第1回
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この30年間、日本は賃金が変わっていないと聞いた。しかも、海外と比べると、さらにぎょっとする。いつの間にか、先進国でも平均以下となり、差が大きかったお隣の韓国にも追い越された。どの国も上がっているのに、置き去りの日本の状況は異常とも言える。なぜ日本は賃金が上がらない国になってしまったのだろうか。
まず、日本の現状を確認してみた。経済協力開発機構(OECD)の2020年の調査(物価水準を考慮した「購買力平価」ベース)によると、1ドル=110円とした場合の日本の平均賃金は424万円。35カ国中22位で、1位の米国(763万円)と339万円も差がある。1990年と比べると、日本が18万円しか増えていない間に、米国は247万円も増えていた。この間、韓国は1・9倍に急上昇。日本は15年に抜かれ、いまは38万円差だ。日本が足踏みしている間に、世界との差はどんどん開いていた。
賃金はほとんど上がらなかったこの間、社会保険料や税金がひかれた後の手取りはどうだろう。
大和総研の調査でみてみた。2人以上の勤労者世帯では、手取りは97年をピークに減少が続いていたが、12年以降は女性の社会進出の影響もあり、緩やかに伸びている。給料から引かれるものとしては、社会保険料の負担が増している。17年までの30年間で月額2万6千円の負担増だ。主任研究員の是枝俊悟さんは「少子高齢化の中、医療や介護分野の社会保険料負担はさらに増す可能性があり、可処分所得の下押し要因になりかねない」と話す。
ここまで上がらないのはなぜ…
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