この装置で大気から水を分離するのに重要な役目を果たすのが、有機金属構造体(MOF)と言われる人工多孔質体。その立体構造の隙間にガスや水分を取り込む性質を持つ。もともと20年以上前にMOFを発明し、この分野のパイオニアがUCバークレーのオマール・ヤギ教授(バークレー・グローバル科学研究所長)であり、同教授らが今回、金属ジルコニウムをベースとしたパウダー状のMOF-801を提供。MITのエブリン・ワン准教授(機械工学)らが極めて省エネルギー性能の高い水分抽出装置を開発した。
装置内のMOFの粉末が大気中から水分を吸収した後は、容器を透過する太陽光の熱で粉末から水蒸気を分離し、コンデンサー(復水器)で水に戻して蓄える仕組み。粉末から水分を遊離させるエネルギー源は太陽光でなく、焚き火でも構わないという。
実験では12時間で2.8リットルの飲料水を作り出すのに、1キログラムのMOF-801を必要とした。さらに、実験に使ったMOF-801は自重の20%までしか水分を保持できないが、倍の40%以上まで吸収率を高められる可能性があるという。研究の詳細は4月14日付の米科学誌サイエンスに掲載された。
2017年5月7日日曜日
世界の水問題解決に役立つ? 太陽光当てるだけで大気から飲料水作る技術
16:32
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