2023年1月7日土曜日

Project K2 S9500の画像 JBL Project K2 S9500 BQ、GYQ:¥2,200,000(1台、1989年発売) GMQ、WMQ:¥2,400,000(1台、1989年発売)

 https://audio-heritage.jp/JBL/speaker/s9500.html


1990年代のJBLのフラグシップとして、新開発ユニットをはじめとする数々の技術を投入して開発されたプロジェクトK2のスピーカーシステム。

S9500は4つのモジュールで構成されており、ベースモジュールB95を基部として、2つの低域モジュール2000Mと3000Mで中高音域モジュール4500Mを挟み込んだ構造となっています。
低音域を受け持つ2つのウーファーをそれぞれ独立のモジュールとしたうえで、中高音域用モジュールを上下から挟み込む仮想同軸レイアウトを形成しておりイメージングの向上を実現しています。

各モジュールは4組の金属製ピンディスクとポイントベースを用いたピンディスク・センタリング・システムによってピンポイントで結合されるようになっています。特に4500Mはモジュールの上下に設けられたそれぞれ4つのピンディスクとポイントベースをモジュールを貫通するステンレスロッドで強固に結合しており、モジュールの上下に配置された2つの低域モジュールの振動モードを揃えて音響的に一体化しています。



3000Mモジュール

3000Mは1400Ndウーファーユニットとエンクロージャーで構成されています。


低域には36cmコーン型ウーファーである1400Ndを搭載しています。
このユニットは475Ndとペアで使用することを前提に開発されたため、475Ndと再生帯域的につながりの良い14インチ口径で設計されています。
磁気回路にはネオジウムマグネットを採用しています。従来の方式では140度以上になると急激に磁力が低下するネオジウムマグネットをウーファーで使用するのは困難でしたが、独創的なベンテッド・ギャップ・クーリング方式を採用することでこれを解決しています。この方式ではギャップ部からユニット後部へ3ヶ所の貫通孔を設けており、ウーファーコーンの往復運動そのものを利用して空気流を通すことでボイスコイルを強制冷却しています。この方式は構造上、熱の発生が大きくなる大振幅時に冷却用の空気の流通量が自動的に大きくなります。


磁気回路の強化によってギャップ部におけるトッププレート幅25.4mmを実現しています。また、扁平度の高いアルミリボン線をエッジワイズ巻にしたショートボイスコイルを採用することで振動板の迅速な応答スピードと大きなリニアモーションを可能にしています。


エンクロージャーは内容積約57リットルのポーテッドダクト・バスレフ方式となっており、ダクトには折り曲げ型のパイプダクトを採用しています。また、形状は高域モジュール4500Mに合わせて設計された変形8角柱となっており、強度を高めるほかに内部定在波が発生しにくいというメリットを持っています。
エンクロージャー材はバッフルボード部にMDF、その他の部分に高密度パーティクルボードを使用しています。また、前面のユニット取り付け部には硬質ゴムを成型したサブバッフルを使用しています。

内部配線にはモンスターケーブルが採用されています。

3000Mモジュール背面の端子板にはHFトリム(High Frequency Trim)スイッチとHFコンター(High Frequency Contour)スイッチを搭載しています。
HFトリムスイッチでは650Hz以上の音域のレベルを1dBずつ増減することができます。このコントロールはレベルの増減がスロープ状ではなく、中高音から高音までの範囲にわたってステップ状に行われます。
HFコンタースイッチでは5kHz以上の高音域のレベルを減衰させることができます。



2000Mモジュール

ユニットには3000Mと同じ36cmコーン型ウーファー1400Ndを搭載しています。

エンクロージャーは外形寸法が高さが3000Mよりわずかに低いですが、内容積は全く同じで、バスレフポートその他も同じ設計となっています。素材についても3000Mと同じで、バッフルボード部にMDF材、その他部分に高密度パーティクルボードを使用し、前面ユニット取り付け部には硬質ゴムを成型したサブバッフルを使用しています。

