2021年5月19日水曜日

「BASE-V30HDX」5.1CHサラウンドアンプ、サブウーファー、2.1CHスピーカーシステムは、ヤフオクにも御座います。

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3Dテレビ Readyのオンキヨー「BASE-V30HDX」を試す!

文●鳥居一豊

2010年04月07日 12時00分

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先月末、オンキヨーからHDMI 1.4aに対応したホームシアターシステム「BASE-V30HDX」(実売価格7万5000円前後)が発売された。

HDMI 1.4aは、今話題の3Dテレビおよび3D対応Blu-ray Discレコーダー/プレーヤーにおける3D映像伝送の必須対応方式を含んだ、「HDMI Licensing LLC」が定めた最新のHDMI規格。それにいち早く対応した、最新のホームシアターシステムである。


※HDMI 1.4から、3D放送などにおける必須解像度として、サイドバイサイド(ハーフ):1080i 50Hz/59.94Hz/60Hz、トップアンドボトム:720p 50Hz/59.94Hz/60Hz、1080p 23.97Hz/24Hzが加えられた。 

3D信号パススルーとARCに対応

AVアンプ部の正面。前面にはマスターボリュームのほか、入力やリスニングモードの切替など、基本的な操作は一通り行なえるようになっている

AVアンプ部の正面。前面にはマスターボリュームのほか、入力やリスニングモードの切替など、基本的な操作は一通り行なえるようになっている

本機のシステム構成は、横幅205mmのコンパクトなAVアンプと、小型のステレオスピーカー、サブウーファーとなる。スピーカーの横幅も102mmと小さめなので、テレビの両脇などに手軽に設置できる。

スピーカーとサブウーファーは、純木製のキャビネットを採用したピアノフィニッシュ仕上げで、見た目も美しく高級感がある。最近の薄型テレビも、フレーム部分が光沢ブラック仕上げとなったものに人気があるので、薄型テレビと一緒に置いたときの相性も良さそうだ。なお、スピーカーとサブウーファーが異なる下位モデル「BASE-V20HDX」(実売価格6万5000円前後)もある。

そんなBASE-V30HDX/V20HDXの最大の特徴は、HDMIの最新機能である「3D信号パススルー」と「オーディオリターンチャンネル」(ARC)に対応していること。

HDMIコントロールの設定では、「オーディオリターンチャンネル」(ARC)の設定のほか、電源連動やテレビからの操作などの切替が可能。HDMI連動に対応するメーカーは、パナソニック、東芝、シャープの3社

HDMIコントロールの設定では、「オーディオリターンチャンネル」(ARC)の設定のほか、電源連動やテレビからの操作などの切替が可能。HDMI連動に対応するメーカーは、パナソニック、東芝、シャープの3社

まず3D信号パススルーだが、今後登場するBDの3Dソフトの信号の送受信に対応するのが特徴。BDの3Dソフトは、従来とは異なる「MPEG-4 MVC」という新しい信号規格が採用されているので、この規格に対応していないAVアンプなどでは、3D映像信号の受け渡しができなくなる。

このため、BDプレーヤー/レコーダーは、3D対応テレビとAVアンプ、それぞれにHDMIケーブルで接続する必要があり、ケーブルの配線などが少々面倒なことになる。

しかし本機の場合なら、従来どおりBDレコーダー/プレーヤー→AVアンプ→テレビとHDMI接続をするだけで、3D信号のやりとりもできるというわけだ。音声を再現するのが主目的であるAVアンプには必須の機能ではないが、使い勝手の点では対応したモデルの方が使いやすいと言える。

AVアンプ部の背面。HDMI入出力は3系統1出力と、このクラスとしては豊富。そのほかにも、デジタル音声入力3系統(光2、同軸1)、アナログ音声入力2系統と数多い

AVアンプ部の背面。HDMI入出力は3系統1出力と、このクラスとしては豊富。そのほかにも、デジタル音声入力3系統(光2、同軸1)、アナログ音声入力2系統と数多い

そしてARCは、AVアンプとテレビをHDMIケーブルで接続するだけで、AVアンプからの映像と音声信号と、テレビからのデジタル放送の音声をまとめて送受信できるもの。

これまでのHDMI接続では、AVアンプからの映像と音声をテレビに入力するだけの、いわば一方通行だった。テレビの音声をホームシアター機器で再生するには、HDMIケーブルに加えて、テレビ側のデジタル音声出力をAVアンプのデジタル音声入力に接続する必要があったのだが、この手間が不要になったのだ。こちらは、手軽に使えるホームシアター機器としては、かなりメリットが大きい。

