https://karapaia.com/archives/499319.html
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街を歩いているとき、視界の中にふと違和感を覚えることはないだろうか。目から入ってくる情報の中の、何かが正しくない感じ。
例えばパチンコ屋の看板の「パ」の字だけ消えてたりとか、ネオンライトが一角だけ切れていたりとか、そういうヤツだ。
毎日毎日、そんな欠けた情報を見せられていると、ふつふつと不快感が沸き上がってきたりした経験はないだろうか。いつまで放っておくんだよ!と。
イギリスのとあるショッピングセンターで、マクドナルドの看板のロゴの一部が欠け落ちていた。
これが気になって仕方がなかった通りすがりの男性が、なんと自前かつ自力でこのロゴを修理。ショッピングセンターから感謝状が贈られた。
何かが違う?マクドナルドのロゴの違和感の正体は
2025年3月、イギリス北部の都市リーズにあるホワイトローズ・ショッピングセンターのマクドナルドのロゴが、突如世間の注目を集めることとなった。
そのロゴは遠目に見ても近くで見ても、違和感を覚えるものだった。確かに「McDonald’s」と書いてあるのに、妙に見慣れない文字列に見えるのだ。
よく見ると「D」の文字の中にあるべき空間がない。さらに数m離れた場所にあるもう一つのロゴでは、「o」の内部が同様に潰れており、アルファベットの印象が微妙に変わっていたのだ。

我慢できなくなった男性、自力での修復を決意
普通なら「よくあること」と思ってスルーするところかもしれない。
だが地元出身のデジタルクリエイター、スティーブ・ラヴェルさん(50)は、このロゴのを見る度になんだか落ち着かない、ムズムズする気分を持て余していた。
これは視覚的に軽い苛立ちを覚えるものでした。単純な図形で胸の高さにあったため、自分で何か対策を講じようと思ったんです
そこでラヴェルさんは、この嫌な気分を自分で何とかすることに決めた。つまり、ロゴを自分で修復してしまおうというのだ。
彼はまず、マクドナルドのブランドガイドラインを詳細に調べ、必要なロゴとフォントを確認した。サイズもきっちり計測した。

精密な修復作業が完了
最初の試みは2025年3月19日に行われた。だがこの時は、プラスチックの板を切り抜いて貼り付けただけの簡単なもので、満足のいく仕上がりとは到底言えなかった。
というかこの人、絶対几帳面な人だよね。相当なきっちりさんだ。
ラヴェルさんはついに本気を出すことに。まずFusion360という3Dモデリングソフトを使って、修復するためのパーツを設計した。
更に各文字に必要な「カウンター(内抜き部分)」を2つのパーツに分けてモデリングし、3Dプリンタで実際のパーツを作り出したのだ。

パーツが完成すると、ラヴェルさんは再度ホワイトローズ・ショッピングセンターに足を運び、いよいよロゴの修復に取りかかった。
そして23日に再度修復を決行。「D」と「o」の内側に、自作の白いプレートをテープで固定して、無事に修復を終えた。
この日は週末で混雑していたため、彼は「周囲の人々に誤解されないように」と業者用のIDカードをもらい、警備員に立ち会ってもらうのも忘れなかった。
こうすることで、これがイタズラではなく正式な修復作業であることを証明できたのだ。
修復にはもっと簡単な方法もあったかもしれないけれど、これはあくまで僕のやり方だったんだ。
たとえ貼り付けた部分が取れてしまっても、土台のプレートがそのままの形状を保持するように設計してあるんだよ

実はホワイトローズ・ショッピングセンターでは、ラヴェルさんがロゴの修復に取り組んでいるのを事前に把握していたようだ。
そして修復が完了した時点で、「今月の最優秀従業員」と題した表彰状という体で、ラヴェルさんに感謝状を贈った。そこには以下のように書かれていた。
3月の月間最優秀従業員であるスティーブ・ラヴェルさん、あなたの献身的な働きに感謝します。私たちはあなたの仕事をとても気に入っています
そしてこれ以後も永久的に、彼がこのロゴの修復作業に携わり続けることを許可したという。

もらった賞状も修復しちゃってやり過ぎたかも?
ところで、クリエイターとして非常に敏感な「目」を持ち、几帳面な性格のラヴェルさんは、もらった表彰状のデザインにも気になるところがあったようだ。
そこで彼は、ちょっぴり歪んで見えた写真を補正し、ショッピングセンターのバラのロゴやフォントを調整。どこがどう変わったのか素人目にはピンとこないが、よーく見ると微妙に位置が調整されている。
だがこの過程をネットに投稿したせいで、画像を見た人たちからは「表彰状を自分で作ったのか?」といらぬ誤解を招く結果に。
彼はこれは自己満足のためにコンピュータ上でやったことで、印刷して実際の感謝状と置き換えたりするつもりはないと話している。

話題のニュースになって本人もビックリ
スティーブさんはこのことを、「Dull Men’s Club(冴えない男たちのクラブ)」というFacebookグループに投稿し、そのまま映画を見に行った。そして映画が終わって外に出てきたとき、彼は仰天することになる。
彼の投稿には9,000件もの「いいね!」がつけられ、丸一日経つ頃には34,000件を超える反応と数千件のコメントが殺到。あっという間に彼が行ったロゴの修復は世間の知ることとなったのだ。
- とてもプロフェッショナルな仕事のようだね。よくやったよ
- こういう無認可の修復は俺の好物だ。破壊行為とは真逆だけど、違法なニオイがぷんぷんする
- 修復にかかった費用の請求書を送ってみたら?
- 逆に訴えられそうな気がする
- 自分の利益にもならない小さなこと気にする人がもっと増えたらいいのに
- この「冴えない男たちのクラブ」からヒーロー現る?
- ヒーローがみんなマントをつけているわけじゃないってことだね
- たまにこんなことがあるから、このグループやめられないんだよな
- こういうゲリラ修復みたいの大好き!俺もやりたい!
- このマクドナルドの店長、友だちなんだけど知らせておくわ
その後もネットニュースでの紹介はもちろん、テレビからの取材の申し込みも後を絶たず、ラヴェルさんはちょっとした有名人になってしまった。
彼は今回の事態に驚くとともに、次のよう語っている
人々の注目を集めているのは、このことの無意味さだと思う。看板の一部が欠けていることに気づく人はあまりいないでしょう。
それを気にする人はさらに少ない。そしてわざわざ時間と労力を費やして、実際に修正しようとする人は皆無に等しいと思うんだ
ちなみに当のマクドナルドの店長は、コメント欄にいた誰かがこの記事にタグ付けするまで、ロゴが欠けていたことも、いつの間にか修復されたことにも気づいていなかったそうだ。
マクドナルドはあくまでホワイト・ローズ・ショッピングセンターのテナントであり、ロゴ自体もショッピングセンターのものではあるそうだが、それはそれでどうかと思うんだが。
編集長パルモのコメント

この人の部屋は物がきちんと整理されてて、ファイリングも、引き出しの中の収納も完璧なんだろうな。脱いだ洋服を抜け殻の状態で放置したりなんかしないんだろうな、私みたいに。こういう人に私もなりたかった。毎日30分はしまい忘れたり、置き忘れた何かを探しているもんな。引き出しの中は年に1回整理をしても4日で元通りさ。
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