2015年01月20日 11時24分53秒
ソフトバンクが「Pepper」を発表したり、GoogleやFacebookが専門の研究施設で開発を進めたりするなど、大手IT企業による人工知能への投資が進められています。そんな中、ドイツにあるテュービンゲン大学の研究チームが、感情を持ち自己学習する人工知能を搭載したマリオのプロジェクトを進めています。
人工知能を搭載したマリオのプロジェクト「An Adaptive Learning AI Approach for Generating a Living and Conversing Mario Agent」がどういったものであるかは、下記のムービーから確認可能です。
Mario Lives! An Adaptive Learning AI Approach for Generating a Living and Conversing Mario Agent - YouTube
認識能力を研究するチームが取り組んでいるプロジェクトの目的は、認識能力と学習能力を備えたマリオを開発すること。
現段階では、「ハロー、マリオ」と英語で話しかけるとマリオが「Hello!」と返事をしてくれたり……
「気分はどうですか?」と尋ねれば「I feel very good!」と自分がどう感じているかを話してくれます。
このマリオには学習機能が搭載されていて、マリオの世界にいながらさまざまなことを学習できます。
さらに、「好奇心」「空腹度」「幸福度」「恐怖度」という4つの感情バロメーターがマリオの行動に影響を与えます。
マリオの感情は周囲の環境によって変化しますが、ボイスコマンドでのコントロールも可能です。「あんまりハッピーにならないで」とマリオに命令すると……
マリオの幸福度がガクッと落ちました。
マリオが認識するのは英語とドイツ語のみで、単語のパターンで文章を理解します。
これはボイスコマンドに対するマリオの反応をツリーで表したもの。
マリオが理解できる全ての文章をツリーで見ると、マリオがさまざまな会話に対応できることがよくわかります。
マリオに「クリボーにジャンプして踏みつけると、クリボーは死にます」とボイスコマンドで教えると「わかりました」と返事。
その後に「クリボーについて何か知っていますか?」と尋ねると、「ジャンプしてクリボーを踏みつけると、クリボーは死にます」と回答。先ほどの会話を理解し学習しているわけです。
この時マリオの中では何が起こっているかというと、まずは「Condition(状態)」「Action(行動)」「Effect(効果)」と「Probability(効果が発生する確率)」を整理。
整理したことをタグ化します。
タグ化した内容をマリオが話します。仕組みとしてはとても簡単。
マリオはボイスコマンドの他に環境や行動から学習することができます。「敵をやっつけてください」とマリオに命令すると……
近くにいたクリボーを倒します。
そして「クリボーをジャンプして踏みつけたら、クリボーはたぶん死にます」と話しました。クリボーを踏みつけると何が起こるかを学んだわけですが、1回しか倒していないので「maybe(たぶん)」と発言しているのも興味深いです。
また、感情の変化もマリオの行動に影響を与えます。
例えば、空腹度が高いとコインを集めたり……
好奇心が高いときは世界を探検し、環境と行動について学習していきます。
「An Adaptive Learning AI Approach for Generating a Living and Conversing Mario Agent」は、AIに関する「Association for the Advancement of Artificial Intelligence」という協会が実施中の「AAAI 2015 Video Competition」に参加しており、どのような評価を受けるのか楽しみなプロジェクトです
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