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勉強と電子新聞と言う物の宣伝の為に一部の記事のサンプルを転載(シェア)させて頂きました。
(責任者。WEBプログラマー
aon(エーオン)代表 石塚 正浩、070-3861-5011)
菅義偉首相が「今までにないスピード」で設けるという「デジタル庁」。コロナ禍で浮かび上がった行政の目詰まりは解消され、デジタル化が一気に進むのでしょうか。この新しい役所では、誰が何を進めるべきなのか。若くして起業し、食品宅配大手オイシックス・ラ・大地の社長を務める、高島宏平さん(47)が意中のトップの名や求められる人材、官民連携の課題などを語りました。
たかしま・こうへい 1973年、神奈川県出身。マッキンゼーを経て、2000年に食品宅配事業「オイシックス」を始める。17~18年に同業の「大地を守る会」「らでぃっしゅぼーや」と経営統合し、「オイシックス・ラ・大地」の社長に。
――「デジタル庁」は何を進めるべきですか。
「菅さんは、各省庁に横串を通し、縦割りを打破すると言っています。まさに横串を通して各省庁から数値データを集め、政策の効果を検証して『見える化』してほしい。行政手続きを簡素化するだけじゃだめ。効果の検証は大きなインパクトがあるでしょう」
「実現には、官僚の評価制度を変える必要がある。政策の効果を測るKPI(目標の達成度合いを評価する指標)を明確にし、達成した人、効果を出した人が偉い、というふうに。デジタル庁の新設とあわせ、官僚の働き方、評価を変えないと、財政も持たない」
――なぜ、そう考えるのですか。
「僕は経済同友会で、日本の社会保障の問題を考える委員会の委員長をやっています。社会保障関係費は40兆円近いが、効果の検証は不十分です。たとえばメタボ健診は、年間500億円かかっていますが、その後も医療費は増える一方です。医療費を減らすために始めたはずなのに。健診をしなかったらもっと医療費が増えていたのかも知れないけれど、検証していないから分からない」
「メタボ健診も学費の無償化も、始めたときは世の中に受けますが、効果をレビューするときは、打ち出した政権や首長は代わっていることが多い。だからこそ、役所が長期の効果の検証を担うべきです」
システム自治の見直しを
――政府はまず、中央省庁と地方自治体のシステムの一元化を進める方針です。
「大変ですが、避けては通れません。地方自治は、システムの自治にもなっていて、中央のシステムと地方のシステムが結合していない。不便だし、地方がやっていることを中央が追えないから、データも集まりにくい。国が地方自治に気を使いすぎて、システムの領域でも自治を促した結果、似て非なるシステムが全国に何千個もできたというのが現状です。連携しても地方自治の原則が失われないところは最初に整理するべきです」
拡大するマイナンバー関連の手続きに訪れる人の対応に追われる職員=5月8日、品川区役所、伊藤恵里奈撮影
――そんな改革を進めていくデジタル庁にはどんな人材が必要でしょうか。
「プロパーのエンジニアやデザイナー、できればデータサイエンティストを採用することです。外部のIT企業任せにすると、システムの手直しに多額の費用がかかる『ベンダーロックイン』も起こってしまう」
「公務員の報酬ルールを詳しく知りませんが、優秀なエンジニアなどの人材はデジタル庁に来にくい水準なのでしょう。それなら、民間企業に対して、納税ではなく、優秀なエンジニアの『納人』を求めるのも手だと思います」
――人材を出してもらって、税金の一部を免除するのですか。
「そういうこともやるしかないのでは。『今の状況は見ていられない、もうタダでも出します』というIT企業が多いでしょう。実際、そういう議論を、Zホールディングス社長の川辺健太郎さんらとしています。メルカリ社長の山田進太郎さんも、『出してもいいよね』って。みんなそう思っています」
安心できる長官とは
――民間出身者らも統括する長官はどんな人がなるべきでしょうか。
