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2021年05月30日 05:03 朝日新聞デジタル
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写真 地方自治体のシステム統一のスケジュール |
今国会で成立したデジタル庁の創設などを盛り込んだデジタル改革関連法では、バラバラだった地方自治体の情報システムを2025年度末までに統一させる目標が掲げられている。しかし、地方自治体からは「期間が短すぎる」と不安の声が漏れる。マイナンバーを使って国や自治体がもつ個人情報の利活用をめざす菅政権のデジタル改革にとって、システムの統一は前提となるが、実現への道のりは険しそうだ。(杉山歩、小泉浩樹)
5月12日に成立した「地方自治体情報システム標準化法」は、全国の1741市区町村が住民の情報を管理するシステムに関し、政府が標準規格をつくり、これに基づいたシステムに移行させる。
住民基本台帳や選挙人名簿の管理、年金や介護など社会保険、住民税など税務などについて、各自治体はバラバラのシステムを使っている。政府は同法によって、改修など維持管理コストや職員の負担を減らせる利点を強調している。
また同法では、自治体の情報を管理しておくクラウド環境を国が用意し、各自治体が使うように求める。国と自治体の情報連携が進み、セキュリティーも高まると政府は主張する。
11日の参院総務委員会で、藤井比早之内閣府副大臣は「ガバメントクラウド(国が用意するクラウド環境)を活用することで、庁内外のデータ連携が容易となり、サービスを提供しやすくなる。個別にセキュリティー対策を行う必要がなくなり、安全にシステムを利用できる。住民の利便性向上と地方自治体の業務効率化が期待される」と語った。
ガバメントクラウドの詳細はまだ明らかにされておらず、どのような形で情報連携が行われるのかはっきりしない。政府はマイナンバー制度を活用したデジタル社会の構築をめざしており、実現に向けて「国と地方を通じたデジタル基盤の構築」を課題に挙げる。
政府が描く工程表では、22年夏までにシステムの標準規格の仕様書をつくる。それを基にIT業者がシステム開発に乗り出し、同年度末にシステムを完成させる。25年度末までに全自治体がシステム導入を終えるという方針だ。
しかし、関東地方の中核市の担当者は「25年度末までの移行は精神論だ」と悲観的な見方を示す。
東日本のシステム開発を担当するIT業者によると、新しいシステムへの切り替えには「一つの自治体で通常1年半ほどかけている」という。さきの中核市の担当者は「システム導入の期間は実質3年。全国の自治体の導入がそこに集中すると、業者の人的資源が足りない」と指摘する。
100以上の自治体に基幹系システムを納めている九州のIT業者の担当者によると、システムの入れ替え作業は、自治体とのやりとりに時間がかかるため、年に5自治体程度に抑えてきたという。自治体との相談時間を短縮すると「市町村側が(システムを)正しく理解できず、操作を誤ってしまう」と懸念を示す。
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