、金によるコーティングに生物学的なアドバンテージがあるかららしい。こうすることで、土壌の中に潜む多様な生物コミュニティよりも大きく成長し、しかも速く繁殖できるようなのだ。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:Ivan Boryshchak

金好きの菌が金脈のありかを示す?

 発見地であるオーストラリアは世界第2位の金生産国。その産出量は2018年に最高記録に達したが、新しい金鉱が発見されない限り、近い将来減少へ向かうと予測されている。

 こうした状況を受け、環境への影響が少ない次世代の金採掘ツールが求められている。

 ボフ博士は現在この習性の分析とモデル化を進めている。じつはフザリウム・オクスポラムが、その下に大きな金鉱があることを示すサインである可能性があるからだ。

 金でコーティングされた菌が金鉱の存在を告げているのだとしたら、人間から大いに歓迎されることだろう。

ユーカリやシロアリの巣も、金のサイン

 ほかの革新的金サンプリング法としては、ユーカリの葉やシロアリの巣を利用したものがある。これらには微量の金が含まれていることがあり、その地下に眠る金鉱のサインとして使えるのだ。

 またフザリウム・オクスポラムについては、金鉱を発見するサインとしてだけでなく、廃棄物から金を抽出するツールとしての利用も検討されている。

 よし、オーストラリアにいって金をまとう菌を探しに行って一儲け!と旅の支度を始めたそこのあなた(私?)、だがちょっと待ってほしい。

 残念なことに、金の粒子は顕微鏡を使わなければ見えないそうで、肉眼を頼りに素人が探すのは至難の業だそうだ。

 まずは金の粒子をまとった菌がすぐに見分けられるアイテムの用意が先のようだ。

 この研究は『Nature Communications』で紹介された。

追記(2019/06/12)本文を一部修正して再送します。

References:csiro/ written by hiroching / edited by parumo

本記事は、海外で報じられた情報を基に、日本の読者に理解しやすい形で編集・解説しています。

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中
今、あなたにオススメ

この記事へのコメント 36件

コメントを書く

  1. 王水を使わないと溶けないと聞いていたのだが
    まさか生物が…

    力ずくで削ったり曲げたりする事なら出来ると思うが溶かすと言うとフィクション映画のエイリアン並みに変な生き物

    1. ※5
      だからその金鉱を探すための手がかりになるって記事じゃん。
      虫眼鏡で菌と金を一緒くたに探すのかあんたは。

  2. 記事内に金と菌が入り乱れてだんだんわけわかんなくなってきたぜ…!

  3. しっかり金を作り上げているという点で、作りかけの小説や漫画がたくさんある俺よりすごい😂

  4. 金の固体状態をナノ粒子のサイズにまで分解するってことだろ?

  5. >土壌の中に潜む多様な生物コミュニティよりも大きく成長し、しかも速く繁殖できるようなのだ

    「地獄の沙汰も金しだい」っていうけど、菌の世界でさえも結局金がものをいうのか・・・ってことは、自分が菌だったら、やっぱり今と同じく成長も繁殖もできないヤツなのか・・・。なんかちょー落ち込むぜ

  6. 江戸初期の頃の話で苔を見て金山を探すというのを聞いた。
    金の利用は他にもあるのだと思う。

  7. へえ?変わった生き物も居るものだ?
    多くの動物は呼吸のために鉄を血液中に取り込んでいるが、
    金を利用する生き物ってのは初めて聞いたよ
    どういう風に体内で金を利用しているのか、凄く気になる

  8. コイツを探してそこを採掘するのと、コレを栽培するのと、どっちが安いかな?どうも黄金色にキラキラ光ってるわけでは無いようだが。

    1. >>21
      絶対このコメあると思ってたのにここまで無くてちょっと寂しかったところだありがとう

  9. 金を、超酸性で金イオンにして、身にまとうのか。
    すると、金をたくさん身に着けている女性は、酸味が強いのかな。

  10. D&Dのイエローモールドだったりして
    コレが生えると何でも金で出来てる様に見える
    (猛毒)

  11. この菌を世界中に撒いて、最終的に我が家に帰還する本能を追加すれば
    左うちわで暮らせるな。

  12.   

      
    これ、別に金を分解しなくても、土中に最初からナノレベルで存在してる金を選別して吸着してくだけで同じ結果になるんでは
    記事で言ってる仮説をどっからひっぱりだしてきたのかがわからない(´・ω・`)

  13. 金鉱脈付近で培養すれば収集精製がお手軽になる可能性ワンチャン

    1. >>32
      大昔は鉱山の近くで精製して川の水質が著しく悪化したらしい

      培養出来なくてもその菌がやってる事を真似出来るだけで生物が生存可能なレベルでの安全な精製が可能になるかもしれない

  14. 種名間違えているぞ(Fusarium oxysporum)
    それと属名の頭文字は大字
    イタリックだとなお良い

  15. 金の分解じゃなくて金の分離なんじゃないかと思ったんだけど…
    いろいろ混ざってる中の、溶けなかった金分子だけが選り分けられてるってことなんじゃないのこれ?
    よく分からん

0 コメント:

コメントを投稿