2018年9月25日火曜日

ゲームもマイニングも性能が2倍に?!ビデオカードを増設してみよう

Resource:
https://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/column/pcmining/1128691.html

GeForce GTX 1080を1枚増設、SLI動作でもマイニングが行えるのかチェック text by 坂本はじめ

 AMDやNVIDIAのGPUの中にはマルチGPU技術に対応した製品が存在しており、これらの製品では同じGPUを複数同時に利用することによって、ゲームでのパフォーマンスを大きく向上させることができる。
 一方、GPUの演算能力を利用する仮想通貨マイニングも、PCに搭載されているGPUを増やすことによってパフォーマンスが向上する。つまり、ビデオカードの増設はゲームとマイニングのパフォーマンスを同時に向上させる手段となり得るという訳だ。
 今回は、ビデオカードの増設によって、NVIDIAのマルチGPU技術であるSLIを活用し、ゲームとマイニングのパフォーマンスがどこまで向上するのか試してみた。

※PCマイニングに関しての注意

仮想通貨は相場により常に価値が変動しているため、PCマイニングを行った際の状況によっては利益が出ない場合もございます。また、マイニングに使用するソフトウェアの中には、安全性や信頼性が十分に保証されていないものもあります。導入の際は十分にご注意ください。

2基のGeForce GTX 1080でSLIを構築

 ゲーミングPCに広く採用されているNVIDIA製GPUのハイエンドモデルでは、複数の同じGPUを連携させて3D描画性能を向上させるマルチGPU技術「NVIDIA SLI」(以下SLI)が利用できる。
 SLIの利用にあたっては、SLIに対応するGPUを搭載したビデオカード2枚以上の他、SLIに対応するマザーボードと、ビデオカード間を接続する「SLIブリッジ」が必要だ。また、電源ユニットにも複数のビデオカードに電力を供給できる性能とコネクタが求められる。
 現行世代のGeForce GTX 10 シリーズではGeForce GTX 1070以上のGPUがSLIに対応している。この世代では2基のGPUを連携する2-way SLIが基本で、対応マザーボードにはそのためのSLIブリッジが同梱されている。なお、同じGPUを搭載したビデオカードであれば、メーカーや製品型番が違っていてもSLIを構築可能だが、カードの寸法が異なっているとマザーボード付属のSLIブリッジが利用できない場合があるので注意したい。
SLIを構成するGPUはPCI Express x8 レーン以上で接続されている必要があるため、SLI対応マザーボードは2基以上のPCI Express x16スロットを備えている。
GeForce GTX 10 シリーズ向けの「SLI HB ブリッジ」。GeForce GTX 10 シリーズでは2枚のビデオカードを2系統のSLIブリッジで繋ぐのが基本だ。
 今回は、過去のマイニング記事でも利用してきたリファレンス仕様のGeForce GTX 1080に、ZOTACオリジナル仕様の「ZT-P10800H-10P」を増設する形でSLIを構築することにした。マザーボードにはIntel Z370 チップセット搭載の「ASUS PRIME Z370-A」を利用している。
 カードサイズが異なるのでマザーボード付属のSLIブリッジは使用できず、カード間の接続には別途用意したフレキシブル基板を採用したSLIブリッジ2本を利用している。
カードの高さが異なると、マザーボード付属のSLIブリッジは利用できない場合がある。
今回はフレキシブル基板を採用したSLIブリッジを2本使ってビデオカードを接続した。

SLI対応ゲームであれば大幅な性能アップも、マルチGPUの効果をテスト

 ビデオカードを増設して構成したSLIによって、どの程度ゲームでのパフォーマンスが向上するのか、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」を実行して確認してみた。ベンチマークの設定は、描画品質を「最高品質」、画面解像度を3,840×2,160ドットとした。
 リファレンス仕様のGeForce GTX 1080のスコアが「6,619」だったのに対し、SLI構成時のスコアは「12,419」と約1.9倍に向上した。平均フレームレートも44.2fpsから82.6fpsまで向上しており、SLIによってゲームにおけるパフォーマンスが劇的に向上していることが分かる。
GeForce GTX 1080単体時のスコアは6,619。平均フレームレートは約44.2fps。
SLI構成時のスコアは12,419。平均フレームレートは約82.6fps。
 全てのゲームがSLIに対応しているわけではないが、対応ゲームであれば、今回のベンチマークテストのように飛躍的なパフォーマンスアップが得られる。
 なお、ピーク時の消費電力は、単体時の約250Wから約490Wまで上昇した。ビデオカードの消費電力は製品によっても異なるが、GeForce GTX 1080クラスのGPUでSLIを構築する場合、電源ユニットには単体利用時より250W程度の電力増加に耐えられる供給能力が求められる。

PCマイニングはビデオカード増設で性能を上げやすい、増やした枚数分性能アップ

 2基のGeForce GTX 1080でSLIを構築することで、ゲームでの性能は約1.9倍まで向上させることに成功した訳だが、これによって仮想通貨マイニングでのパフォーマンスはどこまで向上するのか、定番マイニングソフトの「Awesome Miner」で確かめてみた。
 Awesome Minerではビデオカードを増設すれば、特に設定を変更することなく追加したビデオカードをマイニングに活用できた。また、各GPUはSLIを構築した状態でも個別に認識され、それぞれ処理を実行するため、SLIは有効でも無効でも動作に影響はない。
マイニングソフト「Awesome Miner」。
SLIを組んだままでも2GPU認識となり、マイニングには影響は無い。
 ビデオカード増設前後でのパフォーマンスの違いを確認するため、Awesome Minerでアルゴリズムを「Lyra2REv2」に限定してマイニングを実行した結果が以下のスクリーンショットだ。
 ビデオカードの増設によって、ハッシュレートは「46.74MH/s」から「93.66MH/s」に増加しており、ハッシュレートは増設前の約2倍にまで向上した。日本円換算の見込み報酬額が2倍になっていないのはマイニングを実行したタイミングの違いによるもので、基本的にはハッシュレートが2倍になれば報酬が得られる可能性も2倍になる。
ビデオカード増設前。ハッシュレートは「46.74MH/s」。
ビデオカード増設後。ハッシュレートは「93.66MH/s」。

性能向上を感じやすいマルチGPU、環境があるならマイニングをしてみよう

 マルチGPU技術でゲームのパフォーマンスを向上させるという手段は、より高品質なグラフィックスでゲームを楽しみたいユーザーにとっては有効なものだ。
 また、マルチGPU環境はマイニングとも相性が良く、GPUが増えれば増えるほどリニアに性能を上げやすい。
 もちろん、マルチGPU環境の構築は高コストであったり、トータルの消費電力は高くなるといったデメリットはあるが、“PCを強化した”という部分を体感しやすく、PCならではの面白い部分でもある。環境がある人は是非遊んでみてもらいたい。

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