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■イベルメクチンが新型コロナの予防にも治療にも効果があるという論文が相次いで発表されているが、すでに「使用国」とされている日本では使用が進んでいない。
■感染爆発が進む今こそ使用すべきだが、使おうにもイベルメクチンがない、政府の副作用被害救済制度の対象になっていないなどの課題がある。
■日本版EUAを早く整備して、現場の医師が使用できる体制になれば、自宅待機や療養の患者にも投与できる。政府は積極的に使用促進に取り組むべきだ。
東京オリンピックの開催中にインドを起源とするデルタ株が猛威を振るい、感染者の拡大が続いている。副作用の報告がほとんどなく、諸外国の臨床試験で効果が報告されているイベルメクチンを日本はなぜ使おうとしないのか。早くからイベルメクチンの有効な使用法を提言してきた東京都医師会の尾崎会長に8月5日、緊急インタビューした。
まだ見えない感染拡大のピーク
――第5波ともいわれる今回の爆発的な感染拡大は、まだ右肩上がりが続いているようです。自宅待機・療養者が急増していますが、東京都医師会はどのように対応していますか。
「1月の第3波で自宅待機、療養の人が急増したとき、これではダメだということになって、24時間支援を目標に東京都と東京都医師会が一緒になって体制構築に取り組み、47地区医師会のうち37まで対応できるまでになりました。ところが、毎日1000人を超える自宅療養者が積みあがる今の状況は、限界を超えています。診療所の医師は、一般診療、ワクチン接種、健康診断、往診などで手が回らない。いま、保健所が入院調整をしています。東京都には入院調整センターもありますが、急変したコロナ患者を迅速に受け入れて治療できる体制が確立されるところまではいっていません」
多くの臨床試験結果は「予防にも治療にも効果」
――これまで世界で発表されているイベルメクチンの臨床試験の論文を読むと、予防にも治療にも効いている例が多数出ています。
「中南米、アジアなどを中心にイベルメクチンがコロナの予防・治療に効いているという論文が多数出ていることは承知しています。次々と発症する患者の対応に迫られるが有効な治療薬もない。ワクチンは間に合わない。そういう差し迫ったときに、イベルメクチンがコロナに効いているという論文が出ているのだから、これを使ってみようと思うのは臨床医としては当たり前の対応です。医師主導の臨床試験論文が多数出てきたのは、そういう事情があったからです」
――普通は製薬企業が大がかりな臨床試験をして効果を見るのですが、イベルメクチンはオンコセルカ症(河川盲目症)、リンパ系フィラリア症などの熱帯病の特効薬として、世界保健機関(WHO)をはじめ世界中の国々が20年以上前に承認した薬剤です。新型コロナにも効果があるなら適応外だがパンデミックの中で使用しよう、ということになったのはやむを得ないということですね。
「そうです。パンデミックの医療現場は戦場です。野戦病院と同じです。患者が運び込まれ次々と容態が悪化して亡くなっていく。そのとき副作用もほとんどなく、コロナにも効くという論文が多数出てきたので、これにすがりつくようにして投与する医師の気持ちはよく分かります」
「つい先日、インドでコロナ感染症の治療ガイドラインを決めている全インド医科大学(All India Institute of Medical Sciences/AIIMS)の研究グループが、イベルメクチンの予防効果を調べた論文を発表しています。それによると、約3900人の医療従事者(職員及び学生)を対象に、イベルメクチン体重1キロ当たり0.3ミリ・グラムを3日間隔で2回投与した群、1回のみ投与した群、そして投与しなかった群の三つの群に分けて臨床試験を行った結果、イベルメクチンを2回投与された人は、新型コロナ感染が83%減少したというのです。論文を発表したのは世界でも第一級の研究グループですから、非常に信頼性が高いものです」
日本はすでに使用国に区分け
――日本では2020年5月18日に通達した「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き第2版」から、イベルメクチンをCOVID-19治療に使用することを認めています。世界でも、日本はイベルメクチンの使用国に区分けされています。
「日本では以前から皮膚病の
政府は使用に前向きな国会答弁、しかし…
――国会でも政府はイベルメクチンの使用を進めるような答弁をしています。
「さる2月17日の衆議院予算委員会で、立憲民主党の中島克仁議員がイベルメクチンについて、『国として早期にコロナの治療薬として承認できるように治験に最大限のバックアップをすべきである』との提案を行いました。田村厚生労働大臣は『適応外使用では今でも使用できる。医療機関で服用して自宅待機するという使用法もある』と答弁しています。菅首相は『日本にとって極めて重要な医薬品であると思っているので、最大限努力する』と答弁し、積極的な取り組みを示すような発言でした。しかし現実には(取り組みは)できていません」
――なぜ、できないのでしょうか?
