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Excel依存を脱却してERPへ――情報活用の最新が分かる3つのホワイトペーパーホワイトペーパーレビュー
企業で広く使われる表計算ソフトウェアの限界が指摘されている。高度な情報管理や分析を実現するには表計算ソフトに加えて、ERPパッケージを活用する必要があるだろう。
対象外の領域で使われる表計算ソフトウェア
オフィスで最も利用されるアプリケーション、それは「Microsoft Excel」に代表される表計算ソフトウェアではないだろうか。表計算ソフトは非常に多機能で、日常の数値データの記録に始まり、その分析や活用、リポート作成など幅広く使われている。売り上げ管理や在庫管理、予算・コスト管理などの取りまとめにも表計算ソフトは大活躍している。
一方で、近年では表計算ソフトの限界も指摘されている。表計算ソフトが多機能で優秀であるため、本来はその対象でないような領域でも利用されているのだ。表計算ソフトに対する指摘で多いのは複数ユーザーでの共有の難しさだ。多くの表計算ソフトはバージョン管理の機能に乏しく、誰がいつ、どのようにスプレッドシートを編集したかを記録することが難しい。これでは効率的な業務処理ができない。スプレッドシートを電子メールに添付して配布し、数値の取りまとめなどを行っている企業は多いが、集めたスプレッドシートをまとめる際に手作業が入ることがあり、数値の正確性を維持するのが難しいことも指摘されている。
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情報活用や分析にはERPパッケージ
では、どうすればいいのだろう。さまざまな業務で広く使われている表計算ソフトを社内からなくすのは現実的ではない。表計算ソフトは本来の目的だけで利用し、情報の統合や活用などの目的ではERPパッケージを活用するのが解決策の1つだ。
ここで紹介するホワイトペーパーは、表計算ソフトに依存することのリスクについて「業務データの多くは、長年にわたって蓄積されたスプレッドシートや個々の保管場所に埋もれている」と指摘している。この業務データがごく少数のユーザーだけで利用されているのなら問題はない。しかし、業務データを全社的に広く活用することを考えると表計算ソフトは適していないのだ。
「典型的な例として、営業担当者がExcelのスプレッドシートで収集/更新している顧客データがあります。この場合、データは担当者しか見ることができないため、マネジャーはこのデータを活用して収益性の評価や、販売網の分析などを行うことができません。こうした状況こそが、マネジャーや経営幹部が意思決定プロセスで利用するデータの信頼性に影響を及ぼしているのです」
ホワイトペーパーでは主に中堅・中小企業を対象に、このような問題の解決策として「情報可視化」のメリットを説明している。情報可視化のメリットは3つで、「企業戦略に合わせた事業活動の遂行」「リソースの配分と活用」「標準化、コンプライアンス、リスク軽減」。情報の可視化を実現するには社内外の情報を統合管理するERPの活用が有効だ。中堅・中小規模の企業であっても、取り扱うデータ量は膨大だ。表計算ソフト頼みの情報管理が限界に来ている企業は多い。
求められる「スプレッドシート統制」
表計算ソフトについては内部統制の観点からも課題が指摘されている。表計算ソフトは、上記のようにバージョン管理やログ保存の機能に乏しく、第三者に改ざんされても気付かない危険がある。マクロ機能を使ってスプレッドシートに計算機能を加えていることも多いが、そのマクロ機能が正しく機能しているかを検証することは一般ユーザーでは難しい。さらに表計算ソフトはクライアントPC上で動作し、そのバックアップはユーザー任せということも多い。データの漏えいや消失のリスクとも隣り合わせだ。社内のスプレッドシートを適切に管理し、そのリスクを認識、対策を策定する必要性から「スプレッドシート統制」という言葉も生まれている。
ここで紹介するホワイトペーパーでは内部統制に準拠しながら表計算ソフトを利用するために必要な機能を説明している。特に財務データを表計算ソフトで扱う場合は、
- 表計算ソフトの運用方法や処理内容を明示した文書を作成し保管すること
- アクセス制御を継続的に実施し、財務データへのアクセス権のない者の利用を拒否できること
- 完全性、正確性、正当性を検証できる仕組み(検算機能など)がシステムに組み込まれていること
- 利用者が、表計算ソフトの数式やマクロなどを勝手に変更できないようにしていること
- 計算式やマクロを変更した場合には、変更後も正しい結果が得られることを第三者が確認すること
- 作成した表計算ソフトとデータのバックアップが行われ、安全に保管されていること
などが必要という。ただ、ソフトウェアの機能でこれらの統制を実現しても、ユーザーの利便性を失ってしまっては意味がない。現状のシステム環境を生かしながら、どのようにしてスプレッドシート統制を実現するのか。ホワイトペーパーではそのためのシステム構成も含めてベストプラクティスを紹介している。
Excelをインタフェースにして情報統合
既存の表計算ソフトを活用しながら、データの統合管理をどう実現するか。この課題にチャレンジしているのがマイクロソフトのERPパッケージ「Microsoft Dynamics AX」(以下、AX)だ。AXは使い慣れたExcelをデータ入力や活用のインタフェースとして利用できるのが特徴だ。このホワイトペーパーでは、プロセス製造業の企業が、AXを導入した事例を紹介している。
わさびやしょうがの加工品を主力商品としている万城食品は従来、生産・購買・在庫の管理を個別の業務アプリケーションで行っていた。しかもデジタルデータではなく、基本は紙で情報を管理、保存していた。業務アプリケーションのサポート切れをきっかけにERPパッケージの導入を決意し、プロセス製造業に関してソリューションテンプレートを持つAXの導入を決めたという。業務改革を組み合わせることで、ほとんどカスタマイズをせず、AXを導入した。
同社は情報の統合管理の次として、BI(ビジネスインテリジェンス)におけるERPの活用にも期待している。これまでの紙ベースでは高度な情報管理が難しかったからだ。同社は「月次の在庫表や入出庫履歴などのデータを手入力で抜き出して、Excel上で加工しながらいろいろと検討していましたが、非常にもどかしかった思いがあります」と説明する。だが、AXを導入することで、「管理帳票の基となる実績データは入力できるようになったので、今後はこうしたデータを自由に活用して分析作業を行うことができます」と情報活用に期待している。
表計算ソフトが普及したことでユーザー個別の情報管理が効率的になったのは間違いない。今必要なのは、そのようなユーザーの利便性をさらに高めながらERPパッケージによる全社規模での情報管理・活用のプラットフォームをどう構築するかだ。
今回紹介したホワイトペーパー以外にも、ホワイトペーパーダウンロードセンターでは、技術文書や製品資料、事例紹介などに関するホワイトペーパーを掲載している。ぜひダウンロードしてご活用いただきたい。
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