2018年9月25日火曜日

Turing無双!TITAN Vをも超える「GeForce RTX 2080 Ti/2080 Founders Edition」速攻レビュー

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2018年09月19日 22時00分更新
文● 加藤勝明 編集●ジサトライッペイ

DirectX12ベースでも強いTuring、Forzaでは2080もTITAN V超え

 ここまでずっとDirectX11ベースのゲームで試してきたが、今度はDirectX12ベースのゲームで検証してみよう。まずは「Forza Motorsport 7」だ。MSAAは4x、それ以外の画質は各項目1番重いものに固定し、ゲーム内のベンチマークモードを利用して計測した。
「Forza Motorsport 7」フルHD時のフレームレート。
「Forza Motorsport 7」WQHD時のフレームレート。
「Forza Motorsport 7」4K時のフレームレート。
 このゲームではこれまでのゲームとはまったく違う傾向が見られた。RTX 2080 Ti FEが最速なのは同じだが、RTX 2080 FE>TITAN V>GTX 1080 Ti>GTX 1080というキレイな序列ができている。しかも、解像度が4Kまで上がってもその傾向は変わらない。3DMarkやPUBGとは完全に伸びる要因が違うのだ。
 考えられる要因としては、L1&共有メモリーの統合&広帯域化やFP32とINT32の並列実行、GDDR6採用によるメモリーのアクセス粒度や圧縮率向上など、Turing特有の改善点がドンピシャでハマったから、といったところだろうか。
 そして、このForza Motorsport 7はRadeon、特にVega系で性能が出せることが知られており、Vega 64ではGTX 1080 Tiを超越する性能を発揮する。ところがこのアドバンテージがTuringによって崩れ去った。AMDの次世代GPU「Navi」がどのようなポテンシャルを持つのかはわからないが、仮に今後TuringベースのGPUが増えるとなれば、AMDはストロングポイントを失うことになるかもしれない。
 続いてはDirectX12ベースの重量級として「Ashes of the Singularity: Escalation(ATOS:E)」を使用する。画質は最も重い“Crazy”とし、GPUの性能に注目する“GPU-Focused”テストを実施した。
 グラフには各GPUに3本のバーがあるが、これはシーンの描画負荷をNormal/Medium/Heavyに分類し、その分類ごとに平均fpsを算出したものである。
「Ashes of the Singularity: Escalation」フルHD時のフレームレート。
「Ashes of the Singularity: Escalation」WQHD時のフレームレート。
「Ashes of the Singularity: Escalation」4K時のフレームレート。
 傾向的には3DMarkのFire Strike、Far Cry 5などに近い。すなわちRTX 2080 FEとGTX 1080 Tiがほぼ同格、RTX 2080 TiがTITAN Vをわずかに上回る。NVIDIAが4Kでのレビューを推していたので、フルHDのパフォーマンスが伸び悩むパターンを危惧していたが、ゲームによりフレームレートが頭打ちになるだけで、伸びるゲームはしっかり伸びることが確認できた。
 さて、ここまでRTX対応ゲームタイトルは1本もテストしていない。特に本命たるレイトレーシング対応ゲームについては、タイトルのみがアナウンスされただけでいつから対応か、という情報は明らかになっていない。ただレイトレーシング描画のOS側の要であるDXRは、Windows 10のOctober 2018 Updateで実装されるため、ゲーム側の対応は最短でもそこから、という話になる。
 だが、9月14日にリリースされた「Shadow of the Tomb Raider(SotTR)」の画質設定にはすでにレイトレーシングを使用しているような記述が書かれている。これは「スクリーンスペース」という前置きが示す通り、カメラで見える範囲のみの情報を利用して、少数のレイの処理だけでレイトレーシング風効果を得るというものだ。
 これらの設定をオフにすると「パフォーマンスが上がる」とある通り、これらの設定はレイトレーシングに相当することをCUDAコア(SP)を使って処理していることを意味する。TuringのRTコアはCUDAコアとは別に存在し、パラレルにレイのBVHトラバーサルや衝突判定を実行できる。処理するレイを見える範囲に絞って行なうので、Turingがなくても動くというわけだ。
SotTRの画質設定。ズバリ「RTX」と書かれているわけではないが、反射とコンタクトシャドウ(アンビエントオクルージョンのこと)の項目がオフだとRTX不使用、それ以外だとレイトレーシング処理を行なうという。
 SotTRの検証では、画質をプリセットの“最高”とし、アンチエイリアスはTAA、APIはDX12を選択。ゲーム内のベンチマーク機能を利用して計測し、最後に表示されるGPUフレームレートを比較する。
 画面には最低・平均・最高fpsのほかに“95%”という数値があるが、これは95%のフレームがその値以上を示すという点、すなわち最低fpsから5%上のfpsを示す。グラフ中ではわかりやすいよう「Min(5%)」と記述した。
「Shadow of the Tomb Raider」フルHD時のフレームレート。
「Shadow of the Tomb Raider」WQHD時のフレームレート。
「Shadow of the Tomb Raider」4K時のフレームレート。
 ベンチマークではレイトレーシング的技法を使っているとされる機能が実際にどのような違いを生むのか、しっかり確認できるシーンを見つけるのは難しい。ただし、そのような設定をオンにした状態でも、全体のフレームレートの出かたはこれまで見てきたゲーム、例えばすぐ上のATOS:Eに近い。RTX 2080 FE≒GTX 1080 Tiのような、これまで何度も観測できた傾向だ。
 では先程のレイトレーシングを使っていると記述されている2つの設定、「スクリーンスペースリフレクション」と「スクリーンスペースコンタクトシャドウ」の設定をオフにしたらどの程度パフォーマンスが向上するのだろうか?
 先程のベンチマークの設定をベースに、この2つの設定だけをオフにして計測する。残り時間の関係上、テストはフルHDのみ、GPUはRTX 2080 Ti FEとGTX 1080 Tiの2枚だけで計測した。グラフ内では2つの設定を「中」及び「オン」にした時が「RT ON」、両方オフにした時を「RT OFF」と表記している。
「Shadow of the Tomb Raider」フルHD時のフレームレート。
 結果はご覧の通り。レイトレーシングを使っているとされる機能をオフにすると、GPUの世代に関係なく数fps程度描画性能が上がる。CUDAコアを使った限定されたレイトレース風処理なので、これをもってRTX 20シリーズの価値をはかることはできないのだ。
SotTRのベンチマークモードの1シーン。中央やや右に見える男児が花火を振り回しているが、花火の光が地面に到達しておらず、男児に影も出ていない。9月20日時点のSotTRのレイトレーシングは、RTコアが見せてくれるそれとは比べものにならないほど限定的なのだ。

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