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ポルトガルの汚染された工業地帯で、「有機フッ素化合物(PFAS)」を分解する細菌が発見されたそうだ。
PFASはきわめて分解されにくいことから「永遠の化学物質」と呼ばれる厄介なものだ。だが「Labrys portucalensis F11(F11株)」は、そのガッチリとした化学結合を切断し、副産物の一部を分解する。
PFASは、長年にわたって撥水性の高さから様々な用途に使用されていたが、いつまでも残り環境を汚染し、食物、水道水、さらには人間の体内にも広く検出されるようになっている。もしかしたらその除去にF11株が一役買ってくれるかもしれない。
永遠の化学物質「PFAS」を切断、分解するバクテリア
「有機フッ素化合物(PFAS)」は、水や油をはじき、化学的に安定していることから、防水スプレーやテフロン加工のフライパン、消火剤、あるいは紙製のストローなど、さまざまな用途に使用されてきた化学物質だ。
しかし、炭素とフッ素原子の結合がきわめて強力なため、自然界ではほとんど分解されず、環境に長く残留し、生物の体内に蓄積されることから、「永遠の化学物質」と呼ばれている。
それは使いやすさにつながる性質であるが、1万種類以上あるPFASの中には有害なものもあるため、現在は使用規制が世界的に進められている。
そんな中、ニューヨーク州立大学バッファロー校のニュースリリースによると、「Labrys portucalensis F11(F11株)」がこの強固な結合を切断して分解し、炭素を食べてエネルギーにできることを発見したという。

PFASのみならず、代謝物も細かく分解
この細菌は、ポルトガルの汚染された工業地帯の土壌から特定されたもので、研究では、F11株をPFAS以外に炭素源を持たない環境で培養し、その切断、分解能力を検証した。
実験の結果、F11株が実際に3種類のPFASを分解することを確認している。
- PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸):100日間で90%以上の結合を切断・分解
- 5:3フルオロテロメルカルボン酸:100日間で58%の結合を切断・分解
- 6:2フルオロテロメルスルホン酸:100日間で21%の結合を切断・分解
だがF11株がすごいのはそれだけではない。細菌が何かを分解する際、その代謝物ができるが、F11株はその代謝物にいたるまでフッ素を除去するか、検出不能なレベルまで細かく分解していたのだ。
これまでの研究では、細菌の代謝物までは分析されないことが多かった。その点、F11株は最後の最後まで永遠の化学物質を処理してくれる頼れる奴であることがしっかり確認されたのだ。

化学物質に汚染された過酷な環境を生きるための進化
だがなぜF11株はそんなすごい力を手に入れたのだろう?
ニューヨーク州立大学バッファロー校のダイアナ・アガ氏の解説によれば、汚染された環境で生きるために適応した結果であるという。
細菌が過酷な汚染された環境で生きられるのは、周囲の化学汚染物質をエサとして利用できるよう適応したからにほかなりません(ダイアナ・アガ氏)
F11株が発見されたのは、化学物質による汚染が進んだポルトガルの工業地帯だ。PFASは決して美味しい食べ物ではなかったかもしれないが、F11株は生きるためにこれを分解して、その炭素をエネルギーにする方法を獲得した。
じつは、F11株が医薬品のフッ素を除去できることは、これまでも知られていたのだという。

