Noctua NH-P1


プロトタイプの展示から2年、ついに発売された完全ファンレスで最新デスクトップ向けCPUを冷やせるパッシブCPUクーラー「Noctua NH-P1」をレビューします。
2021年最新メインストリーム向けCPUのCore i9 11900KやRyzen 9 5950Xを使用して、「Noctua NH-P1」の完全ファンレス時やNF-A12x25 LS-PWM増設時の冷却性能を徹底検証していきます。

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製品公式ページ:https://noctua.at/en/nh-p1
互換性リスト
CPU:https://ncc.noctua.at/coolers/NH-P1-68/cpus
マザーボード:https://ncc.noctua.at/coolers/NH-P1-68/motherboards
ケース:https://ncc.noctua.at/coolers/NH-P1-68/cases







レビュー目次


1.Noctua NH-P1の梱包・付属品
2.Noctua NH-P1の外観・ヒートシンク
3.Noctua NH-P1の冷却ファン(オプション)
4.Noctua NH-P1のクリアランス


5.Noctua NH-P1の検証機材・セットアップ

6.Noctua NH-P1のファンノイズと冷却性能


7.Noctua NH-P1のレビューまとめ

補足.空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて



【機材協力:Noctua 国内正規代理店サイズ】



Noctua NH-P1の梱包・付属品

まずは「Noctua NH-P1」の外観や付属品をチェックしていきます。
「Noctua NH-P1」のパッケージはNH-U12AやNH-D15など既存のモデル同様に白地にブラウンのカラープリントのパッケージになっています。
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「Noctua NH-P1」の外パッケージを開くと、まず付属品が収められた小分けパッケージが現れ、その下にはCPUクーラー本体が収められています。
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CPUクーラーマウント関連を除く付属品は、マニュアル冊子3枚、同社製熱伝導グリス「NT-H2」、グリスクリーニングワイプ「NA-CW1」、ファンクリップ×2、エンブレムバッジシール、トルクスドライバーでした。
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トルクスドライバーはCPUクーラー付属品ながらちゃんとマグネットが内蔵されているので、組み立て途中にネジやナットを落としても安心です。
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CPUクーラーマウント関連の付属品としては、Intelプラットフォーム用マウントバー(NM-IMB2)、Intel LGA115X用プラスチックスペーサー(ブラック、NM-IPS1)、Intel LGA115X用バックプレート(NM-IBP2)、Intel LGA2066用スタンドオフスクリュー(NM-IBT2)、AMDプラットフォーム用マウントバー(NM-AMB8)、AMD AM4用プラスチックスペーサー(グレー、NM-APS4)、AMD AM/FM用プラスチックスペーサー(ホワイト、NM-APS5)、AMDプラットフォーム用スクリュー(NM-ALS1)、マウントバー固定用ハンドスクリューナットとなっています。
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ちなみにNoctua NH-P1に付属する熱伝導グリス「Noctua NT-H2」は単品でも市販されています。
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Noctua NH-P1の外観・ヒートシンク

