勉強の為に転載しました。
https://wired.jp/2018/09/25/rising-seas-next-internet-outage/
このウェブページがどう表示されたかについては、あまり考えたことがない人がほとんどだろう。おそらくはTwitterやFacebookでクリックしたら表示された、くらいのはずだ。
インターネットは、ときにつかみどころのない魔法のように見える。しかしネット接続は、実際のところ物理的で具体的な事物に依存している。つまり、巨大なデータセンターや、延々と続く地下ケーブルといった通信インフラのことだ。
そして、そうしたインフラの多くが、水没の危機にさらされている。あと15年もすれば、米国の沿岸部にある都市の光ファイバーケーブルのうち約4,000マイル(6,400km)分が水面下になり、インターネットのサーヴィス停止を招く可能性があるというのだ。
これは、ウィスコンシン大学マディソン校とオレゴン大学による、査読済みの研究[PDFファイル]から明らかになった重大な知見だ。研究チームは、海面上昇がインターネットの物理的構造にどのような影響を与える可能性があるかを調べるために、インターネットのインフラを示した地図を、米国海洋大気庁(NOAA)による米国沿岸近辺の海面上昇予測と比較した。
ニューヨーク市の場合、街全体に張り巡らされたファイバーの約20パーセントに加えて、同市とほかの街を結ぶファイバーの32パーセント、43カ所のデータセンターが、15年以内に水没すると予測されている。多くの沿岸地域に加えて、ワシントン州シアトルとフロリダ州マイアミは、特に脆弱だという。
論文執筆者のひとりで、ウィスコンシン大学マディソン校のコンピューター科学教授を務めるポール・バーフォードは、「こうした機器はどれも耐候性をもつようには設計されていますが、防水性はありません」と説明する。システムの多くは1990年代に設置されたもので、気候変動についてはあまり考慮されていないというのだ。
さらに、インターネットの物理的インフラの多くが老朽化しつつある。バーフォードによると、多くは数十年しかもちこたえられない設計で、寿命の終わりに近づきつつあるという。しかもそれは、先に浸水が起きない場合だ。
15年とはあまりにも早すぎるように思うかもしれない。だが満潮による浸水は、すでに何度も経験されていると指摘するのは、論文執筆者のひとりであり、ウィスコンシン大学マディソン校の持続可能性・地球環境センター(Center for Sustainability and the Global Environment)所長を務めるキャロル・バーフォード(ポール・バーフォードの妻)だ。
嵐などの激しい天候が影響したインターネットのサーヴィス停止も起きている。例えば、2017年8月にフロリダ州などを襲ったハリケーン・イルマでは、百万人を超える人々がインターネットにアクセスできなくなった。
沿岸部のインフラが浸水したときに、内陸部で何が起きるかを正確に予測するのは難しい。だが、インターネットは相互に接続されたシステムであるため、ある場所で発生した損害が別の場所に影響を与える可能性がある。内陸部に住む人々であっても、沿岸部での浸水が原因でインターネット接続サーヴィス全体が停止したり、特定のウェブページやサーヴィスに接続する際に問題が発生したりする可能性がある。
求められれる適切な準備
ただし、結論を出すにはさらに多くの研究が必要だ。
論文の筆頭執筆者であり、オレゴン大学でコンピューターおよび情報科学を研究するアシスタント・プロフェッサーであるラマクリシュナン・デュライラジャンは、「よい解決策を生み出すには、問題が及ぶ範囲をさらに理解する必要があります」と言う。
調査をさらに進めることによって、激化する異常気象がインターネット・システムに与える影響を調べることは可能である。さらに浸水などの気象災害が起こることを前提とするウェブ・トラフィックを、より適切な設計にできるというのだ。
キャロル・バーフォードは次のようにまとめている。「わたしたちが毎日の生活で期待するような活動を今後も続けたいと思うのであれば、これから起きることに対応するための適切な出費と金銭的な準備を行い、計画を立てておかなければならないでしょう」
この記事は「Grist」に最初に掲載され、天候に関する記事を専門とする「Climate Desk」とのコラボレーションによって転載された。
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