「私たちも、日本の承認薬を供給する企業とその先にあるアメリカのメルク社がどういう供給体制にあるのか調べました。メルク社は治療薬を開発中であるせいか、イベルメクチンは新型コロナの治療・予防には効かないという見解で、疥癬などの皮膚病以外に使わせないとの意向が働いている。つまり、新型コロナに使うといっても、実際にはメルクが出さなければ国内のイベルメクチン供給には結びつかない。医師がイベルメクチンの処方を書いても、薬局には薬剤がない。これでは事実上使えないことになります」
「しかし、(メルクは)イベルメクチンは効かないと言っているのだから、何も供給を制限する必要はないはずです。効かないなら需要がないのですから。効くと信じているから供給をブロックしているように見えてしまいます」
ジェネリックも普及しない理由は
――イベルメクチンのジェネリック薬品は中国、インドなどでも大量に製造されています。メルクが出さないなら、それを輸入して供給する手段もあるはずです。
「そうです。医師でもある中島議員が中心になって衆議院に提出した『新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案』(日本版EUA*整備法案)が成立すれば、ジェネリック製剤も使用できるようになります。しかし、現時点では政府は全く動いていないのではないでしょうか」
「もう一つの問題は、イベルメクチンがすでに世界の多くの国で使われ、用法や用量、安全性・有効性などが確認されているのに、日本ではまだ臨床試験段階でそうはなっていない、ということです。このため、イベルメクチンは医薬品副作用の被害救済制度の対象になっていません。これでは医師は使いにくい。しかし、そういう不安と不利な状況の中でも、イベルメクチンの効果を確信している医師たちの中には、自らの責任でイベルメクチンを処方している医師が出てきています。私は日本版EUA整備法を早く成立させてほしいと願っています」
*EUA(Emergency Use Authorization)緊急時に未承認薬などの使用を許可したり、既承認薬の適応を拡大したりする米食品医薬品局(FDA)の制度。FDAが<1>生命を脅かす疾患である<2>疾患の治療などで一定の有効性が認められる<3>使用した際のメリットが、製品の潜在的なリスクを上回る<4>ほかに疾患を診断、予防、または治療する適当な代替品がない――という条件を満たすと判断した場合に使用が認められる。
使用国なのに現実には使えない
――適応外を認めたので、世界では日本は「イベルメクチン使用国」に区分けされていますが、現実には使えない体制になっているということですね。
「その通りです。要するに政府はイベルメクチンを供給できる体制も構築せずにいるわけで、推進体制にはなっていない。日本版EUAを早く整備して、現場の医師が使用できる体制になれば、田村厚労大臣が国会で答弁したように、現実的に自宅待機、療養の患者さんにも投与できるわけですが、いまの体制では事実上何もできません。よく『国民の安全のため』と言いますが、このような有事の際にも慎重姿勢を崩さないのでは、国民の安全を犠牲にしているとしか理解のしようがありません」
自ら手を出さない学術現場や研究者
――日本の問題点はほかにもないでしょうか。
「イベルメクチンは大村智博士が発見してノーベル賞までいただいた薬剤です。コロナに本当に効いているかどうか日本が世界に先駆けて取り組む実行力があるべきです。WHOやアメリカの国立衛生研究所(NIH)がコロナへの効果が未確定だとの見解を取り続けていますが、パンデミックの中でこれだけ世界中でイベルメクチンが使われているのですから、科学的なエビデンス(証拠)を得られる臨床試験を国が主導して行い、客観的で納得できるような結論を示せば、日本の研究水準のアップにもつながります」
「南米、アジアなどでイベルメクチンがコロナに効いているという結果をアメリカの臨床医師たちのグループ(FLCCC)が発表し、イギリスのイベルメクチン推奨団体(BIRD)などの医師グループは、多くの論文を総合的に分析したメタ解析から『効果あり』を確信し、世界中の医療現場にイベルメクチンを推奨しています。日本オリンピック委員会にも、東京オリンピックの開催にあたってイベルメクチンの有効使用をすべきだと伝えてきましたが、政府は何も対応しませんでした」
「学術現場の研究者や大学の先生にも問題があります。自らは何もやらないで、WHOのような国際機関や欧米の大きな保健機関が出した『イベルメクチンはコロナに効くかどうかは未確定』という見解を自分たちの見解にしている人が多い。主体的にやらないで、人の意見だけで動いています。どうしてイベルメクチンが効くか効かないか、自分たちで確かめてやろうという気にならないのか。やりもしないで批判ばかりしている評論家や研究者・学者がいるのは嘆かわしいことです。日本のアカデミアはもっと積極的に貢献してほしいと思います」
都医師会は「使用に取り組みたい」
――日本でもようやく、製薬企業大手の興和(コーワ)が主体になった臨床試験が予定されています。どのように対応しますか。
「東京都も医師会もこの臨床試験を積極的に支援・協力する方針です。協力する医療機関などを積極的に探して提供することにしました。外国が開発したワクチンや治療薬に頼っている国ではどうしようもない。自分たちでイベルメクチンのデータをきちんと出し、日本発として重症化や死亡の減少につながる貢献を目指すことがわれわれのやるべきことです」
