桑原紀彦、三島あずさコメントコメント1
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 文部科学省の2020年度の問題行動・不登校調査で、児童生徒間のネットを使ったいじめ件数が過去最多になった。コロナ禍で子ども同士の接触が減るなか、いじめの総数は7年ぶりに減ったが、ネットいじめは増える一方だ。何が起きているのか。

 今年度からすべての小中学生に1人1台の情報端末が配備され、子どもたち同士がネットでやりとりする機会は大きく増えた。

 ある男性教諭が勤める東京都内の公立小学校では、クラス全員のチャットで画像や短いコメントの投稿が相次ぎ、通知音が鳴り続けると、「うざい」などの言葉が飛び交うことがある。

 意見を交わすうちに、「はい…

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  • ドミニク・チェン
    情報学研究者
    2021年10月20日08時54分 投稿

    【提案】まず一年間で学校側によって認知されているだけで51万件以上もいじめがあること、そのうちネットいじめが1万8千件以上もあることに衝撃を受けます。一児の親としても、胸が痛みます。そして大人でさえストレスやトラブルが多いチャットやSNSというツールが使える端末を事前の対策なしに子どもたちに配布しているという状況に、国と行政側のデジタルテクノロジーに対する深刻な不理解が見て取れます。ネットリテラシーの教育は事後的な対症療法になってしまっていないでしょうか。ITリテラシーが高い親ほど子どもに不用意にスマホやタブレットを与えないという傾向があります。スティーブ・ジョブスやビル・ゲイツが自身の子どもたちが幼い頃に(自分たちの会社が販売している)スマホやタブレットの使用に厳しい制限を設けていたという話が有名ですが、シリコンバレーに勤務する世帯の親の多くも同様だという報道調査が2018年に米Business Insiderによって行われています。利用者の注意を奪い、通知にすぐに反応することによって他の利用者からの反応を得られ、心理的な報酬を得られるように設計されている現在のSNSツールが麻薬と同じ中毒性を持つものだと、多くの研究者やGAFAMで働く人々が指摘しており、社会的な議論が進んでいます。デジタルテクノロジーはもちろん設計の仕方、使い方によっては学習やコミュニケーションを助ける素晴らしい道具になりえます。しかし現行の、収益性を最大化するように設計されたツールの多くが、そのままでは教育の現場での使用に適さないことは明らかです。子どもたちにとってどのようなツールが必要なのかという議論と開発をオープンなかたちで早急に行うべきでしょう。その際、無駄に高額な発注額で大手システム開発企業に委託するという悪弊も断ち切るべきでしょう。親である当事者意識と志、そして公共性の意識を持つエンジニアたちを巻き込み、オープンソースで透明性も高く、再定義可能性にも開かれたかたちでの開発が望ましいと考えます。それは大人の使うツールに対しても必要なことだとも思うのですが。…続きを読む