コンバージドインフラが人気の欧米では、また新たなトレンドが生まれています。「ハイパーコンバージド」をご存じですか?
[小川大地(日本HP),ITmedia]
コンバージド・インフラストラクチャが加速している欧米では、より新しいITトレンドが生まれています。
それは「Hyper-Converged(ハイパーコンバージド)」と、その要素技術である「Software-Defined Storage」です。この2つは欧米で“本当に熱い”トレンドを迎えています。
ハイパーコンバージドとは?
ハイパーコンバージドは、Hyper-Converged Infrastructureの略称です。“Hyper”の付かないConverged Infrastructureは前回までにお話しました。では、Hyperが付くと何が変わるのでしょう?
Hyper-Convergedを直訳すると「より一層統合された」 になります。この訳の通り、コンバージドインフラの小型版・コンパクト版だと思っていただいて問題ありません。どのくらい小さくなるのかというと、たった2Uです 。2Uのサイズで50~100台の仮想マシンを動かすことができます(ネットワークスイッチを含めると4Uです)。
具体的な製品には、次が挙げられます。聞いたことがある製品もあるかもしれません。
- VMware EVO:RAIL(EMC・HP・ネットワンシステムズなど)
- HP ConvergedSystem 200-HC(HP)・VCE VxRACK System(VCE)
- Nutanix Virtual Computing Platform(Dell・Nutanix)
規模が小さいからこそハイパーコンバージド
ハイパーコンバージドへの関心が最も高いのは、米国ではなく欧州だそうです。欧州在住の同僚の話では、理由の1つはデータセンター事情にあると言っていました。
一般的なコンバージドインフラの多くはラック一本丸ごと納品されますが、欧州の顧客はこれに少し不満を持っています。
- 外部データセンターを借りているので、既設ラックを使わなければなければならない
- 米国に比べると大企業は少なく、システム規模も比較的小さめ
- 中身スカスカのラックに対して、ラックスペース1区画はコスト的に問題がある
などが理由です。
これに対し、ハイパーコンバージドは必要なスペースは数Uだけ、しかも専用ラックではなく既設ラックに収容可能です。ケーブリングも最小限ですし、キッティング作業も顧客自身で簡単に終えられるでしょう。
私はこの欧州の話を聞いた際、「日本も同じ」だと感じました。
日本もサーバルームを自社で所有するより、外部データセンターを借りる企業が一般的になりつつあります。しかも、日本企業が仮想化を進める理由は、実際のところ“ITによる攻め”ではなく既存システムの“コスト削減”です。この結果、日本は極端にサーバ台数が少ない方向に進んでいますので、ラック1本ではなく、もっとコンパクトで既設ラックに収容できる“お墨付き構成”がピッタリ来るかもしれません。
Software-Defined Storageテクノロジーを採用
上の図を見て「あれ?」と思った方がいるかもしれません。ストレージはどこにいったのでしょう。
実はハイパーコンバージドにファイバチャネルやiSCSI・NFSを用いて接続する“共有ストレージ”はありません。仮想マシンデータは各サーバの内蔵ディスクそれぞれに格納します。それだと「クラスタが組めないじゃん!」「冗長化できないの?」という声が聞こえてきそうです。ですから、サーバ上でストレージを作ってしまう「Software-Defined Storageテクノロジー」がここで登場します。
プリセールスの職業病でしょうか。すっかり製品紹介の流れになってしまいましたのでいったん区切りましょう。
私はもともとSANストレージのR&Dエンジニアで、現在はx86サーバと仮想化関連を担当しています。サーバ・ストレージ・仮想化の3つのバックグラウンドはちょうどハイパーコンバージドそのもの、ピンポイントな分野です。
次回は自らの経験も踏まえて、私なりの見解もぜひ伝えていきたいと思います。
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