
勉強の為に転載しました。
https://brandtimes.jp/companies-post/panasonic
カテゴリ:
BUSINESSSTORY
2017.03.13
日本は、超高齢化社会に突入。65歳以上の総人口に占める高齢者の割合(高齢化率)は26.7%となった。(※平成28年版高齢社会白書より)加齢により身体機能が落ち、様々な日常の行為が難しくなる。その中で発生する1つの障害に対し、強い解決策を提示しようとしているのがパナソニック アプライアンス社が推進する新規事業創出プロジェクト「Game Changer Catapult(以下GCカタパルト)」で選出された「DeliSofter」だ。このコンセプトはいかにして生まれたのか?サウス・バイ・サウス・ウエスト(以下SXSW)でどのような展示を行うのか?今後の開発目標などをチームケア家電の水野時枝さん、小川恵さん、遠矢大さんに話を伺った。
プロジェクトのメインメンバーの遠矢大さん(左)と水野時枝さん(中)と小川恵さん(右)
嚥下障害により諦めていた「あの食事」に挑戦可能に
嚥下というのは、人が口から食べ物を摂取し、歯で噛み砕き、食道を通り胃まで流れるプロセス。高齢者になると舌の運動能力低下や唾液量の減少などにより、食べ物がつかえたり、ひどくなると誤嚥をしてしまい肺炎になったり、窒息する危険性も発生する。この嚥下障害になると、通常のご飯を食べるというのが困難になってしまう。だが、「DeliSofter」を使えば食べられる可能性が増すという。水野「嚥下障害になってしまった場合は、食べ物をより柔らかくし飲み込みやすく誤嚥をしないように食道を通りやすくしなければいけません。食べ物にとろみをつけたり、食べ物自体をミキサーにかけて流動食にしたりといった形です。『DeliSofter』は、第三の選択肢として短時間で見た目と味をそのままに、料理を柔らかくする事を目指しています。普段食卓で食べている料理を、独自の技術で、見た目を崩すことなく軟かくします」小川「『DeliSofter』は実験段階まで入っており、実際に動くプロトモデルまで完成しています。現在は原理モデルで野菜であれば10分程度、肉であれば20分程度で柔らかな食べやすい状態になります。から揚げの様な衣につつまれたお肉や、餃子の様な分厚い小麦粉の皮で餡が包まれているものであっても、味はそのままにしっかりと柔らかくすることができます。なぜ、肉にこだわるかというと、嚥下障害になると、今までお肉で摂取していたタンパク質が疎かになりがちです。タンパク質が摂れないと、筋力や免疫力や栄養の低下にもつながります。『DeliSofter』を使えば、形がそのままに、料理を芯まで柔らかくすることができます。肉の種類などにもよりますが、箸やフォークで少し力を入れるだけで切る事が可能になる柔らかさです」
原理モデル完成までには、沢山の苦労と失敗の連続だった
軟かくする事により、嚥下障害になった際に発生する課題へ、解決の道筋が出来つつある。チームケア家電の着眼点は素晴らしいが、そもそもなぜ嚥下障害に着目したのだろうか。その原点を伺った。小川「企画の背景は、急に私自身が親の介護をしなければならなくなってしまったという点からです。父が突然嚥下障害になってしまい、普段の食事が突然食べられなくなってしまいました。嚥下障害を持つ家族をもって初めて分かったのですが、流動食にする為には食事に時間とお金がかかるという事が判明しました。嚥下障害向けの食事というのは、家族が手間ヒマかけて調理するか、介護職の人がレトルトを宅配するかしかありません。すべてレトルトで済ませようとしたら、多い時で1食1,000円を超え月間の1人の食費で10万円を超える事になってしまいます。そうした状況を打破したいと思い開発しました」水野「最初は、柔らかくする調理家電ではなく、万能鍋の様なモノを作るのを目指していました。食材を投入するだけで、完成まで自動的に作ってくれるという魔法の調理家電です。...