地球温暖化の影響で、食用の「ゴマフグ」と「ショウサイフグ」による雑種のフグが太平洋沖で増加していることが、水産研究・教育機構水産大学校(山口県下関市)の高橋洋准教授(集団遺伝学)の調査で分かった。雑種は体のどこに毒があるかはっきりしていないため、市場では模様などの外見で手作業で選別して廃棄している。だが外見では「純正」との区別が難しい個体もあり、雑種が今後増えれば市場に紛れ込むリスクも増える恐れがあるという。
高橋准教授らが2012年から3年間、東日本の太平洋沖で水揚げした252匹を遺伝子解析した結果、ゴマフグとショウサイフグの雑種が半分以上の149匹に上った。自然界でフグの雑種が見つかるのは1%以下とされる。両種はトラフグの仲間で、ゴマフグは主に日本海に生息している。しかし、温暖化による海水温上昇で生息域が北に広がり、津軽海峡を越えて、ショウサイフグの住む太平洋側に移動したため、両種の雑種が増えたとみられる。
漁業関係者らは体の模様やとげの有無などの特徴で種類を判別しており、雑種は「種類不明フグ」として廃棄している。しかし、雑種が純正と交雑してできた個体の区別は特に困難で、厚生労働省が示す判別方法でも難しいという。
今回の調査でも外見は純正だったが、遺伝子解析では雑種と分かったフグは4匹いた。雑種が市場経由で消費者の手に渡る恐れもあり、高橋准教授は「これまでは熟練者が見分けていたが、今後は科学的な選別方法を早急に開発する必要がある」と指摘している。【荒木涼子】
2017年5月26日金曜日
フグ:注意!雑種増加中 毒の部位不明、外見の判別難しく
15:27
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