「朝日を浴びると目覚めが良い。寝る前にスマホやテレビを見るとなかなか眠れなくなる」
CIRCL読者の皆さんはご存じの方も多いと思う。なぜ、そうなるのか。これを細胞レベルにまで掘り下げて実証した研究をご紹介しよう。
体内時計のカギ「メラノプシン細胞」って?
目に入ってきた光は、視神経を通して脳に伝わる。
これとは別に、光を体内時計の調節に使う場合、つまり、目覚めるときには、視神経でなく「メラノプシン細胞」という別のところで光の情報がキャッチされる(※1)。従って、起きるときも寝るときも、メラノプシン細胞がどのような光をキャッチしたかによって、眠りやすくなるのか起きやすくなるのかが変わってくることになる。
睡眠に関係する色 目覚めには青色、眠りには緑色
フランスのストラスブール大学の研究チームは、メラノプシン細胞が何色の光にどう反応するのかをマウスを使って実験した。使う光は、青、紫、緑の3色だ。
3色の中で眠りに最適な光を調べてみると、緑色のライトを当てた場合は、マウスは平均たったの2分で寝てしまった。紫色では7.5分、青色では17.5分もかかってしまった。緑色のライトが圧倒的に早い入眠効果をもたらしていること、青色のライトを浴びると寝つきが悪くなることが分かる。
一方、目覚めには、青色が最適であることが分かった(※2)。
朝の太陽の光は青色が多い だから目覚めにも抜群の効果
朝の太陽は青色の光が多いことが分かっている(※3)。すっきりと目覚めたいなら朝日を浴びてといわれるわけ、ディスプレイから青色の光が発せられているスマホやテレビを寝る前に見るとなかなか寝られないわけは、こういうことなのだ。
辛い冬の朝にはLED照明がおススメ
朝日を浴びたくても、冬は起床時間にはまだ日が昇っていないことが考えられる。しかも寒い冬だ、より朝が辛いと感じる人は多いだろう。
そんなときでも、目覚めをよくしてくれるのがLEDを使った照明だ。LEDには青色のライトがたくさん含まれている。薄暗い冬の朝は、起きるときにLED照明をパッとつけてみるといいだろう。
朝日の代わりにLED照明の光を浴びて、効果的に体を目覚めさせることができる。ちなみに、蛍光灯にもLEDほどではないが青色の光が含まれているので、効果は期待できそうだ(※3)。
光の色が睡眠に与える影響は大きい。ご自身の寝室の光の環境をぜひ一度、チェックしてみていただきたい。