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日本原子力研究開発機構は核分裂せず、原子力発電に使われない劣化ウランを利用した蓄電池の開発に乗り出す。ウランを使った蓄電池は充電ロスが低く、原料が準国産であるため、低価格での販売が見込める。詳細な原理実証ができれば世界初の成果となる。2035年には再生可能エネルギーや原発と連携し、余剰電力を蓄電できる仕組みを構築する考え。廃棄物の劣化ウランを有効活用し、資源として平和的に利用することを目指す。
ウランの酸化還元反応に着目し、それを利用して充電・放電する蓄電池「レドックスフロー(RF)電池」を開発する。これまでに原子力機構は、ウランを利用したRF電池に使う電解溶液の選定などを進めてきた。24年からウランRF電池の詳細設計を始め、26―28年に原子力科学研究所(茨城県東海村)内で実証やスケールアップを実施する予定。
現在実用化されているRF電池には金属元素のバナジウムが使われているが、海外からの輸入に頼っており、高価という課題がある。バナジウムからウランに置き換えることができれば、原料は国内で調達可能なため準国産化できる。また廃棄物を活用するため、低コストでの製造が可能だ。
ウランRF電池の特徴としては充放電による性能劣化がほぼなく、充電ロスはバナジウムの20%に対してウランは3%に抑制できる。また二酸化炭素(CO2)排出ゼロで運用できる。
原子力発電に使われるウラン235は天然のウランに0・7%しか含まれない。残りの99・3%は核分裂しない劣化ウランであり、廃棄物として約1万6000トンが貯蔵されている。核燃料物質として扱いが難しいウランだが、核分裂しないウランを資源化できればエネルギーの安定化にもつながる。
650トンのウランを使ったRF電池では、3000世帯分の1日の電気を蓄電できる見込み。将来は太陽光発電などの再生可能エネルギーや原発と連携し、余剰電力の蓄電システムを開発する。
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