たばこと肺がんとの関係について、国内の研究チームが、たばこを吸うことで遺伝子の「突然変異」が肺で大量に起こり、肺がんになりやすくなることを明らかにした。
ヒトの遺伝子は、たばこや紫外線などの影響で「突然変異」することがあり、こうした「変異」が蓄積されて増えると、正常な細胞が、がんになると考えられている。
今回、国立がん研究センターなどが、喫煙者と喫煙しない人、喫煙歴がわからない人あわせて約5200人について、がんに関連した遺伝子の「突然変異」があるかどうかを調べたところ、たばこを吸う人は吸わない人に比べ、明らかに「突然変異」の数が多かったという。
特に、たばこを吸うと肺で遺伝子の突然変異が大量に起こることがわかり、1年間、毎日1箱のたばこを吸う場合には、肺で遺伝子が「突然変異」する数は平均150個と推計された。つまり、たばこの成分が肺で大量の遺伝子の変異を引き起こし、肺がんになりやすいことが、実証された形。
肺がんの次に遺伝子の変異が多くみられたのは、気管につながる「喉頭」で97個、食道につながる「咽頭」では39個で、喫煙者がこれらのがんにもなりやすいことも裏付けられた。
また、遺伝子の変異にはさまざまな種類があるが、肺がんや喉頭がんに関連する遺伝子の「変異」は、たばこの成分が直接引き起こす一方、ぼうこうがんや食道がんなどに関連する遺伝子「変異」は、たばこの成分が間接的に「変異」を誘発しているとみられることもわかった。
がん研究センターは、今回の研究で肺がんをはじめ、いろいろながんを予防するために、「禁煙の重要性が強調された」と説明している。
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