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河野デジタル大臣が記者会見で「デジタル改革のスピードアップ」のための方策について語った。その中で、フロッピーディスクのような記録媒体を行政機関への提出形式として指定するような「アナログ規制」の見直しに触れた。1900に上る法令の見直しをどのように進めるのか。
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河野太郎デジタル大臣は2022年8月30日に大臣就任後4回目となる記者会見を行った。2023年に日本で開催されるG7(主要7カ国首脳会議) の関係閣僚会合としてデジタル・技術大臣会合の開催が決定した他、デジタル改革を迅速に進めるための「2プラス1」の実施や、デジタル化に逆行する「アナログ規制」の見直しを手掛ける法案審査のための組織の立ち上げに触れた。
「今どき、フロッピーディスクはどこで買えるんだ」
「いまだに官公庁でフロッピーディスクが使われていたとは…」――。河野大臣が今回の会見の中で、デジタル臨調の調査によって行政手続きなどでフロッピーディスクや光ディスク(CDやDVDなど)を提出時の記録媒体として指定する法令が1900条項存在することが判明したと明らかにしたことを受け、SNSでは驚きの声が上がっている。
もっとも、行政機関におけるフロッピーディスクの利用が話題になったのは今回が初めてではない。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策関連の給付金を阿武町(山口県)が一世帯にまとめて誤送金した件でも、町役場と金融機関とのやりとりにフロッピーディスクが利用されていたとの報道を受け、2022年4月22日の夕方に「フロッピーディスク」がTwitterトレンド入りした(注1)。
フロッピーディスクなどの記録媒体の使用が法令によって定められていることを明らかにした今回の調査を受け、河野氏はデジタル大臣としての初会見で目標として述べた「ファクス撲滅」に触れつつ、「それ(ファクス撲滅)はそれでやるが、(中略)フロッピーディスクとか光ディスクとか、媒体を個別に指定している法令が結構あることがわかった」と話した。
続けて「今どき、フロッピーディスクはどこで買えるんだということもある」として、これらの法令を2022年末までに見直す方針を示した。
河野大臣はさらに、こうしたデジタル化に逆行する「アナログ規制」の見直しは岸田文雄総理大臣の肝いりであることを明かし、「デジタル改革についてはスピードを最優先に実行してほしい。(中略)秋(の臨時国会)に向けてしっかり審査してほしい」と具体的な指示内容を紹介した。
2年前倒しで法案審査のための組織が発足 前倒しの理由は?
こうした経緯で、今回の記者会見当日、デジタル臨時行政調査会(デジタル臨調)の事務局に創設されたのが法案審査のための組織だ。
同組織は17人で構成され、今後、国会に提出される法案が、デジタル庁が進めるアナログ規制改革に逆行しないかどうかを事前に審査する役割を担う。もともと2024年の発足を予定していたため、2年前倒ししたかたちとなる。
河野大臣は前倒しの理由について「アナログ規制を外そうと言っている時に、新しいものが出てきては困る」と語った。
今後の取り組みについては「クラウドなどの新しい技術の導入、活用を阻害する恐れのある規定についても対応しなければならない」と既存の規制を見直す重要さを強調しつつ、「新しい法令にアナログ規制が間違っても入ることのないようにしっかり対応していきたい」と話した。
また、「アナログ規制」を技術で解消するための「テクノロジーマップ」と「デジタル技術カタログ」(注2)に触れ、「そういう(デジタル)技術を持っている中小企業をはじめ、さまざまな企業からの(中略)『こういう技術を使って、アナログ規制を置き換えられるよ』という提案を広く受け付けたい」と述べた。
「脱ハンコ」を推進した2プラス1、フロッピーディスクも追放できるか
河野大臣がデジタル改革を迅速に進めるための枠組みとして強調したのが、岡田直樹規制改革担当大臣と共に進める「2プラス1」の実施だ。
「2プラス1」とは、行政改革担当大臣時代の同氏が平井卓也デジタル改革大臣(当時)とタッグを組み、他分野の閣僚と面談して改革を進めるための協力関係を構築する仕組みを指す。
2020年当時はコロナ禍対策でテレワークへのシフトが進む中、承認手続きなどに押印を必須とするビジネス習慣が問題となった。一部で「脱ハンコ」と呼ばれる、河野氏主導のこのビジネス習慣の見直しも「2プラス1」によって進められた。
河野大臣は、デジタル大臣就任後の初会見でも岡田直樹規制改革担当大臣との「2プラス1」実施に言及しており(注2)、「デジタル改革をスピードアップする」ための施策として今回改めて強調したかたちだ。
Android端末は2022年度末までにマイナンバーカード搭載へ
河野大臣はデジタル庁が進める「スマートフォンによって60秒で完結する行政手続き」について、Android端末は2022年度内をメドにマイナンバーカード搭載を進めていること、iOS端末についてはAndroid端末よりも搭載が遅れることを明らかにした。
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