続いて「Noctua NH-P1」のヒートシンクをチェックしていきます。
「Noctua NH-P1」のヒートシンクの放熱フィンは、全てが空気への放熱性に優れ、一般に広く採用されているアルミニウム製です。ヒートシンクだけで寸法は幅154mm x 奥行152mm x 高さ158mmとなっており、140mmサイドフロー型空冷クーラー級(ファン含む)のサイズ感なのでかなり巨大です。Noctuaらしい質実剛健な工業製品的な美しさを全面に押し出したデザインです。
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「Noctua NH-P1」のヒートシンクの放熱フィンは一般的なアルミニウム製ですがシルバーアルマイト表面処理がされており、見た目に美しいだけでなく、汚れにくく錆びにくいというメリットもあります。PCケースのリアファンと向かい合う向きなので残念ながら、PC組み込む後に拝むのは難しいですが、フィンの中央にはお馴染みのNoctuaロゴが刻印されています。
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放熱フィンに注目すると、放熱フィンの枚数は13枚、フィンピッチは8.5mmと広く、放熱フィン1枚1枚の厚みも1.5mmと厚手です。空気の自然対流によって放熱する完全ファンレスクーラーなので、通気性と熱容量を勘案するとこういう形になるのも納得です。
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また放熱フィンが水平になる向きで組み込まれても適切に放熱できる(自然対流が生まれる)よう、放熱フィン1枚1枚に長方形のホールが設けられているところも特長的です。
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アルミニウム製放熱フィン1枚1枚はヒートパイプと綺麗にソルダリングで結合されています。
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「Noctua NH-P1」のヒートシンクはベースコアを中心にして前後左右に非対称な形状です。横から見るとメモリスロットと向かい合うようにヒートパイプが垂直に伸び、逆にマザーボードのリアI/Oに覆い被さるようにして放熱フィンが展開されています。
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一方で正面から見ると、ヒートシンクはPCIEスロットと干渉しないようにマザーボード上側にオフセットされており、CPUソケット上側のVRM電源クーラーに覆い被さる形です。ヒートパイプも単純な扇形ではなく、Noctuaが設計を重ねて最適化した配置とのこと。
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ニッケルメッキの施された銅製ベースコアからは同じくニッケルメッキ銅製のヒートパイプが6本伸びています。
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Noctua NH-P1のベースコアにはニッケルメッキ銅製ベースプレートが採用されています。ベースプレート自体は52mm×52mmで広めですが、CPUヒートスプレッダと実際に接する中央の出っ張り部分は40mm×38mm程度です。
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銅製ベースプレートとヒートパイプの組み合わせの場合、ヒートパイプを上下から金属プレートで挟み込む形が主流で、同社のNH-U12AやNH-D15でもその構造でしたが、「Noctua NH-P1」では6mm程度というそれほど厚みの大きくないベースプレートにヒートパイプの半分だけが埋まっています。
13枚のうち6枚の放熱フィンはベースプレートとソルダリングで結合されていますが、ソルダリングされているのは左右端だけなので熱伝導というよりもヒートシンクの自重を支えるのが目的のようです。
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ただしベースプレート表面は綺麗な鏡面ではなく、同心円状に磨き跡があります。ベースプレートに写り込むネジもボヤけています。
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「Noctua NH-P1」をマザーボードに固定するためのリテンションには同社独自の簡単かつ安定した固定が可能なSecuFirm2という構造が採用されています。
Noctua NH-P1にはIntel/AMDの各種プラットフォームで共通して使用するリテンションブラケットが標準で装着されています。スプリング付きスクリューが装着されており、付属のトルクスドライバーを使用して簡単かつ適切にCPUクーラーを装着可能となっています。
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リテンションブラケットの固定ネジには見ての通りヒートシンクが被さっていますが、放熱フィンの隙間から問題なくアクセスできます。長軸のドライバーも付属しているのでCPUクーラーの固定に関して事前の用意は特に必要ありません。
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「Noctua NH-P1」の全高は公式仕様通り158mm程度です。放熱フィンがリアI/Oに大きく被さる構造ですが、放熱フィンの下端が高さ40mm程度なのでリアI/Oカバーと干渉する心配は基本的にないはず。
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増設オプションの1つとしてヒートシンクの上に冷却ファンを設置することができますが、付属ファンクリップが対応する25mm厚ファンを増設すると全高183mm(同社フラッグシップのNH-D15でさえ165mm)になってしまうので、対応するPCケースは限られると思います。
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「Noctua NH-P1」の重量はヒートシンク単体で1180g、オプションパーツとして公式に推奨されている120mmファンのNoctua MF-A12x25 LS-PWMを含めると1382gです。
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Noctua NH-P1の冷却ファン

