2021年12月8日水曜日

「5G」なんていらない――「無線LAN」さえあれば十分な“これだけの根拠”

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エッジで戦う「5G」と「無線LAN」【前編】

IoTの普及によって「エッジ」でのデータ処理が注目される中、通信技術として「5G」が脚光を浴びている。だが、これまで使われた無線LANが完全に5Gに置き換わるとは考えにくい。それはなぜなのか。

[Giacomo BernardiTechTarget]

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の中、企業はテレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」の導入やオフィス分散化を進め、新しい働き方を模索している。そうした中、データの発生源であるデバイスの近くを意味する「エッジ」でデータを処理する「エッジコンピューティング」に取り組む動きが、企業の間で広がってきた。従業員があらゆるデバイスを使い、さまざまな場所に分散して働く今の時代、企業はデータを効率よく処理・保存するための手段としてエッジコンピューティングに注目し始めている。

 エッジコンピューティングの定着の追い風になっているのは、「5G」(第5世代移動通信システム)の登場だ。特にミリ波周波数を使う高周波数帯の「ハイバンド5G」は、企業が現場で使うデバイスを高速・低遅延でインターネットに接続できるため、IT専門家の関心を集めている。現在、エッジにおける無線接続の事実上の標準となっているのが無線LANだ。無線LANが5Gに置き換わるのは、まだ何年も先になると考えられる。

 企業がエッジコンピューティングの採用に取り組む中、今後も無線LANが中心的な役割を果たす理由は「低コスト」「低消費電力」「高い信頼性」の3つだ。無線LAN技術は進化を続けており、次世代の「IEEE 802.11ax」(業界団体Wi-Fi Allianceによる表記は「Wi-Fi 6」)は大容量データの高速通信を図る。Wi-Fi AllianceによるWi-Fi 6の拡張規格である「Wi-Fi 6E」では、新たに6GHzの周波数帯で、1200MHzの帯域幅を利用できるようになる。

「無線LAN」さえあれば「5G」なんか不要な“これだけの根拠”

 5Gには低周波数帯の「ローバンド5G」、中周波数帯の「ミッドバンド5G」、高周波数帯のハイバンド5Gの3種類がある。ローバンド5Gは前世代の「4G」(第4世代移動通信システム)よりわずかに高速になるだけであり、根本的に進化したところはない。

 “本命”はハイバンド5Gだ。こちらは20GHzを超える帯域幅を使用し、高速で低遅延の通信を実現する。ただし高周波数帯の電波は低周波数帯の電波と比べると長距離には届かず、建物や窓ガラス、木といった遮蔽(しゃへい)物に弱いのがネックだ。広範囲でハイバンド5Gが使いにくいのは、労働環境の分散を進めている企業にとって、採用を見送る要因になりかねない。

 ハイバンド5Gはデータ伝送速度の高速さと遅延の低さを最大限に活用するために基地局を高密度に設置する必要があり、ネットワーク構築費用がかさむのも短所だ。それに対し、無線LANは既存のインフラを利用できるので、コストを抑えることができる。

 Wi-Fi Allianceが定めた製品認証プログラムおよびその仕様である「Wi-Fi」は、長年にわたって無線LANの事実上の標準となっており、企業はWi-Fiにしか準拠していないデバイスを主に使っている。それらを全て5Gに置き換えるとすると、膨大なコストが生じる。企業がWi-Fiを使い続けることを選ぶのは驚きではない。


 後編は、無線LANの「低消費電力」と「高い信頼性」にスポットを当て、5Gと比べてのメリットを考える。

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