2030年に目指す姿を見据え、DXを推進

静岡銀行は現在、2021年にオープン化した勘定系システムをパブリッククラウドへ移行するための実証実験を進めている。同行はなぜこのような先駆的な取り組みを推進できるのか。そしてその先に描く未来像は。しずおかフィナンシャルグループのCIO 鈴木 統也氏と、クラウド化の実証実験に参画するアマゾン ウェブ サービス ジャパンの鶴田 規久氏に話を聞いた。

現在の地域金融を取り巻く環境をどのように見ていますか。

鈴木 コロナ禍が一段落し、経済活動の正常化が進む一方で、不安定な国際情勢を背景に、原材料価格の高騰やサプライチェーンの制約などのマイナス要因も出てきています。また、少子高齢化に起因する慢性的な人手不足も顕在化し始めているほか、海外経済の減速への懸念、急激な為替変動に伴う物価高などが企業業績に与える影響も大きく、私たちを取り巻く環境は依然として不透明な状態にあると認識しています。

そのような中、しずおかフィナンシャルグループは「Xover~新時代を拓く」と称して2023~2027年度の第一次中期経営計画を発表しました。

鈴木 不透明な時代に大切なのは、いかなる環境下でも、地域とともに持続的成長に向けた歩みを着実に進めていくことです。そのために静岡銀行グループは、2022年10月にしずおかフィナンシャルグループを設立して持株会社制へ移行し、2023年4月から新体制のもとで第一次中期経営計画をスタートしました。

 グループ各社が自立して成長戦略に取り組むとともに、相互連携のシナジーによって社会価値創造と企業価値向上の両立を目指します。これを支える仕組みとして、各領域の業務執行を統括するグループチーフオフィサー(CxO)を設置しました。その中で私はグループ全体のITシステムを統括するグループCIOを務めています。

 この中計では、2030年度に目指す状態を「すべてのステークホルダーがサステナブルかつ幸福度が高まっている状態」とし、その実現に向けた4つの基本戦略を策定しました。長期的なゴールを見据え、そこからバックキャストする形で施策を検討したのです。中でもDXを通じた変革を目指す戦略が「トランスフォーメーション戦略」です。デジタルとデータの活用で、「顧客接点」「営業」「人財」「経費」の変革に取り組んでいます。

DXに向けたシステム面の課題には、どのようなものがあったのでしょうか。