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2020年7月31日 2021年9月4日
「Amazon Music HD」の高音質は本当に実感できる?Spotifyと比較テストをしてみた
自宅で過ごす時間が増え続けていることもあり、以前から興味のあった定額制音楽聴き放題サービスAmazon Music HD(アマゾンミュージック hd)を使い始めています。
2019年の9月に開始となったAmazon Music HD(アマゾンミュージック hd)は、一般的な定額制音楽聴き放題サービスの約2倍、最高音質の楽曲では10倍近いビットレートで配信されている、高音質を売りとしたサービスです。
僕は「Spotify」のユーザーでした(今もそうですが)ので、「Amazon Music HDは本当にSpotifyよりも音がよいのか?」「今よりさらに費用をかける価値があるのか?」と気になっていたのです。
今回は「Amazon Music HD」と「Spotify」を聴き比べ、両サービスの音質の違いが分かるかをテストしてみました。
「Amazon Music HD」と「Spotify」音質比較テスト環境のご紹介
先ずはテストに用いた機材をご紹介しておきます。
「Amazon Music HD」と「Spotify」音質比較テスト環境のご紹介
「Amazon Music HD」と「Spotify」を再生したのはmacbook airです。音源はダウンロードせずにストリーミングで再生します。(Amazon Music HDの再生時は排他モードで再生) アンプとの接続はUSBケーブルを使いました。
アンプはPS AudioのSproutです。このアンプは24bit/192kHzに対応するDAC(Digital to Analog Converter)を搭載しているので「Amazon Music HD」の最高音質でも再生することができます。ただし、Sproutは細かい音を繊細に鳴らすようなタイプではなく、カラッと軽快な音が出るアンプです。高音質な音源に対応できるのかはちょっと心配でした。
スピーカーはJBLの4312mk2です。昔のスピーカーですし、良くも悪くもクセのある音ですので今回のようなテストに向いている気はしませんが、このスピーカーで違いが分かるのであれば現在販売されている多くのスピーカーでも高音質を実感できるはずです。
以上が今回テストに用いた機器です。
はたしてこのセットで「Amazon Music HD」と「Spotify」の聴き分けは出来たのでしょうか?
「Amazon Music HD」の高音質を「Spotify」と比較テストした結果
「Amazon Music HD」の高音質を「Spotify」と比較テストした結果
テストに参加したのは僕と奥さんの2名です。
テスト方法は、「Amazon Music HD」と「Spotify」で同じ曲を交互に1分づつ再生し、どちらが「Amazon Music HD」の高音質音源かを当てます。
「Spotify」は最高音質の約320kbit/秒で再生(設定上は)します。一方の「Amazon Music HD」ですが、曲によって音質はまちまちで、ハイレゾ(最大24 bit / 192 kHz)で再生できる曲もあれば、CDと同程度の音質の再生になる曲もあります。
SIA - alive| 24 bit / 96 kHz
結果:僕(不正解)、奥さん(正解)
先ずは昨年フジロックで見たSIA(シーア)のalive。この曲は「Amazon Music HD」ではULTRA HD(24 bit / 96 kHz)として配信されていています。
データ上では音質にそれなりの違いがでるはずですが、早速僕は不正解でした…。少しボーカルの鮮明さが違うかなぁ?正解を知ってから聴き直すと細かい音や響きに違いがある気はするのですが、正直に言ってそこまでの違いを感じ取ることができませんでした。
Norah Jones - Sunrise|24 bit / 192 kHz
結果:二人とも正解
「Amazon Music HD」では最高音質で配信されているノラ・ジョーンズのサンライズを試してみました。この曲の違いは明らかで、二人とも間違うことはありませんでした。ボーカルの滑らかさや楽器の響きが全然違います。「Amazon Music HD」の本領を発揮している曲でした。
FKA twigs - Two Weeks |24 bit / 44.1 kHz
結果:二人とも不正解
今年のフジロックにも登場する予定だったFKA twigsの楽曲もテストしてみました。残念ながらこの曲は二人とも正解できませんでした。非常に難しいです。「Amazon Music HD」で聴いても、「Spotify」で聴いても、どちらも良く聴こえてしまいます。浮遊感のある音で聴き分けできるはず、と自信を持って挑んだのですが意外すぎる結果に終わりました。
Radiohead - Everything in its right place|16 bit / 44.1 kHz
僕(不正解)、奥さん(正解)
当時CDで何度も聴いていて、絶対に間違うことはないと思って挑んだRadioheadのEverything in its right placeですが、僕はあえなく不正解に終わりました。出だしから全然違うことを期待していたのですが、予想外にSpotifyの音も悪くなく、正解した奥さんも「違いは分からない」とのことで、カンで正解したぐらいです。
The Internet - Get Away|24 bit / 44.1 kHz
僕(不正解)、奥さん(正解)
この楽曲も僕はまたもや不正解、全然駄目ですね僕の耳。正解を知ってから聴き直すと「Amazon Music HD」の方が全体的にクリアな気はしますが、じっくりと聴かないかぎり僕にはどちらも悪くない音に聴こえてしまいます。
The Carpenters - Yesterday Once More|24 bit / 48 kHz
二人とも正解