このほか、「ドルビーTrueHD」や「DTS-HD Master Audio」といったHDオーディオにも対応しており、現時点でAVアンプに求められる機能がすべて盛り込まれている。

そして、AVアンプには、5.1ch用のスピーカー出力も備わっており、オプションのセンター、サラウンドスピーカーを追加すれば、5.1chシステムにグレードアップすることも可能。なお、AVアンプの「SA-205HDX」は単品モデルとしても発売されており(実売価格4万5000円前後)、単品モデルの場合は、カラーがブラックとなる。

スピーカー部。A-OMFモノコック振動板ウーファーと、バランスドーム型トゥイーターを採用。コンパクトサイズながらも作りは本格的だ

スピーカー部。A-OMFモノコック振動板ウーファーと、バランスドーム型トゥイーターを採用。コンパクトサイズながらも作りは本格的だ

背面のスピーカー端子。コンベンショナルなバネ固定式となっている。接続などは比較的容易に行なえるようになっている

背面のスピーカー端子。コンベンショナルなバネ固定式となっている。接続などは比較的容易に行なえるようになっている

スピーカーは、同社の単品スピーカーでも使用されているA-OMFモノコック振動板ウーファーを採用した2ウェイ構成。サブウーファーも、16cmウーファーと、内部に折り返し構造をもったスリット型ダクト「AERO ACOUSTIC DRIVE」を備え、クリアーで迫力のある低音再現を可能にしている。

自動音場補正機能搭載 
最適なセッティングを手軽に行なえる

付属のリモコン。音量やリスニングモードの切替のほか、GUIメニューの操作が可能。また、別売のiPodドックのコントロールボタンも備える

付属のリモコン。音量やリスニングモードの切替のほか、GUIメニューの操作が可能。また、別売のiPodドックのコントロールボタンも備える

一通りの接続と設置を終えて、電源を入れてみる。基本的にはこれですぐに使えるのだが、本機の場合は自動音場補正機能がある。本機には「Audyssey 2EQ」が採用されており、付属の測定用マイクを使って、スピーカーの数や視聴位置からの距離の測定、周波数特性の補正などが自動で行なえる。

測定にかかる時間はおよそ5分ほど。基本的にはパルス波を元にしたテスト信号が各スピーカーから再生され、測定と補正が自動で行なわれる。測定マイクは、いつもの視聴位置のほか、最大で3つのポイントまで測定できるので、リビングなどの広い部屋でも座る位置でサラウンド効果に違いが出ることなく、広いサービスエリアで良好なサラウンドが楽しめる。

付属の測定用マイク。裏面にはネジ穴が空けてあり、三脚などを使って測定が行なえる

付属の測定用マイク。裏面にはネジ穴が空けてあり、三脚などを使って測定が行なえる

付属のマイクを接続すると音場測定モードに切り替わるので、後は画面の指示に従って操作するだけでいい。だが、表示がすべて英語表記になっているのが難点。決して難しい英語ではないのだが、不安な人は取扱説明書を参照しながら操作するようにしよう。

音場測定モードの画面表示。メッセージはすべて英語で、表示も少々シンプル

音場測定モードの画面表示。メッセージはすべて英語で、表示も少々シンプル

各チャンネルの測定時の画面。「Right」などのチャンネル表示に合わせて、対応するチャンネルのスピーカーからテスト音が再生される

各チャンネルの測定時の画面。「Right」などのチャンネル表示に合わせて、対応するチャンネルのスピーカーからテスト音が再生される

測定終了後の演算中画面。この間にスピーカーの本数や距離、室内の音響特性に合わせた補正データが計算される

測定終了後の演算中画面。この間にスピーカーの本数や距離、室内の音響特性に合わせた補正データが計算される

完了時の画面。リモコン操作で、測定結果(スピーカーの距離、音量レベルなど)を表示することもできる

完了時の画面。リモコン操作で、測定結果(スピーカーの距離、音量レベルなど)を表示することもできる

フロント2チャンネル+サブウーファーの設定ならば、特に自動音場補正機能はなくてもいいと思えるが、しかしスピーカーやサブウーファーの距離の設定、センターやサラウンドスピーカーの有無、サブウーファーの音量やクロスオーバーの設定が必要になる。

これは初心者には少々面倒な作業なので、これらをすべておまかせにできるだけでもメリットは大きい。しかも、本機は5.1chにも発展できるシステムだし、スピーカーを好みのものに変更するときでも、最適な補正ができるのは便利だ。

