2016年06月23日 17時10分
九州大学大学院の研究グループは、体内の脂肪が酸化したときにできる物質が、肝細胞がんの発症を促進させることを発見した。グループは、がん化促進物質を見つけると発光する試薬の開発に成功し、がんの早期発見に結びつけたいとしている。
九州大の山田健一教授らのグループは、体内の脂肪が酸化してサビる過程で生成される「脂質ラジカル」という物質に着目。
脂質ラジカルは反応性が高く、傷ついた細胞を見つけると、連鎖的かつ爆発的に傷害を増幅させ、拡散させる性質を持つことから、さまざまな病気を引き起こす原因となっている。
これまで検出は難しかったが、研究グループは脂質ラジカルを見つけると、緑色に発光して知らせる蛍光試薬の開発に成功した。
実験では肝細胞がんにかかったラットに試薬を投与したところ、1時間以内に脂質ラジカルの発生を検出。このラットに脂質ラジカルの生成を抑える物質を与えたところ、肝臓がんの発症が抑制されたという。
研究グループは「脂質ラジカルの検出技術を応用することで、生活習慣病などさまざまな病気のメカニズム解明や、新たな予防法の開発につなげたい」と期待を寄せている。
なおこの研究成果は、国際科学誌「ネイチャー・ケミカル・バイオロジー」電子版に掲載された。
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