転載元
https://www.asahi.com/articles/ASLDT5F9LLDTUBQU01C.html?ref=mixi_rel
聞き手・福地慶太郎
受精卵にゲノム編集を行い、双子を誕生させたと中国の研究者が発表し、話題を呼んだ香港でのゲノム編集の国際会議。日本科学未来館(東京)の詫摩雅子さんは同じ舞台で、社会の異なる意見を持つ人たちで意見をかわす大切さを訴えました。その思いと、受精卵に応用する問題点について聞きました。
――国際会議で発表された日本科学未来館でのイベントについて、教えてください。
受精卵へのゲノム編集の臨床応用をテーマにしたイベントは、2016年に始めました。遺伝性疾患の患者さんらの声も聞き、受精卵のゲノム編集の応用について、市民や高校生に考えてもらっています。重い病気やアレルギーの治療のほか、容姿や能力を親の望むように操作する「エンハンスメント」まで、どんな目的なら認めてもよいか、参加者同士で議論します。
全体的には重い病気の予防は認めるけど「エンハンスメント」はダメ、という意見が多い。ただ、その間のグレーゾーンは線引きが難しい。個人の価値観が出てきて、自分と違う意見を聞くことになる。この問題には正解がない。線を引くつらさを知ってもらえればと思っています。
――これまでに、参加者からはどんな意見が出ましたか。
ある遺伝性疾患がある女性は、その病気が受け継がれたことで、お子さんを幼くして亡くしたと話されました。女性は「治療法があるならやってみたいし、あのつらい思いを他の人にはさせたくない」と訴えました。
どうしても(血のつながった)健康な子どもがほしい人もいれば、養子を迎えることを考える人もいる。そんななかでルールを決め、線引きをするには、誰かの思いを切り捨てざるえない。その場合は理由を説明して納得してもらうしかありません。ルールを決める側もその痛みをわかっておくべきだと考えます。直接話し合い、互いの思いを理解することが大切だと思っています。
未来館で2年前に開いたイベン…
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