韓国のソウル中央地検 情報技術犯罪捜査部は、Samsung ElectronicsのDRAM事業部門の元部長と、Samsungに半導体製造装置を納入していた韓EUGENE TECHNOLOGYの元部長に対して、「産業技術の流出防止および保護に関する法律」違反の容疑で1月3日に起訴した模様である。韓国検察は、証拠隠滅の恐れがあるとの理由で拘束令状を請求し、2023年12月15日に身柄を拘束していたが容疑が固まったとして起訴に踏み切った模様だと、韓国の複数のメディアが報じている。

起訴された2名は、韓国政府が国家核心技術に指定しているSamsungの18nm DRAMプロセス技術を中国の新興DRAMメーカーであるChangXin Memory Technologies(CXMT)に無断で流出させた疑いがもたれている。

Samsungの元部長は、2016年にCXMTが創業された際に転職し、DRAM製造に関する8件の核心プロセス技術資料を持ち出し、数百億ウォン相当の金品を受け取ったとみられているほか、5億ウォンを超える年俸を提示し、Samsungと関連企業に在籍していた技術者約20名を引き抜き、CXMTへ転職させたともされている。

一方のEUGENEの元部長は、Samsungの元部長と共謀し、DRAM製造向け半導体製造装置の設計技術資料をCXMTに渡した容疑がかかっている。韓国検察は、Samsungの元部長が中国に滞在し続けていたため捜査が遅れたと述べており、関与した共犯者は数十名に及ぶとみて捜査を継続するとしているが、多くの被疑者が中国に滞在しているため、捜査は長期化しそうである。

CXMTは、中国最大のDRAMメーカーで、現在、合肥市にある量産工場で19/18nmプロセスを用いたDDR4およびLPDDR4 DRAMの量産を行っているほか、10nm台の第2世代プロセスを採用した次世代DRAMの立ち上げも進めているといわれており、これらの製造にSamsungから流出した技術が使われている可能性があるとみられている。