2016年3月25日金曜日

メープルシロップ、アルツハイマーなどのぼけの神経疾患に効果アリ


アメリカ化学会(American Chemical Society,ACS)の年次総会において、メープルシロップが、脳細胞を損傷から守ってくれ、アルツハイマー病などの神経疾患を予防する可能性があることが報告されました。

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食事を通じて健康な脳を促進するために行われた24の研究結果別々に実施された研究)を、研究チームが調査したところ、「ある食品」において特定のパターンが見られることがわかりましたACS
メープルツリーから抽出された本物のメープルシロップは、脳内で「2つのタンパク質」が凝集するのを防いでくれることです。
  • 2つのタンパク質…「ベータアミロイド,beta amyloid」と、「タウペプチド,tau peptide」と呼ばれる細胞タンパク質

これらが不適切に折り畳まれて堆積すると、脳内で汚れ(プラーク)を形成してしまい、これがアルツハイマー病などの脳疾患の根本原因となります。
既にアルツハイマー病と診断された患者においても、メープルシロップが「フィブリル化,fibrillation」と呼ばれるアルツハイマー病を悪化させる“もつれ現象”から脳細胞を守ってくれるので、患者の寿命を延ばせるかもしれないとのこと。

フィブリル化(もつれ現象)

ベータアミロイド凝集塊,beta-amyloid clump」と呼ばれるタンパク質がもつれると、小さな塊りを作る。

作られた小さな塊が、脳細胞から脳細胞に伝えられるシグナルを止めてしまうので、脳の特定の部分から他の部分へメッセージを伝え難くなってしまう。

もつれ現象が、免疫系統の細胞を活性化させてしまい、炎症を起こしたり、伝達不能に陥った細胞を殺したりする要因となってしまいます。

メープルシロップは、ベータアミロイドが凝集したりもつれたりするのを防いでくれますので、脳の働きを正常に保つことができるのです。
メープルシロップには100以上の生物活性化合物が含まれており、そのうちのいくつかには抗炎症作用があることがすでに分かっています。
脳の健康に及ぼす作用は、ごく最近注目されている分野で、これからもさらに可能性のある効果が発見されることを期待しています。
カナダ・ケベック州メープルシロップ製造業者連合代表:Serge Beaulieu氏
もつれ現象を防ぐメープルシロップの効能は、シロップ中の「フェノール濃度」が鍵ではないかと、チームは考えています。
植物に見られるフェノール化合物は、抗酸化作用があり、細胞に深刻なダメージを及ぼす有害なフリーラジカル」*を細胞に取り込ませないように働いてくれます。
フェノール化合物の一種「レスベラトール,resveratrol」は、ブドウの表皮や赤ワインに含まれますが、これは既に脳疾患だけでなく、抗ガン作用も持つことが明らかになっています。
緑茶・赤ワイン・ベリー類・ザクロなどの自然食品が、アルツハイマー病に対してもつ「潜在的効能」については、現在かなり研究がなされてきています。
そして今回、実験室レベルにおける準備的なアルツハイマー研究で、フェノール化合物に富むカナダのメープルシロップは、レスベラトールと同じく神経保護効果を示しました
こう話すのは、テキサス州立大学の科学者Navindra P. Seeram博士。
アルツハイマー病は、記憶力・言語力・思考力・計画性などを徐々に奪っていく進行性の脳疾患です。 
アルツハイマー協会(Alzheimer’s Association)によりますと、「現段階では進行を食い止める治療法は確立できていないが、一時的に症状の悪化を遅め、生活の質を向上させることはできる」とのことです。
脳疾患を予防する食品や、食事法をおこなってアルツハイマー型認知症の発生を阻止するのは有効かつ、最も治療費が安上がりな方法のひとつかもしれません。
チームはこれからも、研究を重ねてメープルシロップの効果を明らかにしていくと話しています。
Maple syrup and Alzheimer’s(3:11) 
*フリーラジカル…遊離活性基といい、原子核を中心にその周りを電気的にマイナスに帯電した電子が2個ずつ対で回っているのが「通常の原子」なのに対し、フリーラジカルは、1つしか回っていない原子です。
そのため不安定なので、他から電子を奪って安定しようとする性質があります。この際に電子を奪われることを「酸化された」と言います。

《参照》

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