「Noctua NH-P1」は標準では完全ファンレス仕様ですが、付属のファンクリップによって120mm角ファンとも互換性があります。
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「Noctua NH-P1」で増設するファンの設置ポジションは3カ所から選択できます。設置ポジションはHole set 1~3と呼ばれ、右(1)、上(2)、左(3)に番号が割り振られています。
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「Noctua NH-P1」の発売に合わせて、定格1200RPMの低速度で、PWM速度調整にも対応した「Noctua NF-A12x25 LS-PWM」が最適な別売りオプションとして発表されています。
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「Noctua NF-A12x25 LS-PWM」の付属品は、低ファンノイズ変換アダプタ(L.N.A.)、PWM対応4PINファン端子2分岐Y字ケーブル、PWM対応4PINファン端子300mm延長ケーブル、防振ファンブッシュ「NA-AV2 anti-vibration mounts」、水冷ラジエーター用防振ガスケット「Anti-vibration gasket for water cooling radiators」、ファン固定用テーパーネジ4個となっています。
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「Noctua NF-A12x25 LS-PWM」は定格1200RPMのPWM速度調整対応4PINファンです。PWM速度調整によって450~1200RPMの範囲内で速度調整が可能です。また付属の低ファンノイズ変換アダプタ(L.N.A.)を接続すると降圧調整によって定格回転数が900RPMに下がります。
Noctua NF-A12x25シリーズからは現在、末尾が”PWM”、”LS-PWM”、”FLX”、”ULN”の4モデルがラインナップされていますが、4モデルの主な違いはPWM速度調整の対応と定格ファン速度です。
ファンブレードや軸受けといった基本的なハードウェア設計は共通なので、「Noctua NH-P1」の増設ファンにPWMやFLXを使用するのも可能ですし、他社製水冷ラジエーターのファンをLS-PWMに換装するというのも問題ありません。
Noctua NF-A12x25シリーズの違い
PWMLS-PWMFLXULN
PWM速度調整対応
4PINファン端子

非対応
3PINファン端子
定格(最大)
ファン速度
2000RPM1200RPM2000RPM1200RPM
ラジエーター用
ガスケット
付属

「Noctua NF-A12x25 LS-PWM」はベージュのファンフレームとブラウンのファンブレードというNoctuaらしいカラーリングです。『これぞNoctua!』という肯定的な意見もあれば、『ダサい、きたない』といった否定的な意見もある賛否両論なデザインですが、少なくともパッと見でNoctuaの存在を頭に刻み込むというブランド認知には一役買っていることは間違いありません。
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冷却ファンのサイズは汎用120mmファンと同じです。乱流の発生により静音化を向上させるファンブレードに刻み込まれた溝構造「Flow Acceleration Channels」も採用されています。
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またファンフレーム内側を階段状のすり鉢形にする「Stepped Inlet Design」構造によって大風量の実現や、エア流れを最適化し静圧の改善やノイズの低減に寄与するそうです。ファンフレームの四隅には防振ラバーパッドが装着されており冷却ファンの振動による共振の発生を抑制します。
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Noctua製120mmファンから「NF-A12x25 LS-PWM」と「NF-F12 PWM」を比較すると、「NF-A12x25 LS-PWM」ではモーターハブが若干大型化されています。
また中心部の材質をスチール製に、金色のアクスルマウントは真鍮製になっており補強が施されています。軸受けは従来機種でも採用されているNoctua第2世代「SSO2ベアリング」が使用され、さらに真鍮製CNCベアリングシェルによって軸ブレをなくし、高い耐久性が実現されています。
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NF-F12 PWMでは直進整流効果が期待できる11枚羽の軸フレーム構造「Focused Flow frame」が採用されていましたが、「Noctua NF-A12x25 LS-PWM」ではファンブレード回転方向と直交する向きに4本の軸フレームが伸びているシンプルな構造が採用されています。
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「Noctua NF-A12x25 LS-PWM」の最大の特徴は何といっても、0.5mmという限界に挑んだフレーム-ブレード間の隙間の小ささです。
この間隔が狭いほど漏れる空気は少なくなりエアの直進性も増すので、回転数に対する風量の効率が増し、静音性も向上するという、シンプルイズベストなアプローチになっています。
超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」をファンブレードの素材として採用することによって、ファンブレード回転時の振動が軽減され、中心軸からぶれず、遠心力による変形が発生しないので、フレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現しています。
Noctua NF-A12x25 LS-PWM
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「Noctua NF-A12x25 LS-PWM」からはラバースリーブが施されたPWM対応4PINファン端子ケーブルと伸びています。延長ケーブルも付属しているのでケーブルの長さは20cm程度と短めです。
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冷却ファンのヒートシンクへの固定方法は、空冷CPUクーラーとしては一般的な針金のファンクリップを使用する方式です。
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針金ファンクリップを使用するのは共通していますが、「Noctua NH-P1」の構造は少し特殊で、左右端の折り曲げ部分をヒートシンクの放熱フィンに設けられた穴に挿し込みます。
ファンクリップを装着する穴は右(1)、上(2)、左(3)のファン固定ポジションに合わせて三対あり、それぞれ番号も放熱フィン上に刻印されているので、どこにファンクリップを装着すればいいか一目で分かります。

