https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/nc/18/020600008/011600158/?i_cid=nbpnxt_ranking
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新年早々、富士通の元役員から「富士通社内は今、2つの話で持ち切りだ」と連絡があった。共に富士通の事業再編に関わる話である。
一つは「2024年4月にエフサステクノロジーズと名前を変える富士通エフサスを売却する。売りやすくするために時田隆仁社長が社名から『富士通』を外せと主張した」という話だ。もう一つはヘルスケア・教育・地方公共団体・中堅企業を担当する富士通Japanの富士通本体への統合である。
大手企業向けサービス会社に変身
富士通のマーケティング本部にかつて所属した元幹部は喝破した。「時田富士通が市場として見ているのは日本と英国の大企業と中央官庁だけ。2024年度からサービス企業に変身し、ハード・ソフト・クラウドといった商材は富士通に限らず自由に選び、大企業と中央官庁を攻める」。富士通はみずほ銀行の新勘定系システムにおいて富士通製ハードではなく、米IBMのメインフレームと米ネットアップのストレージを使った。当時、時田氏は金融システム事業本部長だった。
元幹部は続ける。「大企業と中央官庁以外の市場はいらないので富士通Japanに任せ、責任を負わせる。ハードもいらないからエフサスに集約し、責任を負わせる。どちらも結果が出なければ、撤退か解散、あるいは売却や相手主導の合弁会社への移行ということになる」。
2023年12月26日、富士通はサーバー、ストレージ、ネットワーク機器といったハードの開発・製造・販売・保守および法人向けPC販売をエフサスに集約すると発表した。大手企業向けであるメインフレームとUNIXサーバーの開発・製造・保守、通信会社向けインフラ構築は富士通本体が手掛け、エフサスにいる関連部隊が富士通へ出向する。富士通はメインフレームなどから撤退する方針で撤退後は保守部隊をエフサスに戻すとみられる。
富士通関係者によればハード事業の売却で米デル・テクノロジーズ、中国レノボ・グループとの間で交渉があったが現在は中断している。エフサスにハードを集約することで売りやすくなり、交渉を再開すると言われている。
富士通Japanについては2023年3月30日号の本欄で「富士通に再統合」と報じたが同年6月末の株主総会における株主からの質問に時田社長は「統合はない」と答えていた。
大手コンサルティング会社のIT業界アナリストは指摘する。「2つの話は意図的に流布されている。既成事実にしようという時田社長周辺の意図、逆に『このままでよいのか』と疑念を持つ幹部やOBの意図がある」。
疑念の理由として「サービスだけで生き残れるのか」という声がある。米DXCテクノロジーや米キンドリル、仏アトスなどサービス専業は伸び悩んでいる。
前出のアナリストは「時田氏が不要の烙印(らくいん)を押した市場には、ベンダーに丸投げすれば何とかなると思っている企業が多く、なかなか利益が出ない」としつつも「それなら個別開発ではなく手間のかからないクラウドやパッケージを使う方法を考えるべきだ。もうからないといって切り捨てに走るのはいただけない」と評する。
ある独立系ITアナリストは「ハード事業を富士通から放逐する会社分割は時田戦略の集大成といえる。ゴールが明白になっただけに異議が出てきている。社内から経済界や経済産業省・総務省・NTTなどへ拡散させ、時田氏の進退を問いたいのでは」と述べた。
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