https://news.yahoo.co.jp/articles/a172ae6506700022b7099c583931f74083a3fe47
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中国・新疆ウイグル自治区での人権弾圧をきっかけに「ジェノサイド条約」が注目されている。日本は国内法に処罰規定がないことを理由に加盟していないが、国際情勢や世論の変化を受け、批准に向けた機運も生まれつつある。 ―最近「ジェノサイド条約」が話題になるね。 米国が中国政府による新疆ウイグル自治区での人権侵害を「ジェノサイド(集団虐殺)」と認定したのを機に関心が高まった。欧州連合(EU)なども加わり、日本を除く先進7カ国(G7)が対中制裁を科している。 ―同自治区で何が起きているの。 NPO法人「日本ウイグル協会」は、ウイグル族の施設収容や強制労働、拷問、強制不妊手術、親子の引き離しなどが行われていると主張しているよ。中国政府は「世紀のうそ」と否定しているけど、中国の公式統計でも2014年以降、同自治区で不妊手術が急増したことが明らかになった。 ―日本政府の対応は。 中国に対する「深刻な懸念」を表明している。ただ日本は海外で情報収集や分析を行う機関を持たないこともあり、迫害の事実認定には慎重だ。 ―ジェノサイド条約ってどんな条約? 特定の国や民族、人種、宗教集団の構成員に対し、(1)殺害する(2)肉体的、精神的危害を加える(3)過重労働など肉体的破壊をもたらす生活を強いる(4)出生を妨げる(5)子を集団から引き離す―ことを「ジェノサイド」と定義。締約国には被害防止や加害者処罰の義務が課せられる。19年7月現在、中国や北朝鮮を含む152カ国・地域が批准しているよ。 ―日本は入っていないと聞いたけど、どうして。 条約ではジェノサイドやその共謀、扇動も処罰対象だけど、日本にはこれらを罰する法律がないんだ。政府は、日本社会でジェノサイドが起こることは想定しづらいとして、法整備の必要性は乏しいと考えてきたようだ。 ―新しく法律をつくればいいのに。 刑法など関連法規の改正が必要になる。膨大な作業になる上、立法事実を説明しにくいから政府は消極的なんだ。政府内には、日本がウイグル問題をジェノサイドと認定すれば、「中国が仕返しに旧日本軍による南京事件もジェノサイドと言ってくるかもしれない」と懸念する声もあるよ。 ―では何もしないの。 与野党から政府に条約批准を求める声が上がり始めた。外務省幹部も「何もしないわけにはいかない」と関係省庁との検討を始める考えを示していて、今後機運が高まる可能性があるよ。
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