2016年6月24日金曜日

エステル合成用の高活性鉄触媒の開発に成功



九州大学は2016年6月23日、高活性かつ高化学選択性を兼ね備えたエステル合成用の高活性鉄触媒の開発に成功したと発表した(ニュースリリース)。これまでグリーンケミストリーの観点から触媒を用いたエステル合成法が数多く研究されていたが、用いることのできる原料に制限があり、特に立体障害の大きなエステルの触媒的合成法の開発が強く望まれていた。

 今回開発した高活性鉄触媒は、これまで困難だった原料を用いたエステル合成が可能。例えば、安価なメチルエステルから合成化学上有用なtert-ブチルエステルを合成できる。tert-ブチルエステルは、ペプチド合成やポリエステルなどの高分子材料の合成で非常に重要という。

 また、化学選択的な反応においても、より精密な制御が要求される活性エステルを原料に用いることが可能。さまざまな医薬品を原料として用いることもでき、芳香族アミノアルコールの水酸基選択的アシル化も可能。

 この触媒は、同大学が推進するグリーンファルマ研究の核となるもので、現在は人と地球に優しい医薬品合成に取り組んでいる。今回の研究成果は、科学誌「Chemistry -A European Journal(IF 5.7)」で2016年6月16日公開された。

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