大須本店 越濱 靖人
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初めて扱うエレクトロボイスの最高峰パトリシアン600が入荷し、その音の雄大さに感動している毎日です。今回は右側のMID-LOWドライバーに僅かな歪みを発見したため片側を解体する事となりました。折角なのでバックロードの造り、ホーンの仕組みを見ようと思い特集しました。
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外側のエンクロージャーを外した中身です。これがパトリシアン600の本当の姿です。
1950年に発売された初代ザ・パトリシアンの2世代目としてザ・パトリシアン600は1955年に発売されました。初代は46cmウーファー、30cmミッドバス(コーン型)、ドライバーホーン、トゥイーター(ホーン)+トゥイーター(コーン)という4way5スピーカーでした。巨大ウーファーにトゥイーターが2個といった当時では相当なワイドレンジスピーカーだったと思います。ミッドバスとトゥイーターにコーンタイプが使用されているのが特徴です。
パトリシアン600はコーン型ユニットを廃し(ウーファー以外)ほとんどをドライバーホーンで構成されています。なんと200Hzからドライバーで中域を出す、ここが非常に興味深いところです。低域もクリプシュホーン型バックロードホーンになっていますので事実上パトリシアン600は本当の意味でオールホーンスピーカーなのです。朗々と実にリアルな音で鳴るのも納得です。
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大きく分けて低域用ホーン、中高域ホーンに分かれています。
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ステレオサウンド誌「大型スピーカーの至宝」57Pより抜粋。構造が良くわかります。注目は200〜600Hzを受け持つ「828HF+A8419」ドライバーホーンです。
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中高域ホーンの中身です。この中高域エンクロージャーそのものがホーンになっています。828HFドライバーホーンが2発設置され、後ろ向きに中低域を、前方向に中域を放射します。中央には中域用T25Aドライバー+6HDホーンとT35トゥイーターが配置されています。
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これが注目株の828HFドライバー+A8419ホーンです。この左側に歪みが生じたため外しました。大きさは・・・1リットルサイズの水筒くらいの大きさです。
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背面からのショット。真ん中についているネジとネジを専用のスタンドで固定しスピーカー本体に装着されています。バラしてみたいですが・・・取れませんでした。
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ラベルのショット。この時代はほとんどインピーダンスが16Ωですね。特許も取得しているようです。
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ユニットの資料 「大型スピーカーの至宝」より
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中域ホーンは板厚が薄く、よく響きそうです。綺麗に丁寧に曲線が出ています。当時の職人さんの良い仕事ぶりが伺えます。
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今度は低域部です。なんとかクリプシュホーンの中をみようと前面を外してみました。すると巨大なウーファーが!でも更に奥があるようです。ただ、配線があるため今回はここで解体を止めにしました。
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前へ放射された低域は今回外した板にぶつけられ、上下を伝わり後方へ響いていくようです。音響回廊の第一歩でしょうか。
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後方、下のショット。フロントから来た低域はこの部分を経て後ろに放射されています。そして今回外した外側のエンクロージャーにぶつけています。
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後方、下から上へ見たショット。ここにも音の通路がありますね。基本的に材質はすべて米松合板を使用していました。低域部の接合部にはほとんど接着剤で鳴き留めされており、ビビリを防いでいます。
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全てのユニット資料。下にあるX2635ネットワークが本当に巨大!4ウェイも1個の箱に入ってれば、流石に大きくなりますね。よくパッケージされています。
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日本には20−30台しか無いとされるパトリシアン600。部屋は30畳以上欲しい大きさでなかなか導入は難しいですが、この歴史的・名スピーカーは一度聞く価値ありだと思います。興味がある方は是非ご来店下さい。 ハイファイ堂 大須本店 名古屋市中区大須3-14-37 052-249-2600
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