最大の課題はPFASをご馳走にすること
F11株は、永遠の化学物資の掃除屋としてきわめて有望だ。だがその一方で、課題がないわけでもない。
はたして現実の環境でF11株を使用した際、本当にPFASを分解してくれるのだろうか?
今回の実験では、F11株はPFASのみが与えられた。だが実際の環境には炭素がいたるところにある。
あえて頑丈なPFASを分解せずとも炭素を利用できるのだ。ならば、わざわざPFASの化学結合を切断するなんて大変なことをしないで、楽に手に入る炭素を選ぶのではないだろうか?
実用化されればF11株は、下水処理場の活性汚泥内で増殖させてから汚染地帯に投入されるか、直接汚染された土壌や地下水に注入されるだろうという。
だが、その際にいかにしてPFASを食べてもらうのか?
テーブルの上に柔らかくて美味しいお肉があるのに、お客にはあえて筋っぽくて噛みきれないお肉を食べてもらう…研究チームは今後、そんな方法を考案しなければならない。
この研究は『Science of the Total Environment』(2025年1月10日付)に掲載された。
References: Bacteria found to eat forever chemicals — and even some of their toxic byproducts - University at Buffalo
本記事は、海外の情報を基に、日本の読者向けにわかりやすく編集しています。
おお!これは朗報
お客にはあえて筋っぽくて噛みきれないお肉を食べてもらう
料理店あったらSNSで大荒れするぞ
もっとも日本という調理人が協力するとF11株というお客が喜ぶ
調理方法を思いつくんだろうな
ヒトの知見では柔らかいお肉がご馳走だけど筋っぽいお肉の方がご馳走となることも十分ありえる。
F11株よ。ヒトの尻拭いさせるみたいで申し訳ないけども、よろしく頼む…
〝過酷な環境が生物の進化を促す〟
これって薬剤耐性菌の発生や、免疫を回避するウイルスの進化と同じ原理ではないかと
くれぐれも油断禁物
環境破壊で人類が滅びた後も世界は続くという証拠でもある。
人類の歴史も地球の一瞬の出来事に過ぎない。
「あいつら迷惑だったよねー」って語られ忘れられていくのかな。
人類が予測ができることは、全て防げることかもしれない。人類の限界がどこにあるかはまだまだ分からんよ
酸素も毒だったんだよね
今も酸素は毒です。 毒性を発揮するのは一般に圧力が高い(酸素分圧が1.3~1.4気圧を超える)時なので潜水のときに問題がでたりします。 初期のアポロ計画では純粋酸素を使いましたが、毒性もあって圧力を下げたりしましたけど、事故が起こって純粋酸素はやめました。
普段の生活でも活性酸素という言葉を見かけたことがあると思いますが、そんなこんなで今でも酸素の毒性はそれなりにあります。
酸素の毒性は現在でも高くて、健康関係のテレビやYouTubeの動画でも頻出する活性酸素や高度浄水処理に使われるオゾンの毒性はよく知られています。
「全てのものは毒であり、毒でないものはない。用法・用量だけが毒でないことを決める。」
とは、16世紀のヨーロッパの医師・化学者であるパラケルススの言葉ですがまさに酸素とはそのような存在の一つです。
スライム工学だね
分解できるからといって実際に優先して分解してくれるわけでもないんだな
まあそりゃそうか
自分しか食えないものなら、残しといても他の細菌に利用される心配がないもんな
「絶対に分解されない化学物質」
vs
「結局なんでもかんでも分解する微生物」
ファイ!
そもそも、化学物質って言っても自然界で絶対に生成されないという確率はないからな
どんなものも分解できる微生物がいると仮定した方が辻褄が合うからね
微生物先輩ってすげー、やはり永遠はこの世には無いということなのか
空の星にすら永遠の時は無いですからねぇ・・・。
細菌も生きる為に必死
あらすじしか知らないけどSF小説で原油による海洋汚染を解決するために投入した微生物がありとあらゆる石油製品を食べ尽くして現代社会が崩壊していくというものがあったなあ
食料や生体のような柔らかい炭素結合や、体内に蓄積したPFASに群がって病原体化しませんように
そもそも環境中に存在する量がナノグラム単位の極少量なので、ほかに食べ物がないような極限状況下でもないと分解しないだろうけどね。
テーブルの上に柔らかくて美味しいお肉があるのに、お客にはあえて筋っぽくて噛みきれないお肉を食べてもらう
うまい例えだな
すじ肉をコトコト煮込むとすごく美味しいんだけどね
自然は偉大だなー
最近の細菌研究はスゴイね!
人間にもバリカタせんべい愛好家がいるように、菌にもそれを好む用なるまで継代飼育するしかないんじゃないかな
あるいは工業排水にだけ反応するように極端なphを好ませるか
記事を読む限り、PFASの中に有ったフッ素原子が何らかの形で消滅してしまったことになるんだがw 保存則どうなってるんだ。