https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/08782/?i_cid=nbpnxt_ranking
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米NVIDIA(エヌビディア)が産業用ロボット分野で存在感を高めている。学習用サーバーだけではなく、ロボットそのものにまで同社のGPUが普及し始めた。生成AIを活用できるシミュレーションツール(シミュレーター)やロボットの参照デザインを用意するなど、開発環境を整備してきたことが奏功している。
エヌビディアは現在、ロボット分野においてクラウド及びエッジ向けにGPUを提供している。ユーザー企業は、クラウドにあるデータセンターでロボット向けのAI(人工知能)モデルを学習させて、そのAIモデルをエッジ端末であるロボットにデプロイ(実装)する。
エヌビディアのGPUは、もともとクラウドの学習用途で多用されてきた。今後、大きな成長を見込んでいるのは、エッジ端末のロボットに搭載する推論用途のGPUである。同社は、ロボットなどの組み込み機器に向けて、GPUを搭載したコンピューターモジュール「Jetson」シリーズを手掛ける。様々な用途に対応するために広範なラインアップを用意しており、百数十米ドルのローエンド品から、数千米ドルのハイエンド品までそろえる。
安川電機がGPUを標準採用
既に多くのロボット関連企業が、エヌビディアのGPUや開発環境を使っている。産業用ロボットの展示会「2023国際ロボット展」(2023年11月29日~12月2日)やテクノロジー見本市「CES 2024」(2024年1月9~12日)では、その採用事例が見られた。
例えば、安川電機は2023年12月発売の産業用ロボット「MOTOMAN NEXT」シリーズの全モデルに、エヌビディアのGPUを標準採用した。AIによる推論処理を効率的に実行できるように、GPUをロボットコントローラーに搭載している。国際ロボット展で披露した。
CES 2024では、エヌビディア製品を採用する企業が20社以上出展したという。その顔ぶれは、米Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)のようなロボットメーカーだけではなく、ロボット分野のセンサー企業やソフトウエア企業など多岐にわたる。
生成AIやデジタルツインを活用
エヌビディア製品がロボット分野で受け入れられている理由は、開発環境の整備にある。シミュレーターや、同シミュレーターで利用するアセット、ロボットを動かすためのAIモデルなど、ロボット開発に必要なツール群を有する開発環境「Isaac」を提供している。同社によれば、1万社以上の企業、120万人以上の開発者が利用しているという。
ロボット開発の効率化や期間短縮に向けて、現実空間の物体や環境を仮想空間に再現した「デジタルツイン」や生成AIのツールを提供することも強みだ。例えば、仮想空間上でシミュレーションや3次元(3D)CG制作などの作業を複数人で並行して行えるツール基盤「Omniverse」にロボットシミュレーター「Isaac Sim」を対応させている。これにより、Omniverse上でロボットの配備、配備後の動作検証などを実施できる。
生成AIを利用することで、ロボットの制御や開発を容易にする。テキストから画像や動画、3Dコンテンツを生成するエヌビディアのAI「Picasso」も、ロボット開発に貢献すると見ている。例えば、ロボットシミュレーター内で利用する3Dアセットをテキスト入力によって自動で作成できる。
今後は、ロボットに生成AIが搭載され、自然言語を通じてロボットを制御できるようになるとエヌビディアは予測している。生成AIによって環境変化に対する順応性も高まり、ロボット1台で様々なタスクをこなせるようになるという。こうした生成AIを実行できる半導体として、エヌビディア製品が適しているとアピールした。
ロボットの参照デザインまで提供するなど、ソリューション化も加速させている。自律搬送ロボット(AMR)の参照デザイン「Nova Carter」を国際ロボット展で披露した。「Jetson AGX Orin」のほか、各種センサーを搭載している。
自動車分野に向けて、エヌビディアは自動運転車向けプラットフォーム「DRIVE Hyperion」を手掛けている。同社のGPUに加えて、自動運転に必要とされるセンサー群を搭載しており、自動運転車の参照デザインに等しい。Nova Carterは、DRIVE HyperionのAMR版といえる。
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