https://www.technologyreview.jp/n/2024/01/25/327957/
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名古屋大学の研究チームは、真空蒸着プロセスに使用でき、形態的に安定な真空蒸着膜を与えるフラーレン(炭素原子が球状の構造を成している化合物の総称)誘導体を開発。同誘導体を、次世代太陽電池として期待されているペロブスカイト太陽電池の電子輸送層に用いることで、同太陽電池の課題とされている耐久性を向上できることを示した。
ペロブスカイト太陽電池は高いエネルギー変換効率を示し、比較的低コストで製造できるとして研究者に注目されているが、耐久性や安定性が低いという欠点がある。研究チームは今回、加熱しても良好な形態安定性を示すアモルファス薄膜を作れるフラーレン誘導体「tBu-FIDO(ターシャリーブチル基置換のインダノフラーレンケトン)」を新たに開発。tBu-FIDOを電子輸送層に用いてペロブスカイト太陽電池を作製し、16日間にわたって性能の低下がみられなかったことを示した。
同チームが開発したフラーレン誘導体は、高い熱安定性、耐光性を持ち、塗布プロセスにも蒸着プロセスにも使用可能で、有機薄膜太陽電池や有機光ダイオードなどの光電変換素子の発展にも寄与することが期待されるという。研究論文は、米国化学会誌(Journal of the American Chemical Society)のオンライン速報版に2023年12月8日付けで掲載された。
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