なお、2.1ch構成でも自動音場補正を行なうと、バーチャルサラウンドによるサラウンド効果が良好になり、音が広がっているというより、周囲に散らばっている印象だったのが、前後左右の空間の広がりがまとまり、特にリア方向の再現が明瞭になると感じた。

GUIによる設定メニュー画面。スピーカーの設定をはじめとして、さまざまな機能の切替などが行なえる。ちなみに、写真では入力非表示のブルーバック画面だが、実際は半透明のオーバーレイ表示なので、テレビを視聴しながらでも設定が可能

GUIによる設定メニュー画面。スピーカーの設定をはじめとして、さまざまな機能の切替などが行なえる。ちなみに、写真では入力非表示のブルーバック画面だが、実際は半透明のオーバーレイ表示なので、テレビを視聴しながらでも設定が可能

音質調整の「ダイナミックボリューム」機能の設定。on/Light/Medium/Heavyが選択でき、Heavyがもっとも音量差が少なくなる

音質調整の「ダイナミックボリューム」機能の設定。on/Light/Medium/Heavyが選択でき、Heavyがもっとも音量差が少なくなる

GUIによる設定画面では、各スピーカーのセットアップの内容をはじめ、音質に関する機能の有無などを選択できる。これらは本体の表示部でも設定できるが、基本的にはテレビ画面で操作する方が便利だろう。

表示はすべて英語となるが、こちらは基本的に機能のオン/オフがメインなので、あまり困ることはないだろう。

音質補正では、サラウンド効果を調整できる機能として「Panorama」(パノラマ、左右方向の広がり感を拡大。オン/オフ)、「Dimension」(ディメンジョン、サラウンド音場を前後に移動できる。-3~+3の範囲で調整)がある。

これらは好みに応じて微調整して使うといいだろう。このほか、ステレオ音声をサラウンド化できる「ドルビープロロジックII」モードでセンター音像を調整できる「Center Width」、同じくDTSの「Neo:6 Music」モード用の「Center Image」がある。

自動音場補正機能「Audssey」のオン/オフなど、各機能の調整やオン/オフの設定ができる

自動音場補正機能「Audyssey」のオン/オフなど、各機能の調整やオン/オフの設定ができる

ユニークなのは、音量補正モードが充実していることだ。TV番組途中のCM放送時など、ソースによる音量差を補正して急に大きな音が出ないようにする「Audyssey Dynamic Volume」、小音量時でもサラウンド効果を高める「Audyssey DynamicEQ」があり、入力端子ごとに音量差を調整できる「インテリ ボリューム」なども搭載する。

特に、「Audyssey DynamicEQ」は、深夜に小音量で再生するときでも良好なサラウンド再生が楽しめる便利な機能だ。このほか、バーチャルサラウンド再生でのサラウンド効果を高める「Listn Angl」(リスニングアングル)の設定が、広い/中間/狭いから選べるので、スピーカーの間隔に合わせて選びたい。

24bit192kHz 5.1ch収録のソースにも対応 ただし機能制限あり

いよいよ音質をチェックしてみたいが、その前にもうひとつ確認しておきたいことがある。それは、HDオーディオの詳しい対応状況だ。基本的にはHDオーディオ対応といえば、ドルビーTrueHDやDTS-HD Master Audio、リニアPCM 7.1chなどの情報量の多い音声フォーマットの再生に対応していることを指すが、最低でもストレートデコード(各チャンネルの信号をそのまま再生すること)ができれば、HDオーディオ対応となる。

ところが、HDオーディオは情報量が多いこともあり、HDオーディオのハイサンプリング音源などでは処理が追いつかないため、サラウンドモードやリスニングモードの変更ができなくなることもある。

また、サンプリング周波数192kHzなどの超高音質で収録されたマルチチャンネルソースでは、48kHzまたは96kHzにダウンサンプリングされてしまうこともある。2.1chのホームシアターシステムでリスニングモードが変更できないと、バーチャルサラウンド機能も働かないため、デコードはできるものの2ch再生になってしまうので、サラウンド効果が得られなくなる(もっとも、そのようなソースはあまり多くはないので、あまり心配する必要はないが)。

少々意地悪だが、その数少ないソースで対応状況を確認してみた。まず、24bit/192kHzでドルビーTrueHD5.1chが収録されたBD版の「AKIRA」。こちらは192kHzのまま信号を受け付けたが、ストレートデコードのみとなった。

 
BD版「AKIRA」を再生したときのインジケーター表示。「ドルビーTrueHD 5.1ch」に切り換えても、サンプリング周波数192kHzのままきちんと受け付けている

このため、リスニングモードのバーチャルサラウンド機能「シアターディメンショナル」が使えず、ストレートデコードの「ダイレクト」では、フロント2chとサブウーファー(LFE成分のみ)しか再生されない。「ステレオ」モードを選ぶと、サブウーファーがフロントスピーカーの不足した低域も再生してくれるので、こちらの方がバランスは良かった。

BASE-V30HDXの音をチェック!

