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軽くて強いボディを作るためにはなくてはならない
クルマだけでなく、多くのもので、一般的な素材に対して、高級な素材というものがある。卑近な例で言えば、二貫で100円の寿司に対して、一貫3000円のマグロはわかりやすいだろうか。どちらも寿司だし、食べられるし、100円だってまずくはない。しかし違いはある。当然価格も高くなるのだが、その分、メリットがあるわけで、それに対して価値を見いだせれば許容できるというか、お金を払っても不満はないと言える。クルマにおける高級素材の存在価値を見てみることにしよう。 【画像】カーボンモノコック! 1)高張力鋼板 クルマのメカニズムに興味がある方なら、最近、高張力鋼板や超高張力鋼板という言葉を聞いたことがあるだろう。英語にするとウルトラハイテンションスチールなどと呼ぶが、昨今の軽量化には欠かせない鉄板だ。クルマのボディは基本的に鉄板をプレスして形にしてそれを溶接や接着剤で付けて形を作るだけに、鉄板の素材は重要となる。とくに重量は燃費に直結するだけに大きな問題で、薄くすれば重量はてきめんに減るが、その分ペナペナになったりして、モノコックボディの場合、とくにボディを丈夫に形作ることが難しくなる。そこで高張力鋼板を使う。 これはその名のとおり、張りがある鋼板なので薄くても丈夫な(強度がある)ボディを作ることは可能。強度があれば、衝突安全性も確保できる。ちなみに張力はあっても剛性は低いという点は注意だ。デメリットとしては、作れる製鉄会社が世界的にも限られていることもあり、価格が高いことと、補修がしにくいことだ。 2)チタン チタンは、宇宙関連でも使われる素材で、価格も高くてちょっとした憧れがある響きだ。チタンのシフトノブ、チタンボルト、さらにはチタンマフラーがお馴染みだし、エンジンに詳しい人ならチタンリテーナーというのもご存知だろう。 ただ、言い方が悪いかもしれないが、チタンはそれほど万能ではないというか、夢の素材でもないというのが実際のところだ。メリットはチタン合金であれば硬いことと、軽いこと。硬くて軽いので、ホイールナットに使われるし、マフラーにも使われる。ただし、超高温には弱いので、大出力車には向いていないのはあまり知られていないところだ。剛性も低いので、簡単に言うと、硬くてちぎれにくいけど、衝撃を受けると曲がりやすいということになる。そのほかにも、硬いゆえに加工が難しく、曲がったエキゾーストパイプを作る場合はパイプを輪切りにしてつなげて作っている。 素材自体も大量生産ができず、作る際も大量の電気を使うなど、コストがかかりすぎるなど、それゆえ使用用途は限られるわけだ。
アルミやカーボンが使われる理由は軽いから
3)アルミ アルミはホイールに使われるなど、自動車に使用されるなかでも比較的ポピュラーな素材だ。メリットはまずは軽いことで、それゆえホイールやサスペンションアームに使えればバネ下が軽量化できるし、ボディに使えばさらに軽量化に貢献する。ただ、ご存じのようにアルミは強度が低い。体積が同じとして、重量は鉄の3分の1ほどだが、強度(粘り強さ)も約3分の1なので、アルミホイールがスチールホイールと同じ厚さで作られておらず、肉厚に作られているのはこのため。 だから、アルミ合金として、ほかの物を混ぜて対策するにしても、比較すると大幅に軽くなってはいないし、ボディもフェンダーやボンネットなど、剛性があまりかからない部分に使用されるのみ。 ただ、鉄と同じ厚さでパネルを作ると剛性は高くなるのは大きなメリットで、その分を差し引いて薄く作ることで結果として軽量化に貢献することができる。何でもアルミに置き換えればいいというわけではなく、落とし所が重要な素材と言っていい。 4)カーボン(CFRP) エアロなどでFRPという言葉はよく聞くが、ひと口にFRPと言ってもさまざま。混ぜるというか、ベースの繊維になにを使うかで性能が大きく異なってくる。スポーツカー、そしてレース車両でよく使われるのがCFRPというもの。CはカーボンでCarbon Fiber Reinforced Plasticsの頭文字を並べたのがCFRPで、日本語にすると炭素繊維で補強強化された樹脂となる。 炭素繊維のメリットは、高剛性、高強度で、かなり軽い。耐熱性や低熱膨張率もあるので、ブレーキディスクにも使用される。また、衝撃エネルギー吸収性やしなりなども優れているので、サスペンションやフレームなどにも有効で、現在普及が進んでいる。 いいことづくめのように見えるが、デメリットは素材、生産ともにコストがかかること。また繊維を樹脂で固めて作るために生産性が悪いことなどがあげられる。後者については、次第に解消されつつあるのが現状だ。
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