2024年10月17日木曜日

手のひら大の「クリーンルーム」 ミニマルファブのリソグラフィ実演 多品種少量生産を支援

 

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手のひら大の「クリーンルーム」 ミニマルファブのリソグラフィ実演多品種少量生産を支援(1/2 ページ)

ミニマルファブ推進機構は「CEATEC 2024」で、ミニマルファブ向け超小型半導体製造装置によるリソグラフィ工程の実演デモを行った。ミニマルファブ向け製造装置は、クリーンルームではない環境で、家庭用電源で利用できるなどの利点がある。

 ミニマルファブ推進機構は「CEATEC 2024」(2024年10月15~18日、幕張メッセ)で、ミニマルファブ向け超小型半導体製造装置によるリソグラフィ工程の実演デモを行った。

超小型半導体製造装置によるリソグラフィ工程の実演デモ
超小型半導体製造装置によるリソグラフィ工程の実演デモ[クリックで拡大]

クリーンルーム不要のミニマルファブ

 半導体製造は一般に、巨大な工場やクリーンルームを整備して12インチウエハーで大量生産を行う場合が多い。そうしたメガファブ1棟あたりの設備投資は2兆円にも達する。

 対して、小規模な設備で0.5インチウエハーを用いて半導体製造を行うのがミニマルファブだ。設備投資は5億円程度で済むため、中小企業やスタートアップが投資額を抑えて半導体デバイスの製造を始められる。デバイスは1点から製造でき、多品種少量生産がしやすい。

ミニマルファブで使用する共通シャトル。0.5インチウエハーが格納されている
ミニマルファブで使用する共通シャトル。0.5インチウエハーが格納されている[クリックで拡大]

 ミニマルファブ向けの製造装置は、どの工程で使う装置も同一の形状、サイズになっている。ウエハー搬送容器(シャトル)も各工程で共通している。装置内とシャトル内がクリーン環境なので、大規模なクリーンルームを整備する必要がない。シャトルは直径4cm程度と手のひらに乗るサイズだ。

ミニマルファブ推進機構は「CEATEC 2024」で、ミニマルファブ向け超小型半導体製造装置によるリソグラフィ工程の実演デモを行った。ミニマルファブ向け製造装置は、クリーンルームではない環境で、家庭用電源で利用できるなどの利点がある。

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リソグラフィ工程を実演 家庭用電源で

 ブースでは、レジスト塗布/露光/現像の各プロセスの装置を3台並べてリソグラフィ工程の実演デモを行った。

 シャトルを手で持って装置にセットし、スイッチを押すと装置が起動する。終了後はシャトルを取り上げて次の装置にセットする。装置内部の様子や進捗状況はそれぞれの装置のモニターに表示される。

装置にセットされたシャトル。右側の緑色のスイッチを押すと装置が起動する
装置にセットされたシャトル。右側の緑色のスイッチを押すと装置が起動する[クリックで拡大]
レジスト塗布の様子露光の様子左=レジスト塗布の様子、右=露光の様子[クリックで拡大]

 3つのプロセスが終了した後、顕微鏡でウエハーを確認すると、「Happy Halloween」という文字やかぼちゃのイラストのパターンが形成されていた。

現像の様子完成したパターン左=現像の様子、右=完成したパターン[クリックで拡大]

 ミニマルファブ向けの製造装置は低消費電力であることも特徴で、家庭用のAC100V電源が利用できる。今回のデモで使用した装置の消費電力は、レジスト塗布/現像プロセスが150W、露光プロセスが300Wだ。使い終わった後はその都度電源をオフにできるという。

 今回、各プロセス間のウエハー搬送はシャトルを手で持って移動させていたが、装置数が多い場合は装置間の自動搬送システムも利用可能だ。

 ミニマルファブ推進機構は「ミニマルファブでは、アイデア勝負で誰でも半導体製造に参入できる」とアピールした。

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