日本政府が2011年に外国人向けの医療滞在ビザ制度を設けてから間もなく6年が経つ。急速な経済成長に伴って国外旅行者が急増した中国人を中心に、日本にやってきて人間ドッグや診療を受ける外国人観光客の規模は大きくなっている。先進的な医療機器、快適なサービスが魅力だが、実際にその恩恵を受けた人も少なくないようだ。

 中国メディア・紅商網は17日、「日本で健診を受けて泣き、そして笑った」とする記事を掲載した。記事は、10月中旬に日本の慶應義塾大学病院で3日間にわたる人間ドッグを受けた結果、早期の肺がんが見つかった中国人男性のエピソードを紹介している。

 記事は、この男性が日本で健診を受けた動機として、中国国内で検査を受けた際に肺に結節が見つかり治療を受けたものの体調が優れない状況が続いたこと、世界先進レベルと称される日本のがん検査がどんなものか試してみたかったことを紹介。3日間の健診では問診から始まり、血液検査、尿検査、検便、胸部CT、MRI、胃カメラ、腸カメラといった多岐にわたる検査を受けたとした。

 そして、2日目の検査後に「早期の肺がんの疑いが高い。帰国後に精密検査を受けて良性か悪性かを確認した方がいい」との告知を受けたとし、「自分の状況を知った男性は『まさか本当に肺がんが見つかるなんて』と落ち込む一方、早期のうちに見つかって良かったという表情を見せた」と伝えた。中国では発見されるがんの80%程度は中期もしくは末期であり、がん患者の20%しか治癒できない状況であるとも説明している。

 記事は、帰国後に精密検査を受けた男性が、今月に入って切除手術を受け、無事成功したことを伝えた。

 記事は、患者と医療機関の間で様々な手配や通訳を行う仲介会社の存在について強調する、宣伝的な色彩が濃い。それはさておき、実際に日本で健診を受けたことで重大な疾病が見つかったという経験談は、「爆買い」に続くブームと称されることもある、中国人観光客の医療目的渡航をさらに勢いづかせることになるだろう。そして、中国の医療業界にとってはますます「気まずい状況」になる。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF