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11月24日、厚労省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は、免疫チェックポイント阻害剤PD-1抗体ペムブロリズマブ(キイトルーダ)について、「PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の適応を追加することを了承した。今回の適応の用法・用量は、「1回200mgを3週間間隔で30分間かけて点滴静注する」というものであり、類薬のオプジーボの隔週点滴静注よりも使用頻度が少ないかつ、用量も体重による増減がない。
キイトルーダは、オプジーボと異なり腫瘍組織についてPD-L1検査が必須となる。一方、かねてから注目されていた初回治療での使用についても、腫瘍組織においてPD-L1発現した腫瘍細胞が占める割合が50%以上であれば使用できるものとなる。EGFR遺伝子変異陽性、またはALK融合遺伝子陽性の患者については、キイトルーダを初回治療として使用できない。しかしながら、非小細胞肺がん初回治療として使用できるようになるのは、現状、本剤のみとなる予定。
なお、プラチナ系製剤(シスプラチン、カルボプラチン)を含む化学療法歴のある患者については、腫瘍組織においてPD-L1を発現した腫瘍細胞が占める割合が1%以上にて使用できる。

コンパニオン診断薬は審査中、薬価収載されていない問題も残る

キイトルーダの使用にはPD-L1検査が必須となるが、そのためのコンパニオン診断薬は現在審査中である。しかしながら、キイトルーダが実際に使えるようになる時にまでには審査が完了する見通しとのこと。
一方、キイトルーダは「根治切除不能な悪性黒色腫」の効能・効果で9月に承認されていたものの、MSD社が11月の薬価収載を見送っている。この背景には、オプジーボの薬価引き下げの問題や今回の「非小細胞肺がん」の適応拡大が見込まれていたからである。
順調にいけば年内にも今回の追加適応となる見込みであるが、2017年2月でのオプジーボの緊急薬価引き下げ後にキイトルーダが薬価収載される可能性が高い。
なお、キイトルーダの承認については、日本肺癌学会と日本肺がん患者連絡会が共同で「一次治療に関する早期承認」の要望書を厚生労働省に提出していた。

非小細胞肺がんの初回治療において、明暗が分かれているオプジーボとキートルーダ

キイトルーダは非小細胞肺がん初回治療において、PD-L1発現50%以上の発現を有する被験者を対象にした第3相試験(Keynote24)において、その有効性を見出した。一方、オプジーボは非小細胞肺がん初回治療において、PD-L1発現を有する被験者を対象にした第3相試験(Chekmate26)において、その有効性を見出せなかった。
なお、非小細胞肺がんの初回治療については、PD-L1抗体単剤療法、PD-1抗体またはPD-L1抗体と化学療法の併用、PD-1抗体またはPD-L1抗体とCTLA-4抗体の併用など様々な免疫チェックポイント阻害薬の試験が実施しており、開発は熾烈を極める。
記事:可知 健太