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ファンクリップは放熱フィンのネジ穴に挿しこむので、ファンを固定していない状態でも勝手に脱落することがありません。
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下写真はファンを上に固定する場合のファンクリップです。設置ポジションに依らず共通で、中央の凸になっている部分が内側を向くようにファンクリップを装着します。
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後はファンクリップでファンを挟み込めば固定は完了です。
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Noctua NH-P1の各種クリアランスについて

「Noctua NH-P1」の各種クリアランスについて簡単にチェックしておきます。
マザーボード上CPUソケットの微妙な位置の違いで若干差が出る可能性はあるのですが、ひとまず、今回はX570チップセット搭載AM4マザーボードのASUS ROG Crosshair VIII Dark Heroを例にして「Noctua NH-P1」の各種クリアランスを確認してみます。

Noctua NH-P1とメモリのクリアランスについて

まずメモリのクリアランスについて、AMD AM4やIntel LGA1200など近年最新のメインストリーム向けプラットフォームの場合、メモリスロットはマザーボード右側に4基が実装されていますが、「Noctua NH-P1」をメーカー推奨ポジションで固定すると、ヒートパイプとメモリが向かい合う形になります。
ヒートパイプとメモリスロットの間には5mm程度の隙間があるので、AMD AM4やIntel LGA1200であれば「Noctua NH-P1」はメモリスロットと干渉する心配はありません。
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「Noctua NH-P1」をIntel LGA2066プラットフォームで使用するユーザーは稀だと思いますが、CPUソケット左右にメモリスロットがある環境の場合、左側メモリスロットにヒートシンクか被さります。
ヒートシンク下端の高さは43mm程度なので、45mmを超えるヒートシンク搭載メモリは干渉する可能性があるので注意してください。ちなみにメモリの全高が43mmのG.Skill Trident Zは1,2mmの余裕を残して問題なく設置できました。
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Noctua NH-P1とPCIEスロットのクリアランスについて

「Noctua NH-P1」のヒートシンクは幅154mmで、150mmラウンドフレームファン搭載のハイエンド空冷CPUクーラー級のサイズですが、ベースコアに対してマザーボード上側にオフセットするヒートシンクの配置になっているので、PCIEスロットと干渉する心配はありません。
PCIEスロットとの干渉の有無についてはNoctua公式のマザーボード互換性リストでも確認できるので参照してみてください。
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上記の通り「Noctua NH-P1」は多くのマザーボードにおいて、最上段のPCIEスロットにヒートシンクが被さらないように設計されていますが、PCIEスロット側に冷却ファンを増設した場合、25mm厚ファンの分だけ占有スペースが広がるので、1段目もしくは2段目に実装されたグラフィックボード用のx16サイズPCIEスロットは使用できなくなります。
一般的なマザーボードレイアウトにおいて煙突的なエアフローになるので、冷却構造的にはベストな配置かもしれませんが、基本的にiGPU環境に特化したファンポジションだと思います。
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Noctua NH-P1とPCケース天面のクリアランスについて

マザーボード上CPUソケット位置で若干前後する可能性はあるものの、今回参考にしているASUS ROG Crosshair VIII Dark Heroではマザーボード上端とピッタリの位置に「Noctua NH-P1」のヒートシンクが収まりました。
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PCケース天面のファン併用した場合に干渉するかどうかはPCケース次第ですが、天面に冷却ファンを設置できるタイプのPCケースであれば、このポジションへのファンの増設は問題ないはずです。
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Noctua NH-P1とPCケースリアファンのクリアランスついて

