勉強の為に引用しました。
画期的な作用機序と一部患者に対する高い治療効果、そして高額な薬価で注目を集める免疫チェックポイント阻害薬。がん領域で急速に開かれていく新市場をめぐり、▽小野薬品工業と米ブリストル・マイヤーズスクイブ▽米メルク▽英アストラゼネカ▽スイス・ロシュ▽米ファイザーと独メルク――の5つの陣営が開発競争を繰り広げています。
免疫チェックポイント阻害薬は、その作用機序から多くのがん種への効果が期待されるだけに、多くの開発プログラムが進行しています。日本国内での最新の開発状況を整理しました。
「CTLA-4」「PD-1」「PD-L1」7品目が開発中
現在、国内で主に開発が進められている免疫チェックポイント阻害薬は▽抗CTLA-4抗体▽抗PD-1抗体▽抗PD-L1抗体――の3種類です。抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体は国内でもすでに承認されていますが、抗PD-L1抗体はまだ承認されていません。腫瘍免疫に関連する薬剤ではこのほか、免疫細胞を活性化する分子に対する抗体医薬も臨床試験の早期段階にあります。
それぞれの作用機序を簡単に見ていきます。
抗CTLA-4抗体は、免疫細胞表面のCTLA-4というタンパク質を標的とした抗体医薬です。
免疫細胞は、抗原提示細胞である樹状細胞からがん抗原の提示を受けると働きが活発になり、それを目印にがん細胞を攻撃します。ところが、抗原提示を受ける際、免疫細胞のCTLA-4に樹状細胞のB7というタンパク質が結合すると、逆に免疫細胞の働きが抑制され、がん細胞を攻撃できなくなります。そこで、CTLA-4に結合してB7との結合を防ぐのが抗CTLA-4抗体。ブリストル・マイヤーズの「ヤーボイ」(イピリムマブ)がこれにあたります。
一方、抗PD-1抗体と抗PD-L1抗体は対の関係にあります。
がん細胞は、免疫細胞からの攻撃を逃れるために、PD-L1というタンパク質を出し、これが免疫細胞のPD-1に結合すると、免疫細胞の働きが抑制されます。抗PD-1抗体は免疫細胞のPD-1に結合し、PD-L1との結合を阻害。抗PD-L1抗体は、がん細胞が出すPD-L1に結合し、PD-1との結合を阻害します。小野薬品工業の「オプジーボ」(ニボルマブ)や米メルク(MSD)の「キイトルーダ」(ペムブロリズマブ)は抗PD-1抗体です。
国内では現在、「ヤーボイ」と「オプジーボ」、「キイトルーダ」を含めて7品目の免疫チェックポイント阻害薬の開発が進められています。ロシュ(日本は中外製薬が開発)のアテゾリズマブとアストラゼネカのデュルバルマブ、ファイザーと独メルクのアベルマブは抗PD-L1抗体です。アストラゼネカはさらに、抗CTLA-4抗体トレメリムマブも開発しています。
【小野・ブリストル】「オプジーボ」P3に8適応、2適応で申請中
画期的な作用機序と一部患者に対する高い治療効果、そして高額な薬価で注目を集める免疫チェックポイント阻害薬。がん領域で急速に開かれていく新市場をめぐり、▽小野薬品工業と米ブリストル・マイヤーズスクイブ▽米メルク▽英アストラゼネカ▽スイス・ロシュ▽米ファイザーと独メルク――の5つの陣営が開発競争を繰り広げています。
免疫チェックポイント阻害薬は、その作用機序から多くのがん種への効果が期待されるだけに、多くの開発プログラムが進行しています。日本国内での最新の開発状況を整理しました。
「CTLA-4」「PD-1」「PD-L1」7品目が開発中