BASE-V30HDXの音をチェック!

クリアーでメリハリの効いたサウンドで 
サラウンド効果も良好

続いて、市販のチェック用BD「Hi-Definition Reference Disc」で24bit96kHz 7.1chで収録された音楽を、リニアPCM、ドルビーTrueHD、DTS-HD Master Audioで聴いてみた。結果としては、リニアPCM7.1chとドルビーTrueHD7.1chではシアターディメンショナルが使えたが、DTS-HD Master Audioだけがストレートデコードになってしまった。

なお、一般的なBDソースで採用されるサンプリング周波数48kHz、5.1ch/6.1ch収録のソースでは、リニアPCM、ドルビーTrueHD、DTS-HD Master Audioのいずれでもシアターディメンショナルは使用できたので、実用上はほぼ問題ないだろう。

 
入力やリスニングモードは本体側のインジケーターに表示される。このほかボリュームも数値で表示される

では、いよいよ音質とバーチャルサラウンド「シアターディメンショナル」の効果をチェックしていこう。先ほども使った「AKIRA」では、冒頭から金田らのバイクでの暴走シーンを見たが、高域がクリアーでメリハリの効いたサウンドが楽しめた。

低音もこのクラスとしては十分に優秀なのだが、冒頭の特徴的なドラムの音や、アクションシーンの爆発音などを聴くと、もう少し最低音域までの伸びが欲しいと感じる。全体的な印象としても、クリアーで情報量が多いため、やや細身に感じた。

サラウンド効果は5.1ch収録のアクション映画で確かめたが、バーチャルサラウンドとしてはなかなかのもの。リアの音場の再現では、さすがに真後ろの音は聴こえにくいが、耳の位置の左右にサラウンドスピーカーが置かれているような感じになる。

しかも、バーチャルサラウンドにありがちな、耳の周りにサラウンドチャンネルの音がまとわりついているような聴こえ方ではなく、ちょうど自分の居る位置の両側にサラウンドスピーカーが置かれているような、適切な距離感のある聴こえ方になるのが良い。

このため、空間の広がりなどもしっかりと再現され、包み込まれるような音場になる。実際に後方にスピーカーを置いた5.1chシステムと比べれば、当然ながらサラウンド音場には違いがあるが、テレビと組み合わせて手軽に楽しむならば、十分な実力を持っている。

音楽ソフトの「THIS IS IT」(5.1ch収録)も視聴してみたが、もともと音楽ものは、後方のチャンネルにはあまり具体的な音を配置しないこともあり、広々としたサラウンド感が不足感なく楽しめた。アクション映画などではやや物足りなかった低音も、音楽では必要十分で、低音~高音のバランスも良好。ドラムやベースの低音は適度に量感を持たせて力強さを再現する傾向だが、ベースの弾む感じやドラムを叩いた瞬間の音の立ち上がりも機敏で、ダルさはない。

クラシックのコンサートでは、フルオケの全奏での迫力やスケール感はやや小ぶりになるものの、個々の楽器の音などはかなりしっかりと再現され、聴き応えは十分。メリハリの効いた高音も、シャカシャカと耳障りになることもなく、聴きやすい音に仕上がっている。


手軽なホームシアターシステムでも
本格的なサラウンドを堪能できる逸品

同じオーディオ機器で、CDそのものと、MP3などで圧縮された音源を聴き比べると、CDの方が高音質で楽しめるのは当たり前の話だが、ホームシアター機器でもそれは同じ。このクラスの製品でHDオーディオに対応しているモデルはまだ数が少ない。そうなると、BDソフトの再生という点では、HDオーディオ対応モデルの方が圧倒的に高音質ということになる。

一般的なソフトでも16bit48kHzとCD以上の情報量を出せるHDオーディオ対応モデルと、圧縮されたドルビーデジタルなどに変換されてしまうモデルでは、比較にならない。もちろん、HDオーディオの情報量をしっかりと再現できる音質的な実力も十分あり、手軽なホームシアター機器としては、かなり優秀なモデルだ。

3D対応などの最新機能も含め、5.1chシステムにも発展可能と、事実上エントリークラスの単品コンポーネントをセットにした内容だけに、本格的なサラウンドを楽しみたいという人にもおすすめできる製品だ。


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