「Noctua NH-P1」はヒートシンクがリアI/Oに覆い被さるように伸びる構造なので、PCケースリアファンと干渉する可能性があります。
今回参考にしているASUS ROG Crosshair VIII Dark Heroの場合、マザーボードのリアI/Oバックパネルからヒートシンク左端までの距離がちょうど25mm程度でした。組み込むPCケースの背面構造や凹凸次第ではPCケースリアのファン設置は干渉する可能性が高いです。
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ただし、この方向は放熱フィンと並行にファンを設置することになるので(四角のエアスリットが設けられているとはいえ)、エアフロー的に効率が良くないので、あまり気にしなくてもいいように思います。
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どうしてもリアにケースファンを増設したい場合は「Noctua NF-A12x15 PWM」、「Noctua NF-A12x15 PWM chromax.black.swap」のような15mm厚のスリムファンを使用すれば、ファンとヒートシンクの干渉を避けることができると思います。
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Noctua NH-P1の検証機材・セットアップ

「Noctua NH-P1」を検証機材のベンチ機にセットアップします。Noctua NH-P1の検証機材として、Intel Core i9 9900K、AMD Ryzen 9 3950X、Intel Core i9 7980XEなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPUIntel Core i9 11900K
AMD Ryzen 9 5950X (レビュー
マザーボード
MSI MEG Z590 ACE
レビュー
ASUS ROG Crosshair VIII Dark Hero
レビュー
メインメモリG.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK
レビュー
3600MHz, 16-16-16-36-CR2
G.Skill Trident Z Neo
F4-3600C14Q-32GTZN
レビュー
3600MHz, CL16-16-16-36-CR1
ビデオカードMSI GeForce GT 1030 2GH LP OC (レビュー
システム
ストレージ
Samsung SSD 980 PRO 500GB (レビュー
OSWindows10 Home 64bit
電源ユニットCorsair HX1200i (レビュー
ベンチ板STREACOM BC1 (レビュー


ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 980 PRO 500GB」を使用しています。Samsung SSD 980 PROは、PCIE4.0対応によって連続アクセススピードを最大で2倍に飛躍させただけでなく、ランダム性能の向上によってSSD実用性能においても前世代970 PROから大幅な向上を果たし、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDよりも高速なので、これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
「Samsung SSD 980 PRO 1TB」をレビュー。堂々の最速更新
Samsung SSD 980 PRO 1TB



CPUクーラーの設置方法について、当サイトの評価基準となるチェックポイントは次の3つです。
  • LGA115Xの場合、CPU固定バックプレートが単独でマザーボードに固定できるか
  • マウントパーツ設置状態でCPUを交換できるか
  • 空冷の場合、ネジ止めの場合はマザーボード側から固定できるか
    簡易水冷or水冷ブロックの場合、ハンドスクリューなどツールレス固定ができるか

上の3項目を全て満たす例として本格水冷用のCPU水冷ブロックですが「EK-Supremacy EVO」のマウンタ構造は「バックプレートをM/Bに固定可能」「完全ツールレス」「マウンタ設置状態でCPUの交換が可能」なので本格水冷・簡易水冷クーラーの水冷ブロック固定方式としてはベストだと思っています。水冷クーラーメーカーにはどんどん真似してもらいたい理想的な構造です。

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「Noctua NH-P1」のCPUクーラー設置手順についてはNoctua公式からYoutube上で各プラットフォーム毎に動画が公開されているのでこちらを参照するのが一番わかりやすいと思います。下の動画はIntel LGA115X/1200のものですが、AMD AM4の取り付け動画もNoctua公式チャンネルで配信されています。