――コロナ・パンデミックの体験から日本の医療制度が学ぶべきことは。
「日本の国民皆保険制度のもとで、今回のようなパンデミック有事のときの対応は厳しいことがはっきりしました。民間医療施設は稼働率を精いっぱい高めて効率を上げることで経営しています。そういう中では、今回のように『急激に感染者が増えたから対応せよ』と言われても極めて難しいのです」
「対応策の一例をあげれば、公的医療機関・病院などで1000床くらいの空きベッドを持つ病院を建て、ふだんは研究施設や医師、看護師、検査技師らの研修や訓練機関として運用し、パンデミックが発生した際には医療機関として活用する、という方法があります。スキルを磨いて人材を養成し、パンデミック発生時には育成した人材も投入できる体制にするのです。運用方法を具体化するには課題もあると思いますが、今後、検討・研究すべきだと思います」
インタビューを終えて
使用に慎重なWHOへの反発も
デルタ株(インド変異株)が、日本の感染者のほぼすべてに置き換わろうとしている状況下で、新型コロナの新規感染者数が日々、過去最高を更新している。
都内の自宅療養者は2万人を超え、全国では7万人を超えている。医師でもある中島克仁衆議院議員は「抗体カクテル療法は有効だが、確保量と体制整備に課題がある。コロナ患者の重症化を防ぐため、早期治療の選択肢を広げることが必要だ」と強調する。その選択肢のひとつがイベルメクチンの投与――というのが尾崎会長を強く動かしていると感じた。
コロナ治療・予防へのイベルメクチンの評価はまだ固まっていない。WHOやNIHなど、世界のメジャーな保健機関は、「世界中の科学者を納得させるだけのエビデンスを示した臨床試験結果は出ていない」という見解を維持している。しかし、「これらの主張は根拠が薄い」と反論する医師グループが米英に多数出てきているのも事実だ。
重症化して死に至る人も出る中で、世界中の医療現場では日夜、医師たちが懸命に治療に取り組んでいる。感染急拡大期のインドの医療現場は、まさに戦場だった。治療薬も治療機器類も十分でない医療現場では、新型コロナに効いているとの多数の論文を頼りにイベルメクチンが投与され、大きな効果を上げる例が多数出た。
インド弁護士会は、WHOがイベルメクチンを治療使用に推奨しないとしているのは「患者を見殺しにする殺人罪に等しい」と激しく批判した文書を作り、テドロス事務局長や主任サイエンティストに送り、その文書を世界に向けて公表している。
イベルメクチンの効果ありとする医師団体がアメリカのFLCCCとイギリスのBIRDである。FLCCCは、世界の613人の科学者(医師・研究者)が2万6398人を対象に行った63件の臨床試験のメタ分析(8月15日現在)の結果をまとめ、以下のように判定している。
▽27件の初期症状治療試験において73%の改善効果
▽22件の重症治療試験において40%の改善効果
▽25件の臨床試験において61%の死亡率低下
メタ解析した約半数の31件が、世界の臨床試験標準とされ、エビデンスを重視するランダム化比較試験(RCT)であり、ここで60%の改善効果が出ている。尾崎会長は、これを信じて治療にイベルメクチンを使おうとする臨床医がいてもおかしくない、との見解を示している。
イベルメクチンを否定する主張も根強い
一方で、コロナ治療・予防にイベルメクチンを使うことに疑問を呈したり、反対する声が根強くあることは事実だ。筆者はイベルメクチン効果なしとする論文を3本読んだが、うち2本は研究者から臨床試験の方法に間違いがあると指摘されたものだ。それ以外に効果なしとする論文はないのではないか。
確かに、「効果あり」としたエジプトの医師グループの論文が、データが
日本版EUA法案成立に期待
田村厚生労働大臣は、国会で「適応外使用では今でも使用できる。医療機関で(イベルメクチンを)服用して自宅待機するという使用法もある」と答弁している。これが簡単にできるなら、東京都医師会はわざわざ「イベルメクチンを使用すべきだ」と主張する必要はないはずだ。
尾崎会長は「適応外使用では、副作用などで健康被害があっても救済制度の対象にはならないし、第一、処方してもモノがない」と語っている。ジェネリック製剤が使えるようにならない限り、イベルメクチンは現実的には「いつまでも使えない薬」であり続けてしまう。
その壁を越えるのが、医師でもある立憲民主党の中島克仁衆議院議員らが国会に提出した「日本版EUA整備法案」の成立だ。しかしいま、国会の休会で棚ざらしになったままだ。
筆頭提案者の中島議員は「この法案を成立させれば、すべて解決します」と言う。疥癬治療薬のイベルメクチンがコロナ治療に使えるようになり、ジェネリック製剤の使用にも道が開け、副作用などの健康被害は救済できるようになる。これなら医師は積極的に処方するようになるだろう、と考えているのだ。
日本国民全体に対するワクチン接種率は、1回目が約50%、2回目はまだ40%にも届いていない。国内で最大の地域人口を抱える東京都医師会の尾崎会長の最大の懸念は、重症患者を受け入れる医療施設の
日本で発見されたイベルメクチンは、コロナ・パンデミックの「救世主」となる可能性を秘めている。これまでの世界の臨床試験報告を見ても、全く効かないということはあり得ない。インドをはじめ多くの国が、緊急的にイベルメクチンを投与して感染拡大を抑え込んだ実績がある。緊急時のいま、コロナ感染に使用することに
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