「エンジニアのマネジメントをしたことがある人じゃないとだめ。そして、公のことがわかっている人がベストでしょう。思いつくのは、(元ヤフー社長で)東京都副知事の宮坂学さん。まだ、副知事になって1年くらいですが、行政のことをすごく理解している。IT企業側からみれば、安心してエンジニアやデザイナー、データサイエンティストを預けられる」
拡大する宮坂学さん(右)と東京都の小池百合子知事=2019年8月、東京都庁、軽部理人撮影
――宮坂さんとそういう話をしましたか。
「いえ、してないです。絶対やらないって言うでしょうが、やってほしいですよね。エンジニアとデザインインターフェースの両方をわかっている人がいいので、LINEの社長をやっていた森川亮さんや、Zホールディングス社長の川辺さんもいいと思います」
携帯やLINEのID活用を
――デジタル化では、公共部門と民間部門をどうつなぐかも課題です。
「やった方がいいことが二つあります。一つは民間ですでに使われているIDを有効活用することです。携帯電話の番号やLINEID、場合によってはヤフーIDと楽天IDまで広げてもいいですが、民間のIDで行政サービスを使えるようにすることです」
「今はマイナンバーが前提ですが、なかなか普及しない。携帯電話やヤフーIDといった人々が使い慣れているインターフェースで行政サービスを使える方が圧倒的に便利です。すでに広く使われている民間のIDを前提としてサービスを設計することが重要です」
――簡単ではないように思えます。
「インドは基本的に携帯番号を国民背番号の代わりに使っています。それでインドはかなり劇的に国民を把握できるようになった。僕らからすれば、そう設計する方が普通です。ユーザーである国民の負担が圧倒的に少ないですから」
「ウェブ上のサービスは、ヤフーIDやフェイスブックのアカウントでログインできることもあります。携帯番号をIDとして使いたい人はそうしたらいい。マイナンバーを選んでもいいんです」
――やった方がいいことのもう一つは何ですか。
「民間と行政がそれぞれ持っているデータの連携です。たとえば、僕らは食品宅配を手がけていて、お客様がどれぐらい野菜や肉、魚を食べているか知っています。これらのデータを匿名化して、行政の持つ健康保険のデータとつなげれば、食生活と健康の関係がある程度わかるようになる。教育でも、受けた教育とその後の収入の関係を追跡できる。民間と行政のデータを連携させれば、さまざまなことがわかってきます」
拡大する食品の宅配サービス「Oisix(オイシックス)」の出荷作業=3月、神奈川県海老名市、オイシックス・ラ・大地提供
――日本のデジタル化の遅れを、デジタル庁で取り戻せますか。
「たとえば、社会保障分野での政策評価なら、日本は世界最先端になり得るでしょう。介護のケア内容と介護度の関係がわかれば、介護を受ける人も、(介護費増に直面する)国もうれしい。介護の初期で何をすべきか、科学的データに基づいてわかれば、ノウハウや関連の商品を輸出できる。高齢者医療や介護の問題で、我々は世界の先頭を走っていますから」
大失敗の絵も見えるけど
――デジタル庁に期待していいのでしょうか。
「菅さんという剛腕な改革者がトップであることは非常に大きい。彼のイシューはKPIがすごく明確です。『農林水産品輸出1兆円』とか『ふるさと納税1兆円』とか、KPIを決めて、障害物をどけて達成しようとする姿は起業家に似ています。肝いりのことについては、KPIをクリアにし、突破していくので期待しています」
拡大するデジタル改革関係閣僚会議の初会合で発言する菅義偉首相(中央)、右隣は平井卓也デジタル改革相=9月23日、首相官邸、恵原弘太郎撮影
「デジタル庁については、IT企業の経営者や僕ら起業家の間で、まじめな議論がいままでにないぐらい多い。こうすべきだ、ああすべきだ、(自社から)人を出してもいいよねとか。期待感が本当に高い」
「一方で、大失敗の絵も見えるんです。外部に委ねたために、すげえおカネがかるとか、行政サービスをマイナンバーだけに閉じて民間のIDを一切活用しないとか。そうならないよう、役所のありようが決まる前に、思い浮かんだいろんなアイデアをできるだけ発信しようと思っています」(聞き手 諏訪和仁、益田暢子)
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