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独自のアルミ製リバース・ドーム採用
低域/高域の補正機能も搭載
Alphaシリーズのツィーターは共通で、FOCAL独自の1インチ・アルミ・リバース・ドームを採用。上級機種のCMSでは、スタジオでの大音量再生の必要性がなければCMS 50が最もバランス良く、ミックス用として適していると思っていました。Alphaもプライベート・スペースでの使用を考えるとAlpha 50が一番適しているのではないかと思い、これをピックアップしました。
同じ5インチ・ウーファーということでCMS 50のサイズをイメージしていたところ、箱から出してみると思っていたより大きく、CMS 50とCMS 65の中間くらいのサイズでちょっと驚きました。入力はXLR(+4dBu)とRCAピン(−10dBV)の2種類で、入力を6dB持ち上げるスイッチも用意。EQは250Hz以下を±6dBコントロールできるLFシェルビングと、4.5kHz以上を±3dBコントロールできるHFシェルビングで構成されています。また30分以上音声信号が入力されないと自動的にスタンバイ・モードに切り替わり、不要な電力消費を控える設計となっています。
またキャビネットはブラック・ビニール塗装なので、一見プラスティック製のように見えますが、多くのスピーカーで採用されているMDF製です。
バスレフとウーファーのつながりが良く
全体の音色にも統一感がある
まずは私のホームグラウンドであるprime sound studio formにて、SSL SL4000Gのメーター・ブリッジの上に乗せて聴いてみました。EQは、説明書ではLF、HF共に+2dBが推奨されていますが、まずは0dBのフラットで試聴しました。コンソールでの反射で低域が多く聴こえたため、LFシェルビングで−4〜−6dBまで下げた状態でちょうどいいバランスに。HFシェルビングは0dBか、低域を削っているので−1dBほど少し下げたくらいがベスト・バランスだと思います。バスレフ・ポートも大きめの設計で、あまり風速が速くならないので、比較的大きな音でも風を感じることがありません。また前面にあるので、背面の吸音具合を考えなくていいのも利点です。
続いて自宅へ。普段使用しているWESTLAKE BBSM4+BRYSTON 4Bと置き換えてみました。LFシェルビングは0〜+2dB、HFシェルビングは0dBでいいバランスです。上位機CMSシリーズでは160Hz/Q=2のノッチ・フィルターが付いていて中低域のコントロールができるのですが、Alpha 50では実装されていないので、インシュレーターを使ったりして調整するのがよいと思います。
そして肝心の音ですが、スタジオ/自宅共にペア10万円以下としてはトップ・クラスの音がしていると思います。一般的に小口径ウーファーでは出せる低域に限度があり、バスレフで低域を補う工夫をしています。ただし、ユニットからの音とパスレフ・ポートの音のつながりや位相に違和感を覚えることが多いのですが、Alpha 50は大きめのエンクロージャーのためか違和感が無く、自然にローエンドまでつながっています。ツィーターはアルミ素材のためか10kHz辺りに“チー”という音色の特徴がありますが、ウーファーとのつながりも良く、モニター全体の音色に統一感があり、バランスを取りやすいモニターだと感じました。音量も、パワーの必要な広めのコントロール・ルームでも十分でした。
Alpha 65やAlpha 80との選択は全体のバランスや低域の量感で選ぶことになると思いますが、Alpha 50で低域が足りないということはないので、スタジオでリズム録りなどにも使いたいならAlpha 65や80、打ち込みでの制作やミックスがメインならAlpha 50という選択がいいのではないかと思いました。
非常に高いポテンシャルを持っているので、このエンクロージャーを少し強化して、CMS相当のアンプを積んで、ツィーターを上位機で採用しているチタン製にしたもの聴いてみたいですね。新世代スタジオ標準モニターの可能性があると思うんですが……どうですか? FOCALさん。
撮影/川村容一
(サウンド&レコーディング・マガジン 2015年2月号より)
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