今回は検証環境の1つであるAMD Ryzen 5000シリーズCPUに対応するAMD AM4プラットフォームを例にして「Noctua NH-P1」の設置手順を簡単に紹介します。
「Noctua NH-P1」はマルチプラットフォーム対応CPUクーラーなのでマウントパーツの種類がいくつかありますが、AMD AM4プラットフォームでは下写真に写っている、AMDプラットフォーム用マウントバー(NM-AMB8)、AMD AM4用プラスチックスペーサー(グレー、NM-APS4)、AMDプラットフォーム用スクリュー(NM-ALS1)を使用します。
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AMD Ryzen CPUに対応するAM4マウントでは、マザーボード表面に標準で備え付けられたCPUクーラー固定器具を外して、背面のバックプレートはそのまま流用します。
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表面に標準で装着されているCPUクーラー固定器具を取り外したら、AM4用のグレー色プラスチックスペーサーをネジ穴に被せます。
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AMD AM4環境ではCPUソケットに向かって凸になるようにマウントバーを設置します。「Noctua NH-P1」に付属するマウントバー固定ネジのネジ頭はトルクスネジですが、付属のドライバーで問題なく締めることができます。この状態になれば、マウントパーツは単独でもマザーボードに固定されているので、CPUクーラーの設置が完了していない状態でもバックプレートなどが脱落することはなく、PCケースに設置した状態でもCPUクーラーの設置が容易です。
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ちなみにグリスでCPUクーラーヒートシンクのベースプレートに熱伝導グリスで吸着してしまったCPU本体が、ヒートシンクの取り外しの際に一緒にとれてしまう現象、俗にいう”スッポン”を防止するための保護フレーム「ProArtist IFE2」が発売されています。
Noctua製ではなく他社製品になりますが、「Noctua NH-P1」などNoctua製空冷CPUクーラーとも互換性があるので、AMD AM4プラットフォームで組む時はオススメです。
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CPUクーラーをマザーボードに固定する準備はこれで完了したので熱伝導グリスをCPUのヒートスプレッダに塗布します。熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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Thermal Grizzly Kryonaut TG-K-001-RS(少量、1g)
Thermal Grizzly Kryonaut TG-K-015-RS(1.5ml)
Thermal Grizzly Kryonaut TG-K-030-RS(3.0ml)
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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「Noctua NH-P1」の銅製ベースプレートはフィルムではなくプラスチックカバーで保護されているので、CPUクーラーをマザーボードに設置する前に剥がし忘れる、といった心配はありません。
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なお注意点として、EPS電源端子がマザーボード左上にある場合、ヒートシンクが完全に被さってしまうので、「Noctua NH-P1」を固定する前に電源ケーブルは接続しておいてください。PCケースによってはヒートシンク固定後にEPS電源端子にアクセスするのが難しく、二度手間になる可能性があります。
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熱伝導グリスを塗ったらCPUクーラーヒートシンクを乗せて付属のトルクスドライバーでネジ止めします。
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以上で「Noctua NH-P1」の設置完了です。
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Noctua NH-P1のファンノイズと冷却性能

本題となるNoctua NH-P1の冷却性能と静音性についてチェックしていきます。
検証システムをベンチ板に置いた状態で測定を行っているためCPUクーラーが水冷・空冷によらず基本的にCPUクーラーの理想的な性能をチェックすることになります。
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まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用して「Noctua NH-P1」のファンノイズをファン回転数別で測定しました。
「Noctua NH-P1」は完全ファンレスCPUクーラーですが、公式のオプションとして紹介されているNF-A12x15 LS-PWMもしくはNF-A12x15 PWMを使用した時のファンノイズをチェックします。なおファンポジションは3カ所ありますが、一般的なレイアウトで、PCケース天面下になるHole set 1にファンを設置しました。
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検証機材はベンチ台の上に平置きにしているので、サウンドレベルメーターをスタンドで垂直上方向に50cm程度離して騒音値を測定しています。
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この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとベンチ台上で煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。

「Noctua NH-P1」にNF-A12x25 LS-PWMを増設した時のファンノイズを測定したところ次のようになりました。
NF-A12x25 LS-PWMを増設してアクティブ冷却にしたとしても、最大ファン速度の1200RPMで30dB以下という優れた静音性を発揮しており、1m以内で聞いた体感として900RPM以下ではファン動作を認識するのは難しいレベルでした。