現在、国内で主に開発が進められている免疫チェックポイント阻害薬は▽抗CTLA-4抗体▽抗PD-1抗体▽抗PD-L1抗体――の3種類です。抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体は国内でもすでに承認されていますが、抗PD-L1抗体はまだ承認されていません。腫瘍免疫に関連する薬剤ではこのほか、免疫細胞を活性化する分子に対する抗体医薬も臨床試験の早期段階にあります。
それぞれの作用機序を簡単に見ていきます。
抗CTLA-4抗体は、免疫細胞表面のCTLA-4というタンパク質を標的とした抗体医薬です。
免疫細胞は、抗原提示細胞である樹状細胞からがん抗原の提示を受けると働きが活発になり、それを目印にがん細胞を攻撃します。ところが、抗原提示を受ける際、免疫細胞のCTLA-4に樹状細胞のB7というタンパク質が結合すると、逆に免疫細胞の働きが抑制され、がん細胞を攻撃できなくなります。そこで、CTLA-4に結合してB7との結合を防ぐのが抗CTLA-4抗体。ブリストル・マイヤーズの「ヤーボイ」(イピリムマブ)がこれにあたります。
一方、抗PD-1抗体と抗PD-L1抗体は対の関係にあります。
がん細胞は、免疫細胞からの攻撃を逃れるために、PD-L1というタンパク質を出し、これが免疫細胞のPD-1に結合すると、免疫細胞の働きが抑制されます。抗PD-1抗体は免疫細胞のPD-1に結合し、PD-L1との結合を阻害。抗PD-L1抗体は、がん細胞が出すPD-L1に結合し、PD-1との結合を阻害します。小野薬品工業の「オプジーボ」(ニボルマブ)や米メルク(MSD)の「キイトルーダ」(ペムブロリズマブ)は抗PD-1抗体です。
国内では現在、「ヤーボイ」と「オプジーボ」、「キイトルーダ」を含めて7品目の免疫チェックポイント阻害薬の開発が進められています。ロシュ(日本は中外製薬が開発)のアテゾリズマブとアストラゼネカのデュルバルマブ、ファイザーと独メルクのアベルマブは抗PD-L1抗体です。アストラゼネカはさらに、抗CTLA-4抗体トレメリムマブも開発しています。
【小野・ブリストル】「オプジーボ」P3に8適応、2適応で申請中
腫瘍免疫の領域で幅広い提携を結ぶ小野薬品工業と米ブリストル・マイヤーズスクイブ。2014年9月には「オプジーボ」を悪性黒色腫の適応で世界に先駆けて発売。翌15年8月には「ヤーボイ」を同じ適応で発売し、国内の免疫チェックポイント阻害薬市場をリードしています。
「オプジーボ」は15年12月に非小細胞肺がんに、16年8月には腎細胞がんに適応が広がりました。ホジキンリンパ腫と頭頸部がんの適応でも申請中です。
「オプジーボ」は現在、胃がんや食道がんなど8つの適応で臨床第3相(P3)試験を実施中。「ヤーボイ」は非小細胞肺がん、小細胞肺がんの適応でP3試験が行われています。「オプジーボ」と「ヤーボイ」の併用療法では6つの適応でP3試験を行っています。
小野薬品とブリストルは「オプジーボ」と「ヤーボイ」のほか、開発早期段階にある▽ナチュラルキラー細胞の活性を高める抗KIR抗体リリルマブ▽免疫細胞を活性化する抗CD137共刺激受容体作動薬ウレルマブ▽LAG3免疫チェックポイント阻害薬BMS-986016――の開発・商業化でも提携しています。
このように、小野薬品・ブリストル陣営の強みは開発パイプラインの豊富さ。併用療法の開発に各社が力を入れる中、その可能性を最も幅広く開発できる位置にいるのは間違いなさそうです。
【米メルク】「キイトルーダ」肺がん1stラインに注目 「先駆け」の胃がんはP3
米メルク(日本はMSD)が開発を進めているのは、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ。16年9月に悪性黒色腫の適応で承認を取得し、非小細胞肺がんの適応でも申請中です。非小細胞肺がんのファーストラインを対象とした臨床試験では、ライバルの「オプジーボ」が化学療法に対する優越性を示せなかったのに対し、「キイトルーダ」は無増悪生存期間を有意に延長。注目を集めました。
