By iwishmynamewasmarsha
失った体の一部を再生する能力を持つ動物が存在し、そのメカニズムを解明する研究が続けられています。ワシントン大学は、人間と同じ遺伝子を多数共有し、かつ、自己再生能力を備えるギボシムシの研究を行い、その再生メカニズムを人間に活用する方法を模索しています。
Head regeneration in hemichordates is not a strict recapitulation of development - Luttrell - 2016 - Developmental Dynamics - Wiley Online Library
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/dvdy.24457/full
Our closest worm kin regrow body parts, raising hopes of regeneration in humans | UW Today
http://www.washington.edu/news/2016/11/28/our-closest-worm-kin-regrow-body-parts-raising-hopes-of-regeneration-in-humans/
ギボシムシは海底の泥の中にいる動物で、ミミズのような細長い体が特徴。しかし、最大の特徴は切断された体の部位を完全に再生する能力です。
研究チームは1匹のギボシムシを半分にカットして経過を観察する実験を実施。半分に切られた尻尾がある部位が以下の画像になり、四角の部分がカットされた箇所になります。
カットされた部分をアップにすると、ヒダ状の体内が見えます。
実験開始から5日後の様子がコレ。傷口はふさがり、白い球状の物体が再生されています。これはギボシムシの頭部で、口や鼻が含まれているとのこと。
実験開始から15日後が経過すると、頭部はほぼ全てが復元されました。頭部には神経管が確認でき、神経システムや内臓機能も元通りに復活しているそうです。
研究チームはギボシムシが体を再生する際の遺伝子発現パターンを分析しています。遺伝子発現とは、遺伝子の情報が細胞の構造や機能に変換される過程のこと。ギボシムシは、体の形成時に消化器官の最初の口としてできる原口が肛門になる新口動物に分類されていて、沖縄科学技術大学院大学の研究によりギボシムシの8600もの遺伝子が新口動物の間で共有されていることが 判明しています。この新口動物には、ヒトを含む脊椎動物が含まれており、ヒトと同じ遺伝子を多数持つギボシムシの遺伝子が、新しく作られた体の部分にどのように変換されているのかがわかれば、人間にも活用できる可能性があるわけです。
実験を率いたビリー・スワラ教授は「人間には再生能力が潜在的に備わっていて、何らかの力によって再生能力を発揮できない状態にある、と考えています。もし、ギボシムシと同じ遺伝子を人間が持っていて、その遺伝子発現を解明できたら、損傷した体の部位を再生することは可能だと信じています」と話しました。
2016年11月30日水曜日
人間が失った人体パーツを自力再生できる可能性
22:11
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