一方で定格2000RPMのNF-A12x15 PWMを増設ファンとした場合、放熱フィンとの風切りが共鳴するせいかノイズレベルに波が出て、1200RPM以下と比較して音量だけでなく、音の性質としてもファンノイズが耳障りになりました。Noctuaが「Noctua NH-P1」に合わせて、定格1200RPMでPWM速度調整に対応したNF-A12x25 LS-PWMをリリースしたのも納得の結果です。
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続いて「Noctua NH-P1」の冷却性能をチェックしていきます。
CPUクーラーの冷却性能を検証するためのストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間6分40秒、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)を変換ソースとして、Aviutl&x264を使って動画のエンコードを行います。動画エンコードの同時実行数については4~6コアは並列なし、8~14コアは2並列実行、16コア以上は3並列実行としています。テスト中のファン回転数については一定値に固定します。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
CPU Cooler_Stress Test


Intel第11世代Rocket Lake-S最上位モデル、8コア16スレッドCPUの「Intel Core i9 11900K」を使用して、Intel第11世代Core-S環境における、「Noctua NH-P1」の冷却性能を検証していきます。
Core i9 11900Kの動作設定として定格設定の通り「PL1:125W」「PL2:250W」「Tau:56s」に設定し、メモリのOC設定は「メモリ周波数:3600MHz(IMCはGear1)」「メモリ電圧:1.350V」「メモリタイミング:16-16-16-36-CR2」にしました。

まずは、「Noctua NH-P1」にNF-A12x25 LS-PWMを増設し、ファン速度は体感的にファンレスと同等だった900RPMに固定した状態でストレステストを実行したところ、Core i9 11900KのCPU温度を最大75度、平均71.7度に収めることができました。
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CPU温度が70度前後と十分に低いので、PL1:125Wの制限に張り付く形でCPU Package Powerは125W前後で安定し、実動CPUコアクロックは4.0GHz前後でした。
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続いて、「Noctua NH-P1」を完全ファンレスなパッシブ空冷の状態でストレステストを実行したところ、Core i9 11900KのCPU温度を最大90度、平均85.0度に収めることができました。
PCケース組み込みではなくベンチ板上に平置き、かつ25度程度に空調の効いた部屋で測定しているとはいえ、完全ファンレスクーラー「Noctua NH-P1」でCore i9 11900Kに電力制限がかかる臨界温度に達することなく、CPU温度90度以下で、CPU Package Powerが125Wに張り付くという結果は意外でした。
Noctua NH-P1_11900K_0RPM_temp_1
CPU温度が高くなっているので、先ほどのファン増設時と比較して若干コアクロックは下がっているものの、それでも実動平均で3.9~4.0GHzをキープしています。
Noctua NH-P1_11900K_0RPM_temp_2
参考までに完全ファンレスの「Noctua NH-P1」でCore i9 11900Kを冷やした時のサーモグラフィは次のようになっています。
Noctua NH-P1_FLIR_Core i9 11900K (1)
Noctua NH-P1_FLIR_Core i9 11900K (2)


続いてAMD Ryzen 5000シリーズ最上位モデル、16コア32スレッドCPUの「AMD Ryzen 9 5950X」を使用して、AMD Ryzen 5000環境における「Noctua NH-P1」の冷却性能を検証していきます。
Ryzen 9 5950Xの動作設定については定格設定のまま、メモリのOC設定は「メモリ周波数:3600MHz」「メモリタイミング:16-16-16-36」「Command Rate:GearDownMode」「メモリ電圧:1.350V」としました。

まずは、「Noctua NH-P1」にNF-A12x25 LS-PWMを増設し、ファン速度は体感的にファンレスと同等だった900RPMに固定した状態でストレステストを実行したところ、Ryzen 9 5950XのCPU温度を最大85.3度、平均79.2度に収めることができました。
Noctua NH-P1_5950X_900RPM_temp_1
CPU温度が80度以下と十分に低いので、定格電力制限の上限に張り付く形で(5950XではPPTではくEDC/TDCが先に頭打ちになる)、CPU Package Powerは130W前後で安定し、実動CPUコアクロックは3.7~3.8GHz前後でした。
Noctua NH-P1_5950X_900RPM_temp_2