現在、膀胱がんや乳がん、胃がんなど6つの適応でP3試験が進行中。このうち胃がんの適応では、厚生労働省が15年度に導入した「先駆け審査指定制度」(重篤な疾患に対する革新的な治療薬で、日本で世界に先駆けて申請される新薬を審査期間の短縮などにより優遇する制度)の対象品目に指定されています。肝がんと前立腺がんのP2試験も新たに始まりました。
MSDはペムブロリズマブの発売に備え、今年4月、がん領域に強い大鵬薬品工業とコ・プロモーション契約を結びました。がん領域での豊富な経験を持つ大鵬薬品と組むことで、先行する「オプジーボ」を追随します。
【アストラゼネカ】PD-L1+CTLA-4の併用、5適応でP3
アストラゼネカは、抗PD-L1抗体デュルバルマブと抗CTLA-4抗体トレメリムマブを開発中。PD-1またはPD-L1とCTLA-4という2つの免疫チェックポイントに対する開発品を持つのは、小野薬品・ブリストル陣営とアストラゼネカのみ。1社単独ではアストラゼネカだけです。
臨床試験段階にある9つのプロジェクトのうち、デュルバルマブとトレメリムマブの併用が7つ(P3段階は5つ)を占めるのがアストラゼネカの大きな特徴です。単剤での開発は非小細胞肺がんに対するデュルバルマブのみ。免疫チェックポイント阻害薬は併用によって効果が高まったり、幅広い患者に効いたりする可能性が示唆されています。アストラゼネカは、異なる作用機序の免疫チェックポイント阻害薬2剤を持つ強みを発揮したい考えです。
【ロシュ】アテゾリズマブ、8適応がP3 膀胱がんなど17年度申請へ
ロシュグループが開発を進めているのは、抗PD-L1抗体アテゾリズマブ。日本での開発は同グループの中外製薬が担っています。新たに尿路上皮がんでのP3試験も始まり、現在、8つの適応がP3試験の段階にあります。
中外製薬はアテゾリズマブについて、膀胱がんと非小細胞肺がんの適応で17年度に申請を予定。18年度には乳がんと腎細胞がんでも申請を予定しています。筋層浸潤膀胱がん(アジュバント)と非小細胞肺がん(同)、小細胞肺がんは19年度以降の申請となる見通しです。
【ファイザー・独メルク】アベルマブ、卵巣がんなどP2/3
2014年に腫瘍免疫領域で提携を結んだ米ファイザーと独メルク。独メルクが創製し、両社で共同開発する抗PD-L1抗体アベルマブは、卵巣がんと尿路上皮がんの適応でP2/3試験が進んでいます。
P1/2試験の段階にあるのは、いずれもファイザーの開発品との併用療法です。血液がんと進行固形がんを対象に行っているP1/2試験は、ファイザーの抗CD137抗体PF-05082566との併用。非小細胞肺がんのP1/2試験は、第2世代のALK阻害薬として開発中のPF-06463922との併用です。
併用療法の開発めぐり提携活発
急速に開かれていく免疫チェックポイント阻害薬市場をめぐっては、単剤での使用はもちろん、他の免疫療法薬や分子標的薬との併用療法の確立が大きな焦点となりそうです。
併用療法をめぐる提携は活発で、小野薬品とブリストル、ファイザーと独メルクの戦略提携はその象徴です。日本企業ではエーザイが「レンビマ」「ハラヴェン」とペムブロリズマブの併用療法の開発で米メルクと提携。協和発酵キリンは小野薬品・ブリストル陣営、アストラゼネカ、ファイザーとそれぞれ提携し、「ポテリジオ」と免疫療法薬の併用の可能性を探っています。
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