全2076文字

 「説明会の内容を高く評価している。総じてポジティブだ」――。ある外資系証券アナリストは、2024年9月10日に富士通が開催した投資家・アナリスト向けの説明会「IR Day 2024」の内容についてこう述べた。

 アナリストの説明を裏付けるように、9月11日の富士通の株価は一時4.7%上げる場面もあった。その具体的な中身を見てみよう。

中計達成に欠かせない成長ドライバー

 富士通は2023年5月に公表した中期経営計画(2023~2025年度)で、主力の「サービスソリューション」事業の調整後営業利益率を、2025年度に15%(2022年度は8%)とする野心的な目標を掲げる。

 達成に向けてカギとなる成長ドライバーが「モダナイゼーション(近代化)」「Fujitsu Uvance」「コンサルティング」「テクノロジー」だ。IR Day 2024ではCFO(最高財務責任者)の磯部武司氏を含む5人の副社長が登壇し、それぞれが責任を負う事業領域について説明した。

富士通が掲げる4つの成長ドライバー
富士通が掲げる4つの成長ドライバー
(出所:富士通「IR Day 2024」)
[画像タップで拡大表示]

 1点目のモダナイゼーションは、島津めぐみ執行役員副社長COO(サービスデリバリー)が担当する。島津副社長は同説明会で、メインフレームやUNIXサーバーなどレガシーシステムからの脱却を支援するモダナイゼーション事業の売り上げを、2023年度の約1600億円から、2025年度に3000億円規模まで拡大する計画を明らかにした。「一般的に国内ITサービス市場の伸びは年105~107%とされているが、当社のモダナイゼーション事業は2020年代後半まで年120%の伸長を見込んでいる」(島津副社長)。

モダナイゼーション事業の中期売り上げ目標
モダナイゼーション事業の中期売り上げ目標
(出所:富士通「IR Day 2024」)
[画像タップで拡大表示]

 顧客のモダナイゼーション需要を取り込むため、メインフレームなどの技術に精通したエンジニアを集めた「モダナイゼーションマイスター」を設置。同組織を2024年度に100人体制とし、2026年度に500人とする計画だ。定年後の再雇用者に対し、特別な処遇制度を用意するなどして技術者を集めている。富士通は同事業の「グロスマージン(粗利益)率は2025年度に40%を見込む」(同)とした。

広告