続いて、「Noctua NH-P1」を完全ファンレスなパッシブ空冷の状態でストレステストを実行したところ、Ryzen 9 5950XのCPU温度は電力制限が働く臨界温度に達し、90度に張り付きました。
PCケース組み込みではなくベンチ板上に平置き、かつ25度程度に空調の効いた部屋で測定しており、CPU温度が臨界温度に達するとはいえ、完全ファンレスクーラー「Noctua NH-P1」でRyzen 9 5950Xを運用した時に、大幅にCPU消費電力を落とすことなく、CPU Package Powerが120W以上に張り付くという結果は意外でした。
Noctua NH-P1_5950X_0RPM_temp_1
CPU温度が臨界温度に達して電力制限が働くので、先ほどのファン増設時よりもコアクロックを落としているとはいえ、実動平均で3.5GHz前後をキープしています。
Noctua NH-P1_5950X_0RPM_temp_2
ストレステスト直後にCinebench R23を実行してみたところ、ベンチマークスコアは23000程度となっており、Ryzen 9 5950Xの定格運用における理想的なパフォーマンスと比較して、性能低下は10%程度でした。完全ファンレスクーラーでこれだけの性能を発揮できるのであれば、「Noctua NH-P1」の冷却性能には文句はないと思います。
Ryzen 9 5950X_CinebenchR23_NH-P1
参考までに完全ファンレスの「Noctua NH-P1」でRyzen 9 5950Xを冷やした時のサーモグラフィは次のようになっています。
Noctua NH-P1_FLIR_Ryzen 9 5950X (1)
Noctua NH-P1_FLIR_Ryzen 9 5950X (2)



Noctua NH-P1のレビューまとめ

最後に「Noctua NH-P1」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 完全ファンレスでTDP65W以上のCPUを冷やせるCPUクーラー
  • Noctua空冷らしい無骨なデザインでシルバーアルマイトのヒートシンクが美しい
  • 基本的にグラフィックボードやメモリとの干渉は発生しない
  • ベンチ板測定なら完全ファンレスで消費電力が120~130Wの
    Core i9 11900KやRyzen 9 5950Xを運用可能な冷却性能
  • リテンションブラケットはCPUクーラーに固定済み
  • NF-A12x25 LS-PWMを増設でき、設置位置は3つのポジションから選択可能
  • ファン速度900RPM以下ならNF-A12x25 LS-PWM増設でも体感でゼロノイズ
悪いところor注意点
  • PCケースリアのケースファンと干渉する可能性が高い
  • サイドパネル方向やPCIEスロット方向のファン増設は実用的でない

冷却性能の検証結果からもわかるように「Noctua NH-P1」は完全ファンレスなCPUクーラーながら、Intel Core i9 11900KやAMD Ryzen 9 5950XといったTDP100W超のメインストリーム向け最上位CPUを安定して運用できるだけの冷却性能があります。
今回の検証ではベンチ板かつ空調の効いた室内で測定を行いましたが、PCケースに組み込んだ場合はPCケース自体の通気性も大きく影響します。とはいえPCケースファンで適切に吸排気ができていればCPUクーラー自体はファンレスのままでも同等の冷却性能は得られるはずです。(”システム全体のファンレス化”という枠組みからは外れてしまうものの)

また「Noctua NH-P1」と同時に発表されたNF-A12x25 LS-PWMを増設すれば体感的にはゼロノイズな状態を維持しつつ、冷却性能を引き上げることも可能です。

「Noctua NH-P1」でどこまでCPUを冷やせるかは、PCケースの選定、PCケースファンの有無など各自の構成が試されるものの、ポテンシャルとしてTDP100W超のメインストリーム向け最上位CPUに対応可能な「Noctua NH-P1」は自作erにとって探求心をくすぐられる製品だと思います。

以上、「Noctua NH-P1」のレビューでした。
Noctua NH-P1


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補足:空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて

「空冷クーラー」と「水冷クーラー」の2種類ついて同じところと違うところ、また原理的に考えた冷却性能の比較を簡単に補足しておきます。