https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/01588/
キヤノンが2023年10月に発売したナノインプリントリソグラフィー装置に、半導体業界からの注目が集まっている。2024年9月26日、米半導体コンソーシアム「Texas Institute for Electronics(TIE)」向けに出荷するとキヤノンが発表した。最先端半導体の製造に使われているEUV(極端紫外線)露光装置と比べて低コストで低電力とされ、半導体メーカーによる量産に向けた技術評価も進み始めた。
ナノインプリントリソグラフィー装置「FPA-1200NZ2C」をTIE向けに出荷した。ロジック(演算用)半導体の5nm世代に当たる最小線幅14nmのパターンを形成できる。先端品のロジック半導体やメモリーなどの製造に利用できる。
この装置ではシリコンウエハー上に感光剤(フォトレジスト)を塗布し、回路パターンを刻み込んだテンプレート(型)をハンコのように押しつける。その上から光を当てることで、微細パターンを形成する。複数のミラーなどで構成される露光装置やフォトマスクを必要とするEUV露光に比べて、コストや消費電力を下げられるとうたう。
ナノインプリントリソグラフィーはキヤノンがキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)や大日本印刷と共同開発してきた技術。キオクシアがNAND型フラッシュメモリーへの適用に向けた検討を進めているほか、韓国メモリー大手のSK hynix(SKハイニックス)なども量産への適用を検討していると見られる。
テンプレート上の欠陥による歩留まり低下などが懸念され、スループット(生産性)でも従来の露光技術と比べて不利との見方が強いが、業界からの関心は高い。課題を克服できれば、EUV露光を補う技術として採用が広がる可能性がある。
出荷先のTIEは米テキサス大学オースティン校が主導し2021年に設立された団体で、州政府や自治体、半導体企業、国立研究所などで構成される。2023年には米テキサス州が半導体支援法「Texas CHIPS Act」に基づき、4億4000万米ドル(約630億円)をTIEに拠出した。
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