僕があまりにも正解できないので、今度は思いっきり古い曲、カーペンターズのYesterday Once Moreでテストしてみました。もしかして古い曲ならば違いが分かりやすいのでは?と予想してみたのです。結果的にこのテストが一番の違いを感じる曲となりました。恐らくこの曲で間違う人はいないはずです。「Amazon Music HD」で聴くYesterday Once Moreは恐ろしくクリアで古さを感じません。一方のSpotifyも悪くはないのですが、「Amazon Music HD」があまりにも圧倒的に高音質なので、比較してしまうとがっかりしてしまうレベルです。
その他楽曲
上記以外の曲も数多く試してみたのですが、最後まで僕の正解率は低めでした。最高音質で配信されている曲でさも間違えることが多く、ひたすら自信を無くすテストとなってしまいました。
そんな僕でも音質の違いがはっきりと分かったのは、カーペンターズのような比較的古めでシンプルな曲です。ボブ・ディランも全く違います。「Amazon Music HD」で聴く「風に吹かれて」なんて目の前で歌っていると感じるぐらいです。
ヘッドホンでも聴き比べてみた
あまりにも間違うことの多かったので、試しにヘッドホンで今回テストした曲を聴き直ししてみました。
利用したのはソニーのMDR-CD900ST(※ハイレゾ未対応)です。昔からスタジオで使われているこのモニターヘッドホンならば、テストに利用したスピーカーよりはもう少し細かい音まで判断できる気がしたのです。
しかし、残念ながらヘッドホンでも期待していたほどの違いを感じることはできませんでした。
もちろん「Amazon Music HD」の方が「音の数が多い気がする」とか「音に深みがある気がする」と感じる曲は多いです。しかし、決定的にどこが違うか?と言われる自信が持てない曲ばかりでした。
「Amazon Music HD」と「Spotify」の音質比較まとめ
「Amazon Music HD」と「Spotify」の音質比較テストの結果は、「Amazon Music HD」には圧倒的に高音質に感じる曲はあるものの、予想以上に違いは分かりにくいという結果となりました。「Spotify」の音良いですね。(いや、僕の耳の問題かしら)
今回のテスト結果をふまえて「Amazon Music HD」の契約を継続するかどうかは非常に悩ましい問題です。
バカ耳と判明した僕でさえ感動レベルに違いの分かる曲が「Amazon Music HD」に存在することは間違いなく、当分の間ライブやフェスに行けそうもない今の状況ならば「Amazon Music HD」を使い、しっかりと音楽に向き合いたい気はするのです。
しかし、「Amazon Music HD」の使い勝手の悪さは気になります。どの曲が人気の曲なのかは分かりにくく、「Spotify」に比べて目当の曲を探す時間がかかります。スマホのアプリとパソコンのアプリは連動しないのでSpotifyのように手元でコントロールすることも出来ません。Spotifyにしか無い曲やアルバムも存在します。
一番のがっかりポイントは、音質の異なる曲が混在するアルバムがあることです。一番好きな曲に限って音質が低かったりする現状はどうにかならないものでしょうか。
などと最後に次々と文句が続いてしまいますが、「Amazon Music HD」が音楽をきちんと聴きたくなるサービスだということは間違いありません。事実「Amazon Music HD」のおかげでスピーカーの前に座り1枚のアルバムをきちんと聴くことが断然増えました。(Spotifyの場合好きな曲やおすすめのプレイリストを聴くことが多く、アルバム単位で聴くことは稀でした)
今後も「Amazon Music HD」を使い続けるならば、新しいアーティストや曲を発見する目的で「Spotify」を、気に入ったアーティストの楽曲をしっかりと楽しむのは「Amazon Music HD」という使い分けが一番しっくりくる気がします。
テスト後、「もっと高いアンプだったら違いを実感できそうね」とか「ハイレゾ対応のヘッドホンは必須か?」とか「DAコンバーターを追加してみようかしら」などと、お金のかかる危険な妄想をしていますので、今後機材を変えたことで「Amazon Music HD」に新しい発見があるようでしたらまたご紹介したいと思います。
追記:オーディオ機器を変えたら全然違いました
その後、最新のDACとモニタースピーカーを借りる機会があり、再びAmazon Music HDとSpotifyの聴き比べをしてみました。(参考記事:RME「ADI-2 DAC FS」 とGenelec「G One」をレビュー)
結果として、全然違いました。
JBL4312では聴き取れていなかった細かな音の違いがかなりあり、Amazon Music HDの高音質を経験するとSpotifyだけでは満足できそうにありません。
音質に拘りたいのであればAmazon Music HDを選ぶべき(あと性能の良いDACもね)ですね。
使いやすいSpotifyを選ぶのか、多少我慢して高音質のAmazon Music HDを選ぶのか、僕は選べそうにありませんので暫くどちらも使うことにします。
まだAmazon Music HDを使ったことの無い方は先ずは無料のお試し期間でじっくり検証してみてはいかがでしょうか。
※大幅値下げになりました!(月額980円※プライム会員の場合は780円)この値段ならかなり大アリ。気軽に高音質が楽しめるようになりましたね。(2021年6月9日追記)
詳細:Amazon Music HD
さらに少し追記:Spotify HiFiが登場予定
Amazon Music HDの使い勝手に不満がある方に朗報。
Spotifyのロスレスサービス「Spotify HiFi」を開始することが発表になりました。
日本で利用できるようになるのかは不明ですし、「ハイレゾ」では無さそうなのでAmazon Music HDと真っ向から勝負するサービスでは無さそうですが、ハイレゾとCD音質の違いなんてさらに分かりにくいので「Spotify HiFi」に流れてしまう方も多そう。
兎にも角にも日本でサービス開始になることを願いつつ、それまではAmazon Music HDや現在のSpotifyを楽しむことになりそうです。
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