内蔵されているネットワークはローパス用のみで、パネル部にもマルチアンプ時にネットワークをバイパスさせるための切替スイッチのみが設けられています。



4500Mモジュール

4500Mは475Ndドライバーユニットとホーンで構成されています。


475Ndは、ネオジウムマグネットとピュアチタンダイアフラムを用いたプロフェッショナル用ユニット2450Jをベースに家庭用としてリファインされたユニットです。475Ndの磁気回路は2450Jにおいて採用されていた外磁型を内磁型に変更しています。また、振動板はリブ付きのタイプから変更されており、音質を考慮しアクアプラスを塗布したフラットドーム・ダイアフラムを採用しています。ダイアフラムの口径は4インチ(10cm)で、ダイアモンドエッジ・サスペンションによって直線性の良い動作を確保しています。
さらに、伝統の逆ドーム型ダイアフラム・レイアウトによるコンプレッション・ドライバーの設計や、コヒーレントウェーブ・フェイズプラグと称する独特のイコライザーを経由して2インチ(5cm)径のスロートにつながる音道構成を採用しています。


ホーンは2インチ(5cm)のスロートを持つバイラジアルホーンで、カットオフ周波数は約500Hz、水平方向60度、垂直方向40度の放射パターンを有しています。
ホーンの本体にあたる上下部分は無垢の透明アクリルブロックからの削り出し加工によって作られており、優れた剛性を持つ大型ホーンに仕上げられています。また、側板部分はMDFを用いて構成しており、表面を鏡面仕上したアルマイト板で処理しています。
スロート部分はアルミのキャスト製で、切削加工によって複雑な形状を精密に仕上げています。



B95ベースモジュール

B95はカラーコンクリートの成型による台座で、単体の重量は約45kgあります。

ベースモジュールには4つのポイントベースが設けられています。このポイントベースは高さ調節が可能なかたちに作られており、システムの水平を出すことができるようになっています。



その他

システムへの入力端子は3000Mモジュールの背面に設けられており、2000M及び3000Mの2つの低域モジュールは金メッキが施された極太のバスバーによって並列接続されています。

クロスオーバーネットワークは3000M内にハイパス用及びローパス用が、2000M内にローパス用が収められています。
このため、4500Mに使用されている475Ndとの接続は3000M経由で行われます。

パワーアンプとの接続は通常の接続に加えてバイワイヤリング方式も対応しています。
また、エレクトロニック・クロスオーバーを用いたマルチアンプ方式も可能で、この場合は内蔵のネットワークを切り離しできるようバイパス用スイッチがそれぞれの低域モジュールに設けられています。

外観の仕上げはブラック、グレイ、ガンメタリック、ホワイトウォッシュメープルの4色のバリエーションがありました。


  • HFトリムスイッチ
  • HFコンタースイッチ
  • 475Ndドライバーユニット
  • リアカバーを外してダイアフラムを見る
  • 1400Ndの写真
  • 4500Mモジュール
  • 3000Mモジュール
  • 内部
  • 2000Mモジュール
  • 内部
  • B95ベースモジュール
  • ピンディスクとポイントベース
  • モジュール構造
  • 背面連結部
  • コントロールパネル
機種の定格
方式2ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・フロア型
ユニット等低域用:36cmコーン型(1400Nd)x2
高域用:ホーン型(475Nd)
周波数特性33Hz~21kHz -6dB
出力音圧レベル97dB/2.83V/m
公称入力インピーダンス
最大許容入力400W(I.E.C Shaped noise)
クロスオーバー周波数650Hz(-12dB/oct)
外形寸法幅590x高さ1,370x奥行500mm
重量149kg
<475Ndの仕様>
ダイアフラム口径102mm(4inch)
インピーダンス16Ω
周波数特性500Hz~21kHz
出力音圧レベル107dB/2.83V/m(ホーン付)
<N1400Ndの仕様>
口径355mm(14inch)
fo25Hz
周波数特性20Hz~2kHz
出力音圧レベル